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院内新聞

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2020年3月

肺炎は実地臨床でよく遭遇する一般的なよくある病気の一つであると同時に、死亡率も高い重要な疾患です。肺炎の原因となる病原体は数多くあります。ウイルス感染症の診断法の進歩に伴い、肺炎におけるウイルスの重要性が注目されてきました。

肺炎に関与する多くのウイルス

 

ウイルス性肺炎を病態でみると、気道に親和性を有する呼吸器系ウイルスが上気道に感染し下気道に感染が拡大していく場合と、ウイルス血症を伴う全身性ウイルス感染症の肺病変としてみられる場合に分けることができます。前者には、インフルエンザウイルス、ヒトRS ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、SARS ウイルス、などが挙げられます。後者には、サイトメガロウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、などがあります。

市中肺炎全体の24.1%に呼吸器系ウイルスが検出され、下気道検体が得られた研究に限定すると、その頻度が44.2%にのぼるとされています。肺病変の形成にどのようにウイルス感染が関与しているのかについては今後の検討課題でありますが、従来考えていたよりも、市中肺炎におけるウイルス感染の関与は大きいということが示されてきました。近年、実地臨床におけるウイルス感染症の診断は迅速化され、ウイルス感染による肺炎を臨床的にリアルタイムに捉えることが可能となってきました。臨床上重要な呼吸器系ウイルス感染症の抗原検出キットが臨床応用されています。日本では、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヒトRS ウイルス、ヒトメタニューモウイルスの抗原検出診断キットが市販され、ベッドサイドでのウイルス感染症診断が可能となっています。

 

ウイルス性肺炎の治療戦略について

肺炎に関与するウイルスで最もよくその病態が理解されているのはインフルエンザウイルスです。インフルエンザに伴う肺炎では、ウイルス感染そのものによる純粋なウイルス性肺炎と、細菌性肺炎を合併したもの、ウイルス感染が軽快した後に細菌感染を合併する場合があります。
インフルエンザによる肺炎の治療にはノイラミニダーゼ阻害作用を有する抗インフルエンザ薬が適応となり、できるだけ早期から抗インフルエンザ薬を投与することが推奨されます。水痘・帯状疱疹ウイルス感染の臨床診断は特徴的な皮疹を確認することがまず重要となります。サイトメガロウイルス感染は臨床像と血中サイトメガロウイルス抗原検出や血中ウイルス量の定量に基づいて臨床診断を行います。水痘帯状疱疹ウイルスや単純ヘルペスウイルスではアシクロビルの投与、サイトメガロウイルス感染ではガンシクロビルやフォスカルネットの投与が適応となります。その他の呼吸器系ウイルス感染症に対する抗ウイルス薬の治療はいまだ確立されていません。コロナウイルスも同じです。

正しい「咳エチケット」を知っていますか?

 通常の風邪やインフルエンザと同じく、新型コロナウイルスについても、「咳エチケット」と「手指の衛生」が2大対策となる。

マスク着用の注意点
 日本では感染症の予防策としてマスクをつけている人が多いが、マスクは、咳やくしゃみなどの症状がある人が飛沫をまき散らさないようにするために使うか、症状がある人と近距離で接する人が使うのがいい。マスクを着用する際は、きちっと口や鼻を覆う、針金状の物が端に入っているタイプのマスクの場合は、それを曲げて鼻に沿わせる、といったことも重要だ。
 もう一つ気をつけたいのはマスクを「外す時」。マスク表面にはウイルスが付着している可能性があるため、マスクの中央を不用意に持つようなことはせず、ゴムヒモ部分だけを持って耳から外し、そのまま表面には触れずにゴミ箱に捨てることが重要だ。できればマスクを取った後に手を洗うとベストです。

アルコールはたっぷりと手全体に
 感染症対策のもう一つの柱「手洗い」は、「せっけん」を使って洗い、「流水」で洗い流すこと、そして「アルコール」も有効です。 せっけんの泡を付けて手のひらや甲、指と指の間などをこすり、こする時間の目安は15~20秒。水で洗い流す時間も含めて30秒はかけるのが理想です。
 アルコールについては、「量」がポイント。「指先などに少しだけ使うのではなく、手の指の間からこぼれ落ちるくらいたっぷり手に取り、手全体をアルコールで覆うように使うのがコツです。

中国の新型コロナ患者の8割は軽症、死亡者の多くが高齢者または持病あり
7万人超のデータを分析、致命率は2.3%

 世界中を揺るがせている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で、2月17日、これまでで最大規模となる7万人超の患者の分析データを中国疾病対策予防センタ−(中国CDC)が発表しました。新型コロナウイルスの感染が確定した患者の8割は軽症で、致命率(患者数に対する死亡者数の割合)は2.3%、死亡者の多くが60歳以上の患者か、併存疾患(心血管疾患、高血圧、糖尿病など)のある患者でした。

 分析対象は、中国で新型コロナウイルス感染が確認された確定例4万4672人。30~60代の患者が8割を占め、10代までの若年層は患者数、致命率ともに低かった。重篤な患者(肺での呼吸がうまくいかない呼吸不全が発生、感染症による炎症が全身に及び低血圧が持続するショック状態が発生、多臓器不全が発生する)の致命率は非常に高く(49%)、ほぼ2人に1人が死亡していました。 併存疾患がなかった患者の致命率は0.9%で、併存疾患のある患者、特に心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、脳卒中など)を抱えていた患者の致命率は10.5%と高くなっていました。

 日に日に知らないうちに感染している例が増加しています。健康で合併症のない方は恐れる必要はありません。何某らかの合併症を抱えている高齢者は感染しないよう心がけましょう。

