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2020年7月

病気からどうやって体を守るの?「免疫」の仕組み

細菌やウイルス、カビなどの病原体は体の中に入ると病気を起こし、ときに命を奪う。人だけでなく多くの生き物は外敵から体を守る仕組みをもち「免疫」と呼ばれている。紀元前のギリシャやインドでは、一度かかった病気には再びかかりにくくなることが経験的に知られていたという。病原体から体を守る免疫の現象に気がついていたようだ。
新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、ウイルスなどの病原体から体を守る免疫の働きが改めて注目されている。人間は主に2段階の仕組みで病原体からの攻撃を防御しているが、新型ウイルスはこの攻撃を巧みにかいくぐり、病気を引き起こしている。
新型コロナウイルスの感染では、この自然免疫が注目されている。結核を予防する「BCG」というワクチンを接種する国で、新型コロナウイルス感染症の患者が少ないからだ。BCGが自然免疫の働きを高めているという。

 現代の免疫学では外敵が体に侵入してきたら最初に働き始める「自然免疫」と、外敵に応じた攻撃をしかける「獲得免疫」の2種類が連動していると考えている。どちらも血液中にある「白血球」という細胞から生まれた様々な細胞が、それぞれ独自の役割を果たしている。
 自然免疫では「好中球」や「マクロファージ」「樹状細胞」といった細胞が異物をとにかく食べまくる。分解して排除する。けがをした後に炎症が起きたりうみができたりする。傷口の細菌などを攻撃して起きる結果です。
 獲得免疫では「T細胞」と「B細胞」の2つの細胞(リンパ球)が活躍する。特にT細胞は獲得免疫の司令塔とも呼ばれている。T細胞には「ヘルパーT細胞」や「キラーT細胞」などの仲間がある。ヘルパーT細胞は病原体を分解した樹状細胞から、どんな物質でできているのかという情報を手に入れていることがこれまでの研究で分かってきた。この情報をもとに、B細胞に対し病原体だけを攻撃する「抗体」というたんぱく質を作るように命令を出している。さらにマクロファージの活動もうながしている。キラーT細胞も樹状細胞からもらった情報をもとに、病原体に感染した細胞を見分けて攻撃をしかける。

 このように自然免疫と獲得免疫が協調して外敵とたたかっている。免疫は医学の分野ではとても重要な役割を果たしている。ワクチンはその代表例といえる。まだ免疫の仕組みが分かっていなかった18世紀末、英国の医師のジェンナーは二度なし現象に関心を寄せ、医療に使えるようにした。当時の人たちは感染病の「天然痘(てんねんとう)」を非常におそれていた。ジェンナーは牛がかかる「牛痘」という天然痘によく似た病気がまれに人にうつり、牛痘になった人は天然痘にかからない話にヒントを得て、牛痘にかかった人から取ったうみを男児に注射してみた。男児は体調が少し悪くなったがすぐに回復し、次に天然痘にかかった人のうみを注射しても症状(しょうじょう)は全く出なかった。この実験が免疫学の始まりといわれている。
いまでは子どもたちがかかりやすい病気を中心に、様々なワクチンが実用化され、予防接種で感染を防ぐようにしている。

一方、人工的に抗体を作ってがんなどを治療する「抗体医薬」は、製薬会社の主力商品になっている。抗体はがん細胞にだけできるたんぱく質を目印に攻撃するので、従来の抗がん剤とはちがって正常な細胞を傷つけない。効果が高く副作用の少ない薬として広く使われている。2018年のノーベル賞の対象となった「がん免疫療法」は新しい応用例です。免疫が働かないように情報をやりとりする仕組みが見つかり、がん細胞がこれをうまく使っていることが分かった。情報伝達をたち切り、がん細胞を攻撃できるようにする抗体医薬が実用化した。体の中にある抗体を見つけて肥満や糖尿病(とうにょうびょう)などの生活習慣病を診断する新しい方法の研究も進んでいる。

免疫は暴走することも・・・
このように免疫はとてもよくできた仕組みです。しかしときに暴走することもある。もともと体の中にあった細胞や組織を外敵とまちがえて攻撃してしまう「自己免疫疾患」や、免疫が強く働きすぎて過剰な反応が起きる「アレルギー疾患」などです。

経済の本格的な再開には、有効な治療薬やワクチンの実用化が不可欠です。新型コロナは科学的に解明できていない部分も多く、実用化には時間がかかるかもしれません。
今使われている各種のワクチンは鶏卵などを使って1~2年かけて必要な量をまかなう備蓄用が中心です。新たなワクチンの開発や迅速投入に向けて生産技術を磨く米欧の製薬大手に比べ、日本は未知のウイルスへの対応力が試されています。ワクチンの開発には通常、治験などのために10年近くかかると言われています。各国政府は規制緩和など特例措置により早期開発を後押ししていますが、通常よりも開発期間が短いだけに副作用を含め安全性をどう確保するかも課題です。

2020-07-07 16:41:23

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2020年6月

アビガンが映す日米の差 非常時の薬許可、米は機動的…アビガンへの期待

新型コロナ治療薬として期待される国産薬「アビガン」(経口薬)
の5月中の承認が見送られました。臨床研究などを進めていますが有効性をまだ確認できないからです。一方、一定の効果が示された米国の「レムデシビル」(点滴)は米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可が出て、日本でも特例承認されました。非常時に薬を認める制度は米国の方が機動的です。

アビガンは富士フイルム富山化学の新型インフルエンザ治療薬でした。ウイルスの増殖を抑える効果があるため新型コロナ患者に投与して効果があったとする症例報告があり、科学的に効果と安全性を調べることになりました。藤田医科大学などが無症状・軽症者を対象に3月から臨床研究中です。富士フイルム富山化学が肺炎になった患者を対象に始めた臨床試験(治験)も続けています。