2020-03-04 12:48:43

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2020年2月

 インフルエンザの流行はこれまでのところ、昨シーズンに比べ落ち着いている。暖冬も一因とみられている。小中学生の患者が多いのが今シーズンの特徴で、冬休みが感染の広がりを抑えた可能性があるという。例年シーズンのピークは1月後半です。今シーズンもここにきて患者が増え始めていますが、勢いは限られています。

本物の風邪は受診の必要なし まず3症状(咳、鼻水、のどの痛み)をチェック

 

 風邪はありふれた病気の一つであり、多くは数日から1週間程度で自然に治ってしまう。一方で「汗をかくと風邪が治る」「風邪は抗生物質で治る」など、間違った認識を持っている人も少なくない。風邪とは「自然に良くなる上気道のウイルス感染症」です。上気道とは気道の上の部分に当たる鼻、のどのこと。ここにウイルスが感染することで風邪を発症する。薬などを飲まなくても、放っておいてもやがて治ってしまうことを意味する。
 ライノウイルスやコロナウイルスをはじめ、風邪の原因となるウイルスは200種類以上あります。そのすべてのウイルスに効く薬はありません。
一般に風邪薬と呼ばれる薬は対症療法の薬。「熱を下げる」「鼻水を止める」などの症状を抑える作用があるだけで、風邪の原因であるウイルスを殺すわけではありません。

 

一見「風邪」だが実はちがう 受診すべき6つの症状

1. 38℃以上の高熱が3日以上続く
 風邪をひいて初日に38℃を超える高熱が出ることも少なくない。しかし、風邪による高熱は長くても2日くらいしか続かないことが多い。3日続いたら、ウイルスではなく、細菌による感染症の可能性が高まります。
風邪の3症状である「咳(せき)」「鼻水」「のどの痛み」がまったくなく、38℃以上の熱だけの場合も風邪ではない可能性が高い。

2. いったん良くなりかけてぶり返す
 いわゆる「風邪をこじらせた」状態で、改善傾向にあると思っていたら再び高熱が出る、咳がひどくなる、といったときだ。こういうときは細菌に感染していることも少なくない。風邪のウイルスによって鼻やのどの粘膜が炎症を起こすと、細菌に感染しやすくなってしまうのだ。
例えば鼻水だけがダラダラ出続け、頬(ほお)の片側に痛みがある場合、細菌性副鼻腔炎などが考えられます。こういうときはすぐに耳鼻科に受診してください。

3. 寒くてガタガタ震える
 発熱すると寒さを感じやすくなるもの。それにはランクがあり、最も強いものはガタガタと体が震え、止めようと思っても止まらない「悪寒戦慄(おかんせんりつ)」は細菌感染している可能性があります。高齢者は風邪をひいても気付かないくらい軽くすむことが多い。症状が重いときや、寝汗をびっしょりかく場合(シャツを交換するほど)は要注意と心得て医療機関を受診してください。

4. のどに痛みを感じるのに、つばを飲み込んでも痛くない
 のどが痛いのに、つばを飲んでも痛くない場合は風邪ではない可能性が高い。つばを飲み込むだけというとても簡単なチェックなので、ぜひ実行してほしい。

5. 咳をすると胸が痛い、痰(たん)に血が混じっている
 風邪をひくと粘膜が炎症を起こして細菌に感染しやすくなる。成人の場合、最も多いのは肺炎です。細菌性の副鼻腔炎や中耳炎を起こすこともある。

6. 咳が2週間以上続いている
 咳が2週間以上続いているときは肺がん、咳喘息(ぜんそく)、結核などの病気になっている可能性があります。そのほか、後鼻漏(鼻水がのどに流れる)や胃食道逆流症(胃液が食道に上がってくる)によって咳が続いていることもあります。

家庭でのウイルス対策

〇手洗いこそウイルス対策の基本
手洗いこそウイルス対策の「基本中の基本。様々な物に付着したウイルスを洗い流すことで「接触感染」を防げるからだ。1日に11回以上手洗いをする人は、風邪のリスクを半分以下にできることが複数の研究で示されているという。

〇水うがいで風邪のリスク4割減
のどに付着したウイルスはうがいで洗い出す。1日3回水でうがいすれば、風邪にかかる割合を4割程度減らせるという研究結果もある。
マスクを装着すれば、せきやくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛沫感染」を防げる。うがいやマスクにはのどを潤す効果があることも見逃せない。鼻と口の粘膜は乾燥すると傷ついて、ウイルスがつきやすくなる。予防のためにも、積極的に取り組みたい。

2020-02-05 16:43:00

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2020年1月

あけましておめでとうございます。今年もより良い治療ができるよう尽力いたします。
患者様のためになる情報も発信していきますのでよろしくお願いいたします。

肺炎にならないために

 