一方、レムデシビルは現在国内で認められた唯一の薬で、医師は新型コロナ患者に普通に使えます。ただ、レムデシビルは米中で異なる治験結果が報告されるなど有効性について結論は出ていません。いわゆる「仮免許」の状態です。使用時の利益がリスクを上回ると考えられ、利用可能な代替品がないと判断すれば未承認薬の一時的な使用を認められたのです。米当局は後から効果がないと分かれば取り消せます。同時並行でギリアド社は数千人規模の治験を実施中で「本免許」である薬事承認の手続きも進めています。

レムデシビルが素早く認められた日本で、アビガンがなかなか承認されないのはなぜか。違いは薬が海外で認められているかどうかです。アビガンは胎児に奇形が生じる副作用が指摘されるが、一定の安全性が認められています。治験も各国で進んでいます。だが肝心の新型コロナに対する信頼性の高い結果はまだ出ていません。薬の承認は国内の治験を経なければなりません。治療薬の開発に向けては、試験方法が適切に設計され、治療効果を比較するための対照群(詐薬投与)を置いたランダム化比較試験を実施しなければなりません。ただ厚生労働省は今回、別の形でアビガンの早期承認を目指しています。「極めて高い有効性が示されれば薬事承認という流れも想定していた」のですが、期待通りにはいかないようです。

アビガンは現在でも患者が同意し医師が必要と判断したら投与できる。人道的観点の「観察研究」という枠組みです。医療機関の倫理審査を経る必要があるものの、既に患者2000人以上に投与されています。日本は薬の承認で慎重な制度を敷いており、一般に承認まで時間がかかる半面、一度認めた薬は取り消されにくい。今回、新型コロナに直面し、慎重さと性急さが入り交じった姿勢がみえる。薬の承認に向けた慎重な研究と医療現場への薬の素早い供給を期待したいものです。

「座りっぱなし」があなたの健康をむしばむ

「座りっぱなし」とは「じっとしていてほとんど動かない状態を言います。筋肉は、体を動かす運動器であると同時に、全身の代謝と深くかかわる臓器です。下肢の筋肉は、収縮することで血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む作用があることが分かっています。座っていることが長時間続くと、筋肉に刺激が入らず、糖の代謝が悪くなります。さらに脂肪を分解する酵素の働きも低下して、血糖値や中性脂肪値を高めてしまう。

また、ふくらはぎは第2の心臓と呼ばれ、足先まで届いた血液を、重力に逆らって心臓に戻すポンプのような働きをしている。座っている姿勢ではひざや腰が曲がっていて、立っている状態よりも血液が心臓に戻りにくくなります。さらにふくらはぎの筋肉が使われないため、ポンプ機能が働かず、血流が悪くなります。そのため心臓に血液を戻すため血圧を高め、しいては血管にダメージを与える可能性があります。

こうした、代謝機能の悪化や血流の低下、血管へのダメージは、メタボ(メタボリックシンドローム)と同じように、動脈硬化を引き起こし、糖尿病、心疾患などのリスク上昇へとつながっていく。世の中が便利になることで、身体をこまめに動かす機会はどんどん減っています。最近は新型コロナウイルスの影響で外出が減り、テレワークの導入が急速に進んだ結果、家で座りっぱなしで過ごす時間がどんどん増えています。こうした不活発な時間の増加による健康状態の悪化が、今後じわじわと進んでくるのではないでしょうか。

健康リスクを回避するためには「こまめに立ち歩く」頻度を増やして、日常生活の見直しをしましょう。ともかく体を動かそうと思うことが大切です。いろいろな運動がありますがスクワットは下半身だけでなく全身の多くの筋肉を使う、「一番大事な種目」ともいえる重要な筋トレです。スクワットは「キング・オブ・エクササイズ」と呼ばれ、きわめて全身運動に近い動作です。運動の種類は問いませんので30分から1時間に一回は体を動かしましょう。

2020-06-04 11:57:28

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2020年5月

世界で猛威振るう新型コロナ 収束に向けた課題

新型コロナウイルス感染症が全世界で猛威を振るっています。
欧米だけでなくアフリカ大陸でも感染が拡大、1日当たり数千人が死亡する状況が続いています。
新型コロナウイルス感染症はいつ、どのような形で収束に向かっていくのでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の収束シナリオを論じる前に、基本的な情報共有をし、なぜここまで感染が拡大し、世界中で猛威を振るっているのかを確認しておきたい。
まずその感染力です。1人の感染者が新たに何人に感染させるかという「基本再生産数」が新型コロナウイルス感染症は1.4~2.5とされ、通常の季節性インフルエンザと同程度と考えられています。しかし新型コロナウイルス感染症の厄介なところは、無症状・軽症の感染者が全体の8割程度いるとされており、そうした感染者からも感染する点です。さらに、新型コロナウイルス感染症は症状発現の直前が感染力ピークを迎えているとのデータも報告されており、無症状・軽症の感染者によるウイルス伝播(でんぱ)が今の事態を招いています。加えて、高い重症化率・致死率を持っている点も問題を大きくしています。国ごとにばらつきはあるが、全世界平均でみると致死率は6%前後です。
大規模臨床試験で有効性が証明された治療薬・ワクチンはありません。そのため、感染拡大の制御方法としては、外出規制などヒト・ヒト間の接触を制限するような対症療法的措置しか手段がありません。