 昨年末は例年になく温かく、風邪をひく患者さんが少なかったように思います。風邪というのは上気道、つまり「のどまでの感染」です。それに対して、のどより下(奥)が感染すると気管支炎や肺炎になります。風邪をひいて扁桃腺が腫れやすい人がよく「のどが弱いんです」と言いますけど、のどはウイルスや細菌の関所ですから、扁桃腺が腫れるというのはそこで止めているということです。そういう意味では、扁桃腺が腫れやすい人は免疫が強い、むしろ「のどが強い」とも言えます。扁桃炎といえば口の中から見える両脇の扁桃腺の炎症と思う方が多いのですが、鼻の奥の上咽頭にあるアデノイドという扁桃組織の炎症も多いのです。鼻呼吸をするとここが第一の関所となるからです。
 肺炎というのは文字通り、肺に炎症が起きる病気です。風邪をひいたことがきっかけで肺炎を起こすこともある。特に高齢者は風邪やインフルエンザから肺炎を起こしやすい。例えばA型インフルエンザで肺炎を合併する割合は、80歳以上で13.3%、65~79歳で2.1%、16~64歳で0.8%という報告が出ています。高齢者ほど肺炎を起こしやすいのです。風邪やインフルエンザになると、ウイルスによってのどの線毛が炎症を起こしてダメージを受けます。すると異物を外に出す力が落ちてしまうので、後から来た細菌が気道の中に入ってしまう。下気道に細菌が侵入して気管支炎や肺炎を起こしてしまうのです。
 高齢者の場合、風邪をひかずに最初から肺炎になることもあります。扁桃腺や線毛など、のどのバリアーが弱くなっているので、細菌に感染していきなり肺炎になってしまう。高齢になると高熱は出ないので、微熱と咳くらいで風邪だろうと思っていたら肺炎だったということは珍しくありません。
 厚生労働省の「人口動態統計」によると、誤嚥性肺炎を入れると肺炎は日本人の死因第3位です。高齢者の場合、肺炎と誤嚥性肺炎を明確に区別するのは難しい。さらに言えば、死亡原因にある「老衰」も本当は肺炎だったかもしれません。高齢者は肺炎になっても高熱が出ないで微熱程度、または平熱のこともあるので要注意です。
 年を取ると、のどの老化が進み、誤嚥をしやすくなる。自分で「のどの老化度」を知ることが重要です。反復唾液嚥下テスト、いわゆる「ゴックンテスト」があります。やり方は非常に簡単です。まず水を一口飲んで口の中を湿らせてから、「30秒間に何回唾液を飲み込めるか(空嚥下回数)」を見るだけです。若い人は10回くらいできるのですが、年を取ると筋力が衰え、唾液の分泌も減るため回数をこなすのが難しくなっていきます。20代で10回、30代で9回、40代で8回、50代で7回、60代で6回、70代で5回が「のど年齢」とするとわかりよい。のど年齢が70代以上、つまり30秒間で5回以下になると誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。実際、高齢になると食事中にむせることも増えていくでしょう。

のどを鍛えて「のど年齢」を若返らせるにはどうすればいいのか。

 日常会話も含めて、声を出すことがのどの老化を抑える上でとても大切です。声を出す力が弱くなると飲み込む力も弱くなり、のどの老化が進んで、むせやすくなります。好きな本でも新聞の社説でも何でも構わないので、声に出して読んでみるとよいです。
 そして、忘れてはいけないのが「肺炎球菌ワクチン」と「口腔ケア」です。実は、肺炎の予防法としてエビデンス(科学的根拠)が高いものはこの2つです。のどを鍛えるのもいいですが、予防法としてこれに優るものはありません。肺炎球菌は肺炎の原因菌の中で最も多く、肺炎全体の3~4割程度を占めています。65歳になると、肺炎球菌ワクチン接種に対して自治体から助成が出ます。ワクチンを打っておけば、肺炎を発症した場合でも重症化を防げます。
 もう1つは口腔ケアです。口腔ケアと肺炎は一見関係なさそうですが、実は誤嚥性肺炎を生じる肺炎球菌や嫌気性菌などは口の中にもいます。歯みがきで口中の細菌を減らせば、肺炎に感染するリスクもそれだけ低くなる。実際、2年間の口腔ケアによって、高齢者の肺炎死亡率が16%から7%に低下したという報告も出ています。夜間眠っているときに唾液が減って口の中の細菌が増えますから、少なくとも就寝前と起床直後に歯みがきを実践してください。できれば1日4回(朝起きたとき、朝食後、昼食後、寝る前)に歯をみがくのがお勧めです。

2020-01-07 12:46:01

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2019年12月

インフル新薬「ゾフルーザ」による変異ウイルス、感染力同じ

 

厚生労働省は11月15日、インフルエンザが流行入りしたと発表しました。昨年よりも4週早く、新型インフルエンザが夏に流行した2009年を除くと、統計がある1999年以降で最も早い。都道府県別で患者が最も多いのは沖縄県。次いで鹿児島県、青森県、長崎県と続き、18都道県で流行入り水準に達しました。幼稚園、小学校、中学校で34件の学級閉鎖や学年閉鎖が例年よりも多くなっています。ただ、学級閉鎖などを行うと、地域での感染拡大がある程度は抑えられる傾向があります。そのため、一旦は感染者が減少し、その後にまた増加していくことも考えられます。一方、現在の流行が緩やかに続いていく可能性もあり、現時点では予測が難しいところです。

季節性インフルエンザにはA型とB型があり、A型には「AH1pdm09(2009年に新型インフルエンザとして流行した型)」と「AH3(いわゆる香港型)」があります。3年ぐらい前までは、「AH1pdm09」と「AH3」が交互に流行し、年明けから春先にかけてB型が増えるというのが、典型的な流行のパターンでした。しかし、2017~2018年のシーズンは、当初からB型が流行し始め、ほぼ同時期に「AH1pdm09」、次いで「AH3」が増えました。そのため、シーズン中に複数回、インフルエンザを発症する人が増えています。流行のパターンが変則的になっているのに加えて、例年よりも早い流行入りもあり、今後どのような流行の仕方をするのか、経過を見ていく必要があります。