 WHOの基準ではウイルスの潜伏期間の2倍の期間、感染者が新たに発生しなければ終息宣言となります。新型コロナウイルスの潜伏期間は2週間とみられていることから、少なくとも4週間、感染者数がゼロにならない限り、ウイルスとの闘いは終わりません。中国共産党をもってしても、感染者数をゼロにするのは至難の業です。21世紀の世界では、人の往来を完全にシャットアウトすることはできません。
 つまり非常事態宣言を出して感染拡大の第1波を乗り越えられたとしても、新型コロナウイルスを完全に封じ込めるには相当長い期間がかかるのは間違いありません。山中教授が「1年は続く」と指摘したのは、感染力の極めて高いSARS-CoV-2ウイルスの本質を見抜いているからです。

 もちろん、バイオテクノロジーを駆使すれば、効果的なワクチンや治療薬も開発できるでしょう。ただ、その未来がやってくるには年単位の時間がかかります。それまでの間、私たちは医療崩壊を防ぎながら、何とかしのいでいくしかありません。山中教授は、ウイルスとの闘いをマラソンに例えました。長期戦で臨むことを覚悟するしかありません。

乳摂取で高齢時、大腿骨近位部骨折起こす

栄養状態が悪い発展途上国では小児期の牛乳摂取は無論、意味があります。しかし先進国で牛乳を1日3杯以上取ることは推奨しない。海外の主要な医学雑誌の一つN Engl J Medでの「牛乳と健康(総説)」という記事で述べている最重要点は次の8点です。

  1. 思春期の牛乳高用量摂取で最終身長が伸びる
  2. 男性の思春期の牛乳摂取はコップ1杯/日ごとに高齢時の大腿骨近位部骨折リスクが9%増加。
    一方、女性では牛乳摂取と大腿骨近位部骨折に相関はないそうです。
    「発展途上国では牛乳は小児に意味があるが、先進国では過剰摂取は利益がなく害がある」ということ。著者の意見では「牛乳を3杯以上飲むことは推奨しない」とのことです。
  3. 高身長は大腿骨近位部骨折、その他の骨折、肺塞栓症、がんを増やす
  4. カルシウム摂取は骨塩量、大腿骨近位部骨折を改善しない
  5. 小児は、低脂肪乳製品で体重が増加する。ヨーグルトは減量に有効かも
  6. 牛乳摂取は前立腺がん、子宮内膜がんと相関
  7. 全死亡率と蛋白源の関係:加工肉>卵>赤い肉>牛乳>魚>鶏>植物
  8. 牛乳不耐性児は豆乳でアレルギー症状が改善する
カルシュウムをたくさん摂取すれば骨折にならないというのは迷信ということになります。
また牛乳の摂りすぎには注意が必要ということですね。

2020-05-14 15:52:41

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2020年4月

マスクがなくても焦らない! 新型コロナウイルス予防で本当に大切なこと

 2019年末に中国の武漢で発生し、既に日本を含む複数の国で患者が報告されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の今後については、現時点では予測がつきません。
 日本ではマスクの品薄状態は依然として解消されていません。マスクが手に入らないことで、感染への不安は増幅されています。しかしこの状況でも、コロナウイルスがどのように人に感染するのか、その感染経路を知れば、予防できる可能性は大きく高まります。以下に新型コロナウイルス感染症の概要と、今すぐできる予防策をお知らせします。 コロナウイルスは、発熱や風邪のような症状を引き起こすウイルスで、人に感染するものは6種類知られています。なかには、重症急性呼吸器症候群(SARS; 2003年7月に収束宣言)や中東呼吸器症候群(MERS; 2015年12月に収束)といった、重症化を引き起こすウイルスもありますが、それ以外の4種は、一般的な風邪の10~15%を引き起こすに留まります。現時点では、新型コロナウイルス感染症に特化した治療法はありません。症状に合わせて多様な治療が行われ、重症化すれば人工呼吸器も用いられます。 予防対策を考えるために最も重要なのは、新型コロナウイルスがどのようにして人から人へと感染するかを知ることです。一般に、病原体の感染経路として想定されるのは、接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4つです。 日常生活の中で、新型コロナウイルスで注意が必要なのは、接触感染と飛沫感染です。これはインフルエンザウイルスと同様です。飛沫感染と接触感染を防ぐためには、「ウイルスを含んだ飛沫を浴びない」、「ウイルスが付いたものを触らない」「触った手で口や鼻などの粘膜を触らない」、そして、「こまめに手洗いと消毒をする」ことが重要です。
では具体的に、日常生活での感染予防策を考えていきましょう。

 私たちは、家の外に出れば、様々なものに手を触れざるを得ません。電車やバスのつり革、ドアノブ、スーパーのかごやカート、エレベーターのボタン、エスカレーターのベルト、ATMの画面、人の手から手へと移りゆく紙幣やコインなど、手を触れる全てのものに、感染者の口から飛び出した飛沫が付着している可能性があります。こうしたものに触れた手を、無意識のうちに口や鼻に持っていって触ることで、ウイルスが体の中に入ってしまいます(接触感染)。このような接触感染を防ぐには、こまめな手洗いが大切です。新型コロナウイルスにはアルコール消毒が有効とされています。外出から帰ったら、手をしっかり洗ってアルコール消毒をしましょう。ウイルスを自宅に持ち込まないためには、玄関先で手指だけでも消毒しておくとよいでしょう。靴を脱ぎ、最初に手を洗いに行ったとしても、洗面所のドアのノブや水栓には触れざるをえません。石鹸で手を洗った後にそれらを触れば、ウイルスが手に戻るかも知れません。ウイルスや飛沫が目に見えないからこそ、想像力を十分に働かせる必要があります。外出先でも、消毒用のアルコールを携帯して使用すれば、手荒れはしても、感染リスクは下げられます。

 近くの人から飛び散った飛沫は、自分の髪、顔や手の皮膚、マスク、衣類、スマートフォン、本、バッグなどに付着している可能性があります。イヤフォンやヘッドフォン、ノートパソコンを使用していれば、それらの表面にも飛沫は存在します。それぞれの表面で、新型コロナウイルスがどれくらい感染力を維持しているのかは現在のところ不明ですが、数飛沫が物に付着していた場合、それらが手指を介して眼や鼻、口の粘膜に至らないようにすることが何より大切です。できるだけ速やかに正しい手洗いをすること、その後も、シャワーを浴びるまでは、手で目や鼻をこすらず、食べ物をつまんで口に入れないことを肝に銘じましょう。なお、マスクを着用する人も、捨てるときには十分注意してください。表側のみならずゴムバンドにも、ウイルスを含む飛沫が付着している可能性があります。取り外した後の手洗いを確実に行ってください。

「喫煙者は重症化リスク3倍」 新型コロナで米医学誌

 世界保健機関(WHO)が「新型コロナ感染した場合の重症化リスクを高める」として禁煙を呼び掛けている。中国の患者の調査で、死亡したり、人工呼吸器による管理が必要になったりするリスクが、喫煙者は非喫煙者に比べ3倍も高いとのデータが示された。29日死去したタレントの志村けんさんも、かつてはヘビースモーカーとして知られていた。喫煙歴が長いと肺機能は徐々に低下し、新型ウイルスに限らず肺炎のリスクが高くなる。受動喫煙でも呼吸器感染症に対する免疫機能への悪影響が考えられる。屋内の喫煙室は密閉構造で人が集まりやすく、クラスター(集団感染)が発生しやすい場所の条件に当てはまる。このため名古屋駅前の大名古屋ビルヂングなどの商業施設では喫煙室を当面閉鎖する動きもある。 紙巻きタバコや電子タバコを使用している人は、非喫煙者よりも、インフルエンザなどの 感染により病状がずっと重くなる。 電子タバコ使用者は呼吸器感染症にかかりやすく治りがおそいことも分かっている。動物実験と細胞実験によって、ヒトの気管支の粘液 繊毛運動が抑制され、肺炎リスクが 高まると報告されている。電子タバコを使用すると、生来持っている免疫システム の幅広い能力が損なわれる。喫煙はコロナ肺炎の悪化と死亡原因の中で群を抜く高いリスクを示している。どうかコロナ感染を防ぐカギとして、紙巻きタバコと 電子タバコを止め、受動喫煙をなくそうと叫んでほしい。 地域にとっても、企業にとっても、家庭にとっても、今が電子タバコを含む禁煙を法律と ルールを通じてなくす活動を前進させ、非喫煙者に対する受動喫煙と電子タバコエアロゾルばく露をなくし、喫煙者の禁煙を促進する好機である。

2020-04-02 11:17:03

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2020年3月

肺炎は実地臨床でよく遭遇する一般的なよくある病気の一つであると同時に、死亡率も高い重要な疾患です。肺炎の原因となる病原体は数多くあります。ウイルス感染症の診断法の進歩に伴い、肺炎におけるウイルスの重要性が注目されてきました。

肺炎に関与する多くのウイルス

 

ウイルス性肺炎を病態でみると、気道に親和性を有する呼吸器系ウイルスが上気道に感染し下気道に感染が拡大していく場合と、ウイルス血症を伴う全身性ウイルス感染症の肺病変としてみられる場合に分けることができます。前者には、インフルエンザウイルス、ヒトRS ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、SARS ウイルス、などが挙げられます。後者には、サイトメガロウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、などがあります。

市中肺炎全体の24.1%に呼吸器系ウイルスが検出され、下気道検体が得られた研究に限定すると、その頻度が44.2%にのぼるとされています。肺病変の形成にどのようにウイルス感染が関与しているのかについては今後の検討課題でありますが、従来考えていたよりも、市中肺炎におけるウイルス感染の関与は大きいということが示されてきました。近年、実地臨床におけるウイルス感染症の診断は迅速化され、ウイルス感染による肺炎を臨床的にリアルタイムに捉えることが可能となってきました。臨床上重要な呼吸器系ウイルス感染症の抗原検出キットが臨床応用されています。日本では、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヒトRS ウイルス、ヒトメタニューモウイルスの抗原検出診断キットが市販され、ベッドサイドでのウイルス感染症診断が可能となっています。

 

ウイルス性肺炎の治療戦略について

肺炎に関与するウイルスで最もよくその病態が理解されているのはインフルエンザウイルスです。インフルエンザに伴う肺炎では、ウイルス感染そのものによる純粋なウイルス性肺炎と、細菌性肺炎を合併したもの、ウイルス感染が軽快した後に細菌感染を合併する場合があります。
インフルエンザによる肺炎の治療にはノイラミニダーゼ阻害作用を有する抗インフルエンザ薬が適応となり、できるだけ早期から抗インフルエンザ薬を投与することが推奨されます。水痘・帯状疱疹ウイルス感染の臨床診断は特徴的な皮疹を確認することがまず重要となります。サイトメガロウイルス感染は臨床像と血中サイトメガロウイルス抗原検出や血中ウイルス量の定量に基づいて臨床診断を行います。水痘帯状疱疹ウイルスや単純ヘルペスウイルスではアシクロビルの投与、サイトメガロウイルス感染ではガンシクロビルやフォスカルネットの投与が適応となります。その他の呼吸器系ウイルス感染症に対する抗ウイルス薬の治療はいまだ確立されていません。コロナウイルスも同じです。

正しい「咳エチケット」を知っていますか?