早めのワクチン接種を。

特に、インフルエンザにかかると重症化しやすい乳幼児や高齢者、呼吸器に基礎疾患がある人、免疫が低下している人などは、接種しておくといいでしょう。インフルエンザのワクチンは、接種してから抗体がつくまでに約2週間かかります。ワクチンの接種は10月から始まっていますので、お住まいの地域で流行が始まっている場合は、早めの接種が勧められます。

ただし、インフルエンザのワクチン接種は、あくまでも重症化を防ぐことが目的です。ワクチンを接種したとしても、感染することはあります。どんなワクチンでも時間がたてば、徐々に抗体価が低下して、予防効果が薄れていきます。2回接種すれば効果が高まるという根拠も特になく、健康な大人の場合は、1回の接種が基本と考えればよい。

ワクチンを接種したとしても、手洗いなど日常的な予防も必要。

インフルエンザの主な感染経路はくしゃみや咳(せき)による飛沫感染ですが、ウイルスが付着した物やドアノブ、手すり、つり革などを手や指で触れ、その手や指で鼻や口、目を触ることでも感染しますので、こまめに手を洗う習慣をつけましょう。アルコール性手指衛生剤での洗浄も有効です。


 

今年のインフルエンザ治療薬

ゾフルーザは、ほかの治療薬(タミフル、イナビル、リレンザ、ラピアクタ)とは違うメカニズムでインフルエンザウイルスに働きます。
インフルエンザウイルスに感染すると、呼吸器の細胞の中で増殖し、細胞から飛び出して別の細胞へと広がっていくのですが、タミフルなど、ゾフルーザ以外の薬は、増殖したインフルエンザウイルスが細胞から飛び出すのを妨げることで、病気の進行をくい止めます。

一方、ゾフルーザは、細胞の中でウイルスが増殖する仕組みを遮断し、増殖そのものを抑える働きがあります。その特徴は、1回の内服で済み、かつウイルスの排出がいち早く止まることです。ゾフルーザは昨年3月に販売開始、抗インフルエンザ薬の中で最も多く使われました。一方で変異ウイルスが高い頻度で出ることは以前から問題となっており、日本感染症学会は10月、12歳未満には慎重に投与するよう提言しています。19年春にはゾフルーザを服用していない患者から変異したウイルスが数例見つかっています。異株が人から人にうつる可能性が高いことを表しています。
当院ではこれを踏まえてゾフルーザは極力使用せず、従来の内服、吸入薬の使用方針で臨みます。

2019-12-05 14:05:44

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2019年11月

減塩は高血圧の基本

 

高血圧の人は国内に4300万人もいるといわれ、50代以上の男性では
5割近くが該当します。では、高血圧の対策として、具体的に何から始めるべきなのでしょうか。まず実践してほしいのは減塩です。一般に、血圧を下げるために「生活習慣」の改善が大事なことはよく知られています。「減塩」「運動」「減量」などが代表的な対策となります。その中でも一番に減塩は、効果が高く、効果が出るのも早いのです。運動をしても、翌日すぐに効果が見えるわけではありません。減塩の場合は、1週間もあれば血圧は下がってきます。
日本人が1日に摂取する塩分量は、男性は8g未満、女性は7g未満が理想とされ、高血圧の場合はさらに少ない6g未満が推奨されています。しかし、現状は、男性10.8g、女性9.2gと、目標には遠い。
ほとんどの日本人は、塩分のとりすぎです。減塩に取り組むなら、「朝食がお勧め」だそうです。なぜなら、朝は、血圧を上げるホルモン「アルドステロン」が多く分泌され、塩分が腎臓で再吸収されるのを促す働きがあります。朝食で多量の塩分を摂取すれば、体内の塩分が昼も夜も保持されてしまいます。朝食で塩分を抑えると、降圧効果を高めることができます。減塩で目に見えて血圧が下がると継続したくなるものです。

がん検診を受けましょう

1年間にがんと診断される日本人は101万人に上り、38万人近い人がこの病気で命を落としています。がんは死因のトップで、全体の3割弱を占めています。死亡数は85年の2倍にもなっています。
がん死亡が増えている最大の理由は高齢化です。がんは遺伝子の老化といえる病気ですから、年齢とともに増えていきます。年代別では、男性は10~44歳は自殺が死因のトップですが、それ以外のほとんどの年代では、がんが死因の1位を占めます。女性でも、自殺がトップの15~34歳を除くほとんどの年代で、がんが死因の1位です。
がんが死因に占める割合は、20代では1割前後で、その後、年齢とともに高くなっていきます。男性では65~69歳がピークで、この年代では、がん死亡は死因全体の半分弱を占めます。女性では55~59歳がピークで、死亡の6割近くが、がんによるものです。
女性の方が若い年代にピークが来る理由は、乳がんは40代後半、子宮頸(けい)がんは30代に最も多いからです。
がんで死亡する割合は、男性では70代以降、女性では65歳以降は低下していき、100歳以上になると1割にもなりません。心臓病、肺炎、脳卒中、老衰といった、がん以外の病気が原因で死亡する割合が高くなるからです。

がんによる死亡数は年齢とともに増え続けるのは確かですが、がんが死因となる割合は65~70歳からは減り続け、他の病気で死ぬ確率が高まってくるというわけです。
死因としてがんは、中年から70歳前後までの年代で比率が高いのです。がんは働き盛りで家計を支える患者を襲います。もちろん、家族にも大きなダメージになります。
こうした悲劇を避けるには、がんにならない生活習慣を心がけ、運悪くがんになった場合でも、早期発見で完治させることが大事です。