 通常の風邪やインフルエンザと同じく、新型コロナウイルスについても、「咳エチケット」と「手指の衛生」が2大対策となる。

マスク着用の注意点
 日本では感染症の予防策としてマスクをつけている人が多いが、マスクは、咳やくしゃみなどの症状がある人が飛沫をまき散らさないようにするために使うか、症状がある人と近距離で接する人が使うのがいい。マスクを着用する際は、きちっと口や鼻を覆う、針金状の物が端に入っているタイプのマスクの場合は、それを曲げて鼻に沿わせる、といったことも重要だ。
 もう一つ気をつけたいのはマスクを「外す時」。マスク表面にはウイルスが付着している可能性があるため、マスクの中央を不用意に持つようなことはせず、ゴムヒモ部分だけを持って耳から外し、そのまま表面には触れずにゴミ箱に捨てることが重要だ。できればマスクを取った後に手を洗うとベストです。

アルコールはたっぷりと手全体に
 感染症対策のもう一つの柱「手洗い」は、「せっけん」を使って洗い、「流水」で洗い流すこと、そして「アルコール」も有効です。 せっけんの泡を付けて手のひらや甲、指と指の間などをこすり、こする時間の目安は15~20秒。水で洗い流す時間も含めて30秒はかけるのが理想です。
 アルコールについては、「量」がポイント。「指先などに少しだけ使うのではなく、手の指の間からこぼれ落ちるくらいたっぷり手に取り、手全体をアルコールで覆うように使うのがコツです。

中国の新型コロナ患者の8割は軽症、死亡者の多くが高齢者または持病あり
7万人超のデータを分析、致命率は2.3%

 世界中を揺るがせている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で、2月17日、これまでで最大規模となる7万人超の患者の分析データを中国疾病対策予防センタ−(中国CDC)が発表しました。新型コロナウイルスの感染が確定した患者の8割は軽症で、致命率(患者数に対する死亡者数の割合)は2.3%、死亡者の多くが60歳以上の患者か、併存疾患(心血管疾患、高血圧、糖尿病など)のある患者でした。

 分析対象は、中国で新型コロナウイルス感染が確認された確定例4万4672人。30~60代の患者が8割を占め、10代までの若年層は患者数、致命率ともに低かった。重篤な患者(肺での呼吸がうまくいかない呼吸不全が発生、感染症による炎症が全身に及び低血圧が持続するショック状態が発生、多臓器不全が発生する)の致命率は非常に高く(49%)、ほぼ2人に1人が死亡していました。 併存疾患がなかった患者の致命率は0.9%で、併存疾患のある患者、特に心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、脳卒中など)を抱えていた患者の致命率は10.5%と高くなっていました。

 日に日に知らないうちに感染している例が増加しています。健康で合併症のない方は恐れる必要はありません。何某らかの合併症を抱えている高齢者は感染しないよう心がけましょう。

2020-03-04 12:48:43

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2020年2月

 インフルエンザの流行はこれまでのところ、昨シーズンに比べ落ち着いている。暖冬も一因とみられている。小中学生の患者が多いのが今シーズンの特徴で、冬休みが感染の広がりを抑えた可能性があるという。例年シーズンのピークは1月後半です。今シーズンもここにきて患者が増え始めていますが、勢いは限られています。

本物の風邪は受診の必要なし まず3症状(咳、鼻水、のどの痛み)をチェック

 

 風邪はありふれた病気の一つであり、多くは数日から1週間程度で自然に治ってしまう。一方で「汗をかくと風邪が治る」「風邪は抗生物質で治る」など、間違った認識を持っている人も少なくない。風邪とは「自然に良くなる上気道のウイルス感染症」です。上気道とは気道の上の部分に当たる鼻、のどのこと。ここにウイルスが感染することで風邪を発症する。薬などを飲まなくても、放っておいてもやがて治ってしまうことを意味する。
 ライノウイルスやコロナウイルスをはじめ、風邪の原因となるウイルスは200種類以上あります。そのすべてのウイルスに効く薬はありません。
一般に風邪薬と呼ばれる薬は対症療法の薬。「熱を下げる」「鼻水を止める」などの症状を抑える作用があるだけで、風邪の原因であるウイルスを殺すわけではありません。

 

一見「風邪」だが実はちがう 受診すべき6つの症状

1. 38℃以上の高熱が3日以上続く
 風邪をひいて初日に38℃を超える高熱が出ることも少なくない。しかし、風邪による高熱は長くても2日くらいしか続かないことが多い。3日続いたら、ウイルスではなく、細菌による感染症の可能性が高まります。
風邪の3症状である「咳(せき)」「鼻水」「のどの痛み」がまったくなく、38℃以上の熱だけの場合も風邪ではない可能性が高い。

2. いったん良くなりかけてぶり返す
 いわゆる「風邪をこじらせた」状態で、改善傾向にあると思っていたら再び高熱が出る、咳がひどくなる、といったときだ。こういうときは細菌に感染していることも少なくない。風邪のウイルスによって鼻やのどの粘膜が炎症を起こすと、細菌に感染しやすくなってしまうのだ。
例えば鼻水だけがダラダラ出続け、頬(ほお)の片側に痛みがある場合、細菌性副鼻腔炎などが考えられます。こういうときはすぐに耳鼻科に受診してください。

3. 寒くてガタガタ震える
 発熱すると寒さを感じやすくなるもの。それにはランクがあり、最も強いものはガタガタと体が震え、止めようと思っても止まらない「悪寒戦慄(おかんせんりつ)」は細菌感染している可能性があります。高齢者は風邪をひいても気付かないくらい軽くすむことが多い。症状が重いときや、寝汗をびっしょりかく場合(シャツを交換するほど)は要注意と心得て医療機関を受診してください。

4. のどに痛みを感じるのに、つばを飲み込んでも痛くない
 のどが痛いのに、つばを飲んでも痛くない場合は風邪ではない可能性が高い。つばを飲み込むだけというとても簡単なチェックなので、ぜひ実行してほしい。

5. 咳をすると胸が痛い、痰(たん)に血が混じっている
 風邪をひくと粘膜が炎症を起こして細菌に感染しやすくなる。成人の場合、最も多いのは肺炎です。細菌性の副鼻腔炎や中耳炎を起こすこともある。

6. 咳が2週間以上続いている
 咳が2週間以上続いているときは肺がん、咳喘息(ぜんそく)、結核などの病気になっている可能性があります。そのほか、後鼻漏(鼻水がのどに流れる)や胃食道逆流症(胃液が食道に上がってくる)によって咳が続いていることもあります。

家庭でのウイルス対策

〇手洗いこそウイルス対策の基本
手洗いこそウイルス対策の「基本中の基本。様々な物に付着したウイルスを洗い流すことで「接触感染」を防げるからだ。1日に11回以上手洗いをする人は、風邪のリスクを半分以下にできることが複数の研究で示されているという。

〇水うがいで風邪のリスク4割減
のどに付着したウイルスはうがいで洗い出す。1日3回水でうがいすれば、風邪にかかる割合を4割程度減らせるという研究結果もある。
マスクを装着すれば、せきやくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛沫感染」を防げる。うがいやマスクにはのどを潤す効果があることも見逃せない。鼻と口の粘膜は乾燥すると傷ついて、ウイルスがつきやすくなる。予防のためにも、積極的に取り組みたい。

2020-02-05 16:43:00

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2020年1月

あけましておめでとうございます。今年もより良い治療ができるよう尽力いたします。
患者様のためになる情報も発信していきますのでよろしくお願いいたします。

肺炎にならないために

 

 昨年末は例年になく温かく、風邪をひく患者さんが少なかったように思います。風邪というのは上気道、つまり「のどまでの感染」です。それに対して、のどより下(奥)が感染すると気管支炎や肺炎になります。風邪をひいて扁桃腺が腫れやすい人がよく「のどが弱いんです」と言いますけど、のどはウイルスや細菌の関所ですから、扁桃腺が腫れるというのはそこで止めているということです。そういう意味では、扁桃腺が腫れやすい人は免疫が強い、むしろ「のどが強い」とも言えます。扁桃炎といえば口の中から見える両脇の扁桃腺の炎症と思う方が多いのですが、鼻の奥の上咽頭にあるアデノイドという扁桃組織の炎症も多いのです。鼻呼吸をするとここが第一の関所となるからです。
 肺炎というのは文字通り、肺に炎症が起きる病気です。風邪をひいたことがきっかけで肺炎を起こすこともある。特に高齢者は風邪やインフルエンザから肺炎を起こしやすい。例えばA型インフルエンザで肺炎を合併する割合は、80歳以上で13.3%、65~79歳で2.1%、16~64歳で0.8%という報告が出ています。高齢者ほど肺炎を起こしやすいのです。風邪やインフルエンザになると、ウイルスによってのどの線毛が炎症を起こしてダメージを受けます。すると異物を外に出す力が落ちてしまうので、後から来た細菌が気道の中に入ってしまう。下気道に細菌が侵入して気管支炎や肺炎を起こしてしまうのです。
 高齢者の場合、風邪をひかずに最初から肺炎になることもあります。扁桃腺や線毛など、のどのバリアーが弱くなっているので、細菌に感染していきなり肺炎になってしまう。高齢になると高熱は出ないので、微熱と咳くらいで風邪だろうと思っていたら肺炎だったということは珍しくありません。
 厚生労働省の「人口動態統計」によると、誤嚥性肺炎を入れると肺炎は日本人の死因第3位です。高齢者の場合、肺炎と誤嚥性肺炎を明確に区別するのは難しい。さらに言えば、死亡原因にある「老衰」も本当は肺炎だったかもしれません。高齢者は肺炎になっても高熱が出ないで微熱程度、または平熱のこともあるので要注意です。
 年を取ると、のどの老化が進み、誤嚥をしやすくなる。自分で「のどの老化度」を知ることが重要です。反復唾液嚥下テスト、いわゆる「ゴックンテスト」があります。やり方は非常に簡単です。まず水を一口飲んで口の中を湿らせてから、「30秒間に何回唾液を飲み込めるか(空嚥下回数)」を見るだけです。若い人は10回くらいできるのですが、年を取ると筋力が衰え、唾液の分泌も減るため回数をこなすのが難しくなっていきます。20代で10回、30代で9回、40代で8回、50代で7回、60代で6回、70代で5回が「のど年齢」とするとわかりよい。のど年齢が70代以上、つまり30秒間で5回以下になると誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。実際、高齢になると食事中にむせることも増えていくでしょう。

のどを鍛えて「のど年齢」を若返らせるにはどうすればいいのか。

 日常会話も含めて、声を出すことがのどの老化を抑える上でとても大切です。声を出す力が弱くなると飲み込む力も弱くなり、のどの老化が進んで、むせやすくなります。好きな本でも新聞の社説でも何でも構わないので、声に出して読んでみるとよいです。
 そして、忘れてはいけないのが「肺炎球菌ワクチン」と「口腔ケア」です。実は、肺炎の予防法としてエビデンス(科学的根拠)が高いものはこの2つです。のどを鍛えるのもいいですが、予防法としてこれに優るものはありません。肺炎球菌は肺炎の原因菌の中で最も多く、肺炎全体の3~4割程度を占めています。65歳になると、肺炎球菌ワクチン接種に対して自治体から助成が出ます。ワクチンを打っておけば、肺炎を発症した場合でも重症化を防げます。
 もう1つは口腔ケアです。口腔ケアと肺炎は一見関係なさそうですが、実は誤嚥性肺炎を生じる肺炎球菌や嫌気性菌などは口の中にもいます。歯みがきで口中の細菌を減らせば、肺炎に感染するリスクもそれだけ低くなる。実際、2年間の口腔ケアによって、高齢者の肺炎死亡率が16%から7%に低下したという報告も出ています。夜間眠っているときに唾液が減って口の中の細菌が増えますから、少なくとも就寝前と起床直後に歯みがきを実践してください。できれば1日4回(朝起きたとき、朝食後、昼食後、寝る前)に歯をみがくのがお勧めです。