しかし予防できるがんがあります。若い女性に増えている子宮頸がんです。対策を強化しなければ今後50年間で4400万人以上が子宮頸(けい)がんになるとする推計結果をオーストラリア・ニューサウスウェールズ大などのチームが発表しました。一方、ワクチン接種と検診の実施率を上げることで、今世紀中にほとんどの国で撲滅することが可能という。

子宮頸がんは、ウイルス感染が原因で発症する病気で、人口増加や高齢化に伴って世界的に患者数が増えると考えられている。世界保健機関(WHO)はワクチン接種や検診などの対策強化を各国に求めています。日本では2013年に子宮頸がんワクチンが原則無料の定期接種となった。だが体調不良を訴える例が相次ぎ、厚生労働省は積極的な接種の呼び掛けを中止したため、接種率は低迷しています。世界をみれば子宮頸がんの予防接種は100カ国以上で実施されている。なかにはワクチンの徹底でがん撲滅を目指す国もある。このままだと、日本だけが取り残されてしまいます。がんにならないためワクチンを受けましょう。

2019-11-12 11:11:00

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2019年10月

自分の余命 知りたいですか?

 

コンピューターや人工知能(AI)が進歩し、未来を高い確率で予言できる時代が到来しつつある。「自分がいつまで生きられるのか」と考えることは誰でもあります。病気になって人生が残りわずかとわかっていたら、治療の負担をなくし好きなように過ごすこともできる。治療を続けるか、積極的な治療を控える緩和ケアに切り替えるか、その判断は人には難しい場面もある。告知の是非はともかく、死期を察する予測技術の研究が絶えないのはこのためだ。米国では、患者の診断内容を入力すると余命が示される医師向けのサイトが公開されているという。将来について知りたいとの願いは、古今東西に共通する。古代ギリシャでは、疫病の流行や戦況を占ってもらおうと多くの人が神殿を訪れ、巫女(みこ)が伝える神のお告げに耳を傾けた。人類は長い歴史の中で感染症などを克服し、確かな記録が残るここ約300年で平均寿命は40歳弱から80歳超まで延びた。天寿を全うするうえで、将来がいっそう気にかかる。
東北大学の東北メディカル・メガバンク機構(仙台市)は地域の15万人からDNAや血液、尿などを提供してもらい、保管しています。これら以外にも生活習慣を事細かく追跡し、病院にかかった記録や健康データも残す。参加者は、祖父母から孫まで3世代が定期的に情報を提出している。どのような遺伝情報の人がどんな暮らしを送ると、どれだけの病気になってしまうのか。病気の前兆は、いつごろどんなふうに表れるのか。あらゆるデータを突き合わせ、遺伝・生活習慣と病気の方程式解明へ壮大な謎解きが進められています。特定の遺伝子の異常だけでは病気の説明はつかず、特定の遺伝子を最先端技術で修正しただけで病気が治りません。生活習慣や環境も体にじわじわと影響を与えているのです。
将来の病気はどこまで予測できるのか。健康と病気の中間に未病という状態があり、この時期に体の異常を元に戻せば、簡単な治療で健康を保てる。未病のうちに何もできないと病魔は静かに体をむしばみ、ある日、病気が発症する。未病が表れる時期の予測にデータを数学的に解析を試みているチームがあります。この方法が確立すれば、生活習慣などが何十年もかけて体にストレスを加え、むしばまれ始める兆候をキャッチできる。『未病を診断し、治療する』という時代が来るのかもしれません。
最期まで健康で長生きするため科学がサポートし、充実した時を過ごしたいものです。

笑う機会少ない人、死亡リスクは2倍 日本の中高年

山形大学医学部教授の櫻田香氏らの研究で声を出して笑う機会が少ない人は、週に1回以上声を出して笑う人に比べ、死亡と心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞、狭心症など)のリスクが約1.6倍から2倍になることが、日本の中高年1万7000人を対象にした疫学研究で示されました。笑う頻度が低かったグループには男性が多く、喫煙者や、糖尿病患者が多く、配偶者がいない人、運動しない人が多く見られました。年齢、性別、高血圧の有無、喫煙習慣、飲酒習慣などを考慮して比較したところ、笑う頻度が月1回未満の人々は、あらゆる原因による死亡リスクが1.95倍になっていました。笑う門には福来る。

2019-10-09 10:23:13

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2019年9月

片頭痛

 