2020-01-07 12:46:01

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2019年12月

インフル新薬「ゾフルーザ」による変異ウイルス、感染力同じ

 

厚生労働省は11月15日、インフルエンザが流行入りしたと発表しました。昨年よりも4週早く、新型インフルエンザが夏に流行した2009年を除くと、統計がある1999年以降で最も早い。都道府県別で患者が最も多いのは沖縄県。次いで鹿児島県、青森県、長崎県と続き、18都道県で流行入り水準に達しました。幼稚園、小学校、中学校で34件の学級閉鎖や学年閉鎖が例年よりも多くなっています。ただ、学級閉鎖などを行うと、地域での感染拡大がある程度は抑えられる傾向があります。そのため、一旦は感染者が減少し、その後にまた増加していくことも考えられます。一方、現在の流行が緩やかに続いていく可能性もあり、現時点では予測が難しいところです。

季節性インフルエンザにはA型とB型があり、A型には「AH1pdm09(2009年に新型インフルエンザとして流行した型)」と「AH3(いわゆる香港型)」があります。3年ぐらい前までは、「AH1pdm09」と「AH3」が交互に流行し、年明けから春先にかけてB型が増えるというのが、典型的な流行のパターンでした。しかし、2017~2018年のシーズンは、当初からB型が流行し始め、ほぼ同時期に「AH1pdm09」、次いで「AH3」が増えました。そのため、シーズン中に複数回、インフルエンザを発症する人が増えています。流行のパターンが変則的になっているのに加えて、例年よりも早い流行入りもあり、今後どのような流行の仕方をするのか、経過を見ていく必要があります。

早めのワクチン接種を。

特に、インフルエンザにかかると重症化しやすい乳幼児や高齢者、呼吸器に基礎疾患がある人、免疫が低下している人などは、接種しておくといいでしょう。インフルエンザのワクチンは、接種してから抗体がつくまでに約2週間かかります。ワクチンの接種は10月から始まっていますので、お住まいの地域で流行が始まっている場合は、早めの接種が勧められます。

ただし、インフルエンザのワクチン接種は、あくまでも重症化を防ぐことが目的です。ワクチンを接種したとしても、感染することはあります。どんなワクチンでも時間がたてば、徐々に抗体価が低下して、予防効果が薄れていきます。2回接種すれば効果が高まるという根拠も特になく、健康な大人の場合は、1回の接種が基本と考えればよい。

ワクチンを接種したとしても、手洗いなど日常的な予防も必要。

インフルエンザの主な感染経路はくしゃみや咳(せき)による飛沫感染ですが、ウイルスが付着した物やドアノブ、手すり、つり革などを手や指で触れ、その手や指で鼻や口、目を触ることでも感染しますので、こまめに手を洗う習慣をつけましょう。アルコール性手指衛生剤での洗浄も有効です。


 

今年のインフルエンザ治療薬

ゾフルーザは、ほかの治療薬(タミフル、イナビル、リレンザ、ラピアクタ)とは違うメカニズムでインフルエンザウイルスに働きます。
インフルエンザウイルスに感染すると、呼吸器の細胞の中で増殖し、細胞から飛び出して別の細胞へと広がっていくのですが、タミフルなど、ゾフルーザ以外の薬は、増殖したインフルエンザウイルスが細胞から飛び出すのを妨げることで、病気の進行をくい止めます。

一方、ゾフルーザは、細胞の中でウイルスが増殖する仕組みを遮断し、増殖そのものを抑える働きがあります。その特徴は、1回の内服で済み、かつウイルスの排出がいち早く止まることです。ゾフルーザは昨年3月に販売開始、抗インフルエンザ薬の中で最も多く使われました。一方で変異ウイルスが高い頻度で出ることは以前から問題となっており、日本感染症学会は10月、12歳未満には慎重に投与するよう提言しています。19年春にはゾフルーザを服用していない患者から変異したウイルスが数例見つかっています。異株が人から人にうつる可能性が高いことを表しています。
当院ではこれを踏まえてゾフルーザは極力使用せず、従来の内服、吸入薬の使用方針で臨みます。

2019-12-05 14:05:44

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2019年11月

減塩は高血圧の基本

 

高血圧の人は国内に4300万人もいるといわれ、50代以上の男性では
5割近くが該当します。では、高血圧の対策として、具体的に何から始めるべきなのでしょうか。まず実践してほしいのは減塩です。一般に、血圧を下げるために「生活習慣」の改善が大事なことはよく知られています。「減塩」「運動」「減量」などが代表的な対策となります。その中でも一番に減塩は、効果が高く、効果が出るのも早いのです。運動をしても、翌日すぐに効果が見えるわけではありません。減塩の場合は、1週間もあれば血圧は下がってきます。
日本人が1日に摂取する塩分量は、男性は8g未満、女性は7g未満が理想とされ、高血圧の場合はさらに少ない6g未満が推奨されています。しかし、現状は、男性10.8g、女性9.2gと、目標には遠い。
ほとんどの日本人は、塩分のとりすぎです。減塩に取り組むなら、「朝食がお勧め」だそうです。なぜなら、朝は、血圧を上げるホルモン「アルドステロン」が多く分泌され、塩分が腎臓で再吸収されるのを促す働きがあります。朝食で多量の塩分を摂取すれば、体内の塩分が昼も夜も保持されてしまいます。朝食で塩分を抑えると、降圧効果を高めることができます。減塩で目に見えて血圧が下がると継続したくなるものです。