台風シーズンの夏から秋にかけて、低気圧の接近とともに片頭痛を
訴える人は少なくない。昔からこうした天気の状態による頭痛は
天気病みとも呼ばれていた。仕組みや予防方法を知ってしっかり乗り切りたい。
「片頭痛」は、頭の片側、もしくは両側が脈拍に合わせてズキズキと痛む頭痛のこと。月に1~2回、多い人では週に1~2回ほどの頻度で数時間から2~3日間、痛みが続く。日本では約840万人が悩まされている。
 同じ頭痛でも長時間のパソコン作業などで筋肉が緊張して起こる「緊張性頭痛」は体操や体を動かすことで痛みが引くことが多い。片頭痛は動くとかえって痛みが増す。頭痛以外に吐き気や嘔吐(おうと)、下痢を引き起こすことがあり、仕事や家事が続けられなくなるなど日常生活の大きな支障になることも少なくない。
片頭痛はどんな仕組みで起こるのか。光、音、匂い、空腹(血糖値低下)、ストレスなどによって脳が刺激を受けるとセロトニンという脳内物質が急激に増減を引き起こし脳の血管が広がる。その結果、血管周囲に網目状に張り巡らされた三叉(さんさ)神経を刺激して炎症物質が放出され、脳が痛みを感知する。片頭痛が起こる前に火花や歯車のような光が見えたり、肩こり、生あくび、異常な空腹感などの予兆を感じることもある。
脳への刺激に過敏な人が片頭痛を引き起こすが、光、音、匂いのほか、気候や気圧の変化も引き金となる。片頭痛患者は女性が男性の4~5倍と圧倒的に多く、特に20~40代の女性に集中している。これはセロトニンが女性ホルモン(エストロゲン)の分泌と密接に関係があるからと考えられ、月経や排卵日前後に片頭痛が起こりやすいのはこのためだ。不規則な食生活や過激なダイエットで女性ホルモンのバランスが乱れても、片頭痛の原因になることもある。
市販の頭痛薬に頼る場合もあるが、片頭痛の根本的な治療薬でないと度重なる服用がかえって頭痛を引き起こすケースもある。
 頭痛外来などで専門医が片頭痛患者に処方するトリプタン製剤は血管のセロトニン受容体に作用し、血管の収縮と炎症物質の放出を抑制する。片頭痛の根本原因に直接作用し、痛みを大幅に軽減できる薬です。強い光が誘因することもあるので、夏場の外出時にはサングラスと日傘を準備しておきたい。家庭内でも、蛍光灯やパソコンのブルーライトを避け、できるだけ柔らかい光の照明器具を選ぶ。また、水分補給では硬水のミネラルウオーターがお薦め。脳血管を安定させる作用があるマグネシウムが多く含まれている。

アンガーマネジメント

あおり運転やパワーハラスメント、家庭内暴力――。
「怒り」が引き金となるトラブルが後を絶たない。激情に駆られた言動は人を傷つけ、自らの人生を狂わせることもある。技術の発展で便利な社会となったが、一方で不便さへの耐性がなくなった。生産性やスピードが重視される中で、変化に対応できない人ほど不満をため込んでいる。一般社団法人「日本アンガーマネジメント協会」(東京)という団体があります。怒りへの対処法を学ぶ講座を開き、参加者は年間24万人を超え、6年で約29倍に増えたそうです。1970年代に犯罪者の更生プログラムとして米国で生まれた心理トレーニングを活用し、怒りのメカニズムを学び「許せる範囲」を広げる訓練を重ねる。
アンガーマネジメントとは、怒りの感情に振り回されず、適切に行動するための心理トレーニングです。なかでも比較的知られているのが「6秒ルール」というものです。怒りの感情は6秒でピークに達し、減衰していくという。その間、とりあえずは爆発しないようにし、本当に怒るべきことと、それほどでもないことを見極めれば、不必要な怒りをまき散らさずに済む。
若い世代は、叱られること自体に慣れていないとされる。親や教師にきつく叱られた経験の少ない世代には、仕事環境で怒鳴られることでショックを受けてしまう人が少なくない。すべての怒りを抑え込む必要はなく、相手に無用なダメージを与えない「上手な表現スキル」を身につけるのが肝心といえます。特に個人でできるアンガーマネジメントの手法として「視点を変えて物事をとらえる」訓練が求められます。また、伝えるときは「私が正しい」という自分の正義を押しつけるのではなく、「分かってほしい」という思いを持って向かい合いましょう。

2019-09-05 10:12:00

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2019年8月

日常に笑いで免疫力アップ がんや認知症予防に効果

 

 笑いの殿堂「吉本」がお笑い以外で世間を騒がしています。
 早く笑いで吹き飛ばしてほしいものです。
 笑う門には福来る――。朗らかに過ごせば幸せがやって来るということわざだが、実際、笑いが免疫力を高める効果が明らかとなってきました。笑いを暮らしに取り入れ、さまざまな疾患や認知症の予防に生かす取り組みが広がっています。「ホッホ、ハハハ、ホッホ、ハハハ、イェーイ」。笑い声を上げながらさまざまなポーズを取り、体を動かす「笑いヨガ」というものがあります。笑いヨガは笑いの体操とヨガの呼吸法を組み合わせた健康法。無言でするより酸素を多く取り込め、気分も晴れる。楽しみながらできるので、きつい運動もこなせるのが利点だ。笑い声を出して運動すると、幸せホルモンのセロトニンが分泌され、ストレスホルモンのコルチゾール値は下がる効用があるそうです。
 笑いと健康の関係を調べた研究は多い。大阪府立健康科学センターが健診を受けた八尾市の住民を調べたら、65歳以上の認知機能が低下する危険性は、ほとんど笑う機会がない人の方がほぼ毎日笑う人に比べ2.15倍も高かった。
免疫力の向上にも寄与する。落語や漫才を鑑賞したがん患者30人と、しなかった30人を比較した。鑑賞した群はがんを攻撃する免疫細胞「NK細胞」が増える傾向にあり、鑑賞しなかった群に変化はなかった。
 笑いを日常生活に取り込むにはどうしたらいいか。自分の好きなことをやれば笑顔になれる。他人の目を気にせず、やりたいことをしましょう。もう1つ、効果的なのがペットを飼うこと。人間は赤ちゃんと動物を見ると自然に笑顔になります。健康寿命が注目されるが、たとえ病気で寝たきりになっても笑いを忘れず幸福と感じることは可能。笑って寿命を延ばすこともできます。

炭酸水による体への影響はほとんどなく、水の代用に

 

 近年、糖分を含まない「無糖炭酸水」の市場が伸びています。炭酸水を直接飲用する習慣が広まり、フレーバー入りの炭酸水など多種類のものがあります。炭酸水を好み、水道水やミネラルウォーターの代わりに水分補給に利用している人もいますが、気になるのは健康に対する影響です。
炭酸水は、炭酸ガスを含む水で、通常の水と同じように体内に吸収されます。胃の中でガスの気泡が拡大するので、通常の水を飲んだときより満腹感を強く感じ、食べ過ぎ予防にもなります。ただし、運動する場合は、多くの水分補給が必要になるので、炭酸水より普通の水を飲んだほうがいい。
 炭酸水の多くは酸性のため、カルシウムを溶かすことが懸念されています。英国の研究者の報告によると、水よりは酸性度がわずかに高いものの、炭酸水で歯のエナメル質が溶ける可能性は非常に低く、糖入りの清涼飲料水に比べると、100分の1以下とのことです。

夏の夜はエアコンと扇風機を上手に使い、十分な水分を摂取しましょう

 

 汗は、人間が生まれながら持っている「体のクーラー」です。真夏の睡眠中にかく汗の量は約1リットルともいわれています。汗を効率よく蒸発させ「放熱」を促進するには、扇風機などで気流をつくることが大切。扇風機の風量は小さくても効果があります。
 湿度の高い日本の酷暑では、エアコンなどで部屋の湿度を下げて、眠る環境を整えることも大切です。湿度が高いと、汗の蒸発量が減って体の放熱ができないのです。熱中症予防のためには、エアコンを一晩中つけておくことも大切です。体内リズムを考慮した使い方をし、体に直接エアコンの風が当たらないように工夫すれば、簡単に体を壊すことはありません。理想は睡眠前半だけ、エアコンや扇風機を使い、ここで湿気を抑えて気流をつくり、汗を蒸発させて積極的に放熱します。朝方にエアコンが切れていれば、体温上昇を自然に助けることができます。体温の上昇は快適な目覚めに必要です。眠る前にしっかりと水分をとっておきましょう。脱水症状対策も重要です。夜中に喉が渇く可能性もありますから、ベッドの近くに水を用意しておくことも忘れずに。
 日中の酷暑で弱った体を元気にする眠りのキーワードは「体内リズムに合わせた放熱」。
 上手に実現して不眠ストレスを解消し、体を守ってください。

2019-08-01 11:42:00

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2019年7月

梅雨時の咳や痰、原因は「ホコリに潜むカビ」かも

 

喘息の人は特に注意、アレルギー性肺アスペルギルス症の怖さ
カビの棲みかは浴室や台所だけではない
 カビはお風呂場などのジメジメとした湿度の高い場所に生える、と誰もが思うもの。しかし、実はリビングや寝室のようなごく普通の居住空間にも、たくさんのカビが棲んでいる。
 浴室やトイレ、台所にいる“水回りのカビ”と、リビングや寝室にいる“ホコリのカビ”の性質は全く違います。水回りのカビは湿気が大好きで、湿度90%くらいの環境に生えます。それに対し、比較的湿気がなくても生きていけるのがホコリに潜むカビで、ホコリと一緒に空気中を漂っています。
 水回りのカビが原因で起きる病気には、喘息や副鼻腔炎などのアレルギー疾患や、夏型過敏性肺炎などがあります。夏型過敏性肺炎は、古い木造家屋の腐った木や浴室、トイレなどに発生する、トリコスポロンという真菌を吸い込むことで引き起こされる肺炎。肺を破壊することもある病気で、頻度としては非常に少ない。
 むしろ怖いのは、ホコリのカビの1つ、アスペルギルス・フミガタス(以下、フミガタス)が引き起こす、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症です。われわれは、浴室ではなく、リビングや寝室のホコリを吸う機会のほうがずっと多いのです。
 アスペルギルスには250~300もの種類があり、中にはまったく無害のものも存在する。たとえば、アスペルギルス・オリゼーは、日本人には馴染みの深いコウジカビです。オリゼーは塩麹や醤油、味噌などの旨み成分を出してくれるありがたいカビだが、フミガタスは違う。 フミガタスを吸い込むと、アレルギー反応を起こし、気管支炎や肺炎を引き起こすことがあるのだ。これが、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(以下、アスペルギルス症)で 、治療が遅れると、肺の組織が破壊され、呼吸不全を招きかねない、怖い病気だ。国内に20万人もの患者がいると推測される。 アスペルギルス症は、7~8年も診断がつかないことがよくある。アスペルギルス症は咳や痰などのありふれた症状が多く、風邪や気管支炎、通常の喘息と紛らわしいからだ。また、ここ数年、「長引く咳=咳喘息の可能性が高い」という認識が医師の間に広がってきたこともあって、咳喘息の診断を受け、治療していたのに、実は咳喘息ではなくアスペルギルス症ということもあります。
カビの多い環境に住んでいると、誰もがアスペルギルス症になってしまうわけではありません。カビに対するアレルギー反応を起こすかどうかには体質が大きく影響する。一番注意が必要なのは喘息を持っている人です。もちろん、喘息がなければ大丈夫、というわけでもない。
 アスペルギルス症を診断するには、スギやダニのアレルギーと同じように、血液検査でフミガタスに対するアレルギーの有無(抗体価の上昇の有無)を調べる。治療は、抗真菌薬に加え、喘息の薬も用いるのが基本。アレルギーと感染症の両面があるため、この2つを併用すると効果が高いとされている。
 しかし、根本的な解決のためには、環境対策が第一だ。アスペルギルスは 屋内に潜む可能性が極めて高く、無害なタイプならどの家にも100%存在する。有害なフミガタスでさえ、2~5割で存在する。
アスペルギルス・フミガタス対策として
湿度の低い部屋に移るか、湿度が50%以下になるよう調整する。
 できるだけ風が通りやすく、東と南に窓がある部屋
が良い。
・カビをまき散らさないよう、エアコンの管理を徹底する
 喘息の人など、カビアレルギーが気になる場合は、専門業者にクリーニングを頼むなどの予防策が必要です
空気清浄機があるから大丈夫、と過信しない 。
 部屋全体のカビを除去するほどの機能はないのが現実
です。
加湿器もカビの温床になりやすい。
 夏のエアコン同様、冬に活躍する加湿器もカビの温床になりやすく、選ぶ際は注意が必要だ。
 加湿器には、超音波とスチームの2つのタイプがありますが、カビアレルギーを避けるなら従来のスチームタイプが無難。 
梅雨の湿気の多い時期にはできるだけカビが生えにくい環境づくりで快適な夏を過ごそう。

ゲーム障害は「病気」 依存症で生活に支障、WHOが位置づけ

WHOは今年6月に公表した新しい国際疾病分類ICD-11に、
「ギャンブル障害」と並ぶ形でゲーム障害を入れた。30年ぶりの改訂です。

(1)ゲームをする時間や頻度を制御できない
(2)ゲームが他の関心事や行動に優先する
(3)問題が起きても続ける
(4)個人、家庭、学業、仕事などに重大な支障が出ている
――の4つが12カ月以上続く場合にゲーム障害とみなす。

ゲームの時間確保が最優先で生活が乱れる。
食事、睡眠、排せつといった生きていくうえで必要な行為すら二の次になる。単なる「ゲーム好き」ではなく、依存症で、病気ととらえるべきだという。
厚生労働省の推計では、インターネット依存の中高生は17年度に約93万人にのぼる。
適度に楽しみながらゲームと共存できる方法を探る必要があります。

2019-07-04 10:31:54

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2019年6月

加熱式たばこ(電子タバコ)によって禁煙できなくなる憂慮

 

  世界禁煙デーが5月31日と制定されてから、現在まで27年が経過しました。日本では制定の3年後から、5月31日から6月6日までの1週間を禁煙週間としています。ただ、このことを知っている人はほとんどいません。日本ではもうすぐ東京オリンピックが開催されます。先進国ほど禁煙の取り組みが進んでいますので、日本も遅れをとったままでいることなく、受動喫煙問題に取り組んでいるところです。

  加熱式たばこ(電子タバコ)とは主にたばこ葉にしみ込ませたグリセリンなどが加熱によってニコチンなどを含む蒸気になる仕組みです。火を使わないので煙は出ず、灰も発生しません。現在、フィリップモリスのiQOS(アイコス)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコのglo(グロー)、JTのPloom TECH(プルーム・テック)、の3種類が主製品になります。iQOSとgloはたばこ葉の入ったたばこ状スティックを直接加熱して、Ploom TECHはカートリッジを加熱して発生した蒸気をたばこ葉が入った小さい専用カプセルに通すことで、吸う蒸気にはニコチンが含まれる仕組みです。新型たばこはIQOS(アイコス)が発売されたのを皮切りに、利用者を急速に増やしています。今やその利用者は200万人以上とされ、国内に約2000万人いる喫煙者の1割以上が使用しているといわれています。

  医師が禁煙指導をした際に「新型たばこなら吸ってもよいか?」と問われる場合があります。新型たばこはより効果的な禁煙方法から喫煙者を遠ざけ、結果的に禁煙を阻害する可能性があります。禁煙行動に取り組んだ禁煙施行者を対象に、禁煙成功率を比較。新型たばこの使用と禁煙成功率との関係を調べたところ、新型たばこ使用群では禁煙成功率が低いというデータがあります。患者が禁煙できないのはニコチン依存症のためです。それを解消するにはニコチン代替療法やニコチン受容体部分作動薬といった薬物療法を用いてニコチンに対する離脱症状を緩和する必要があります。新型たばこでは、既存の紙巻きたばことほぼ同量のニコチンを摂取することになり、かつニコチンの血中濃度の変動も紙巻きたばこと同様に大きい。そのため、「禁煙補助薬の代わりになるものではない」

  加熱式たばこは火、煙、灰がなく、臭いも少なく、「有害物質を約90%低減」をアピールしています。報告では主流煙中のタールは約半分、一酸化炭素は100分の1程度になっていますが、ニコチン量は通常の紙巻きタバコ煙とほぼ同程度で変わりません。発癌性を持つニトロソアミン類は約15分の1残っており、有害性はなくなったわけではありません。喫煙により日々繰り返される有毒ガスの曝露の積み重ねの中で、これらの1本当たりの有毒物質の減少したからと言って発癌リスクが減るという証明はされていません。ニコチン含有量がほとんど変わらない加熱式たばこは、ニコチン依存を軽減するどころか、ニコチン中毒状態を維持するために有害物質の供給法を変えたにすぎないのです。そればかりか、ニコチン依存性が増し、ニコチン禁断症状が出現しやすくなり、使用本数が増加する可能性も示されています。最近の米国の研究においても、電子たばこ使用者は紙巻きたばこのみの喫煙者と比べ、ニコチン依存度がより高く、喫煙量の増加がみられ、体内コチニン濃度がより高くなり、電子たばこ使用者の群ではCOPDが増悪した患者の割合がより高い結果が出ています。紙巻きたばこから電子たばこへの移行は、禁煙のプロセスになるどころか、ニコチン中毒状態をより悪化させ、健康被害が増大する危険性をはらんでいるのです。

2019-06-04 11:48:00

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