がん検診を受けましょう

1年間にがんと診断される日本人は101万人に上り、38万人近い人がこの病気で命を落としています。がんは死因のトップで、全体の3割弱を占めています。死亡数は85年の2倍にもなっています。
がん死亡が増えている最大の理由は高齢化です。がんは遺伝子の老化といえる病気ですから、年齢とともに増えていきます。年代別では、男性は10~44歳は自殺が死因のトップですが、それ以外のほとんどの年代では、がんが死因の1位を占めます。女性でも、自殺がトップの15~34歳を除くほとんどの年代で、がんが死因の1位です。
がんが死因に占める割合は、20代では1割前後で、その後、年齢とともに高くなっていきます。男性では65~69歳がピークで、この年代では、がん死亡は死因全体の半分弱を占めます。女性では55~59歳がピークで、死亡の6割近くが、がんによるものです。
女性の方が若い年代にピークが来る理由は、乳がんは40代後半、子宮頸(けい)がんは30代に最も多いからです。
がんで死亡する割合は、男性では70代以降、女性では65歳以降は低下していき、100歳以上になると1割にもなりません。心臓病、肺炎、脳卒中、老衰といった、がん以外の病気が原因で死亡する割合が高くなるからです。

がんによる死亡数は年齢とともに増え続けるのは確かですが、がんが死因となる割合は65~70歳からは減り続け、他の病気で死ぬ確率が高まってくるというわけです。
死因としてがんは、中年から70歳前後までの年代で比率が高いのです。がんは働き盛りで家計を支える患者を襲います。もちろん、家族にも大きなダメージになります。
こうした悲劇を避けるには、がんにならない生活習慣を心がけ、運悪くがんになった場合でも、早期発見で完治させることが大事です。

しかし予防できるがんがあります。若い女性に増えている子宮頸がんです。対策を強化しなければ今後50年間で4400万人以上が子宮頸(けい)がんになるとする推計結果をオーストラリア・ニューサウスウェールズ大などのチームが発表しました。一方、ワクチン接種と検診の実施率を上げることで、今世紀中にほとんどの国で撲滅することが可能という。

子宮頸がんは、ウイルス感染が原因で発症する病気で、人口増加や高齢化に伴って世界的に患者数が増えると考えられている。世界保健機関(WHO)はワクチン接種や検診などの対策強化を各国に求めています。日本では2013年に子宮頸がんワクチンが原則無料の定期接種となった。だが体調不良を訴える例が相次ぎ、厚生労働省は積極的な接種の呼び掛けを中止したため、接種率は低迷しています。世界をみれば子宮頸がんの予防接種は100カ国以上で実施されている。なかにはワクチンの徹底でがん撲滅を目指す国もある。このままだと、日本だけが取り残されてしまいます。がんにならないためワクチンを受けましょう。

2019-11-12 11:11:00

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2019年10月

自分の余命 知りたいですか?

 

コンピューターや人工知能(AI)が進歩し、未来を高い確率で予言できる時代が到来しつつある。「自分がいつまで生きられるのか」と考えることは誰でもあります。病気になって人生が残りわずかとわかっていたら、治療の負担をなくし好きなように過ごすこともできる。治療を続けるか、積極的な治療を控える緩和ケアに切り替えるか、その判断は人には難しい場面もある。告知の是非はともかく、死期を察する予測技術の研究が絶えないのはこのためだ。米国では、患者の診断内容を入力すると余命が示される医師向けのサイトが公開されているという。将来について知りたいとの願いは、古今東西に共通する。古代ギリシャでは、疫病の流行や戦況を占ってもらおうと多くの人が神殿を訪れ、巫女(みこ)が伝える神のお告げに耳を傾けた。人類は長い歴史の中で感染症などを克服し、確かな記録が残るここ約300年で平均寿命は40歳弱から80歳超まで延びた。天寿を全うするうえで、将来がいっそう気にかかる。
東北大学の東北メディカル・メガバンク機構(仙台市)は地域の15万人からDNAや血液、尿などを提供してもらい、保管しています。これら以外にも生活習慣を事細かく追跡し、病院にかかった記録や健康データも残す。参加者は、祖父母から孫まで3世代が定期的に情報を提出している。どのような遺伝情報の人がどんな暮らしを送ると、どれだけの病気になってしまうのか。病気の前兆は、いつごろどんなふうに表れるのか。あらゆるデータを突き合わせ、遺伝・生活習慣と病気の方程式解明へ壮大な謎解きが進められています。特定の遺伝子の異常だけでは病気の説明はつかず、特定の遺伝子を最先端技術で修正しただけで病気が治りません。生活習慣や環境も体にじわじわと影響を与えているのです。
将来の病気はどこまで予測できるのか。健康と病気の中間に未病という状態があり、この時期に体の異常を元に戻せば、簡単な治療で健康を保てる。未病のうちに何もできないと病魔は静かに体をむしばみ、ある日、病気が発症する。未病が表れる時期の予測にデータを数学的に解析を試みているチームがあります。この方法が確立すれば、生活習慣などが何十年もかけて体にストレスを加え、むしばまれ始める兆候をキャッチできる。『未病を診断し、治療する』という時代が来るのかもしれません。
最期まで健康で長生きするため科学がサポートし、充実した時を過ごしたいものです。

笑う機会少ない人、死亡リスクは2倍 日本の中高年

山形大学医学部教授の櫻田香氏らの研究で声を出して笑う機会が少ない人は、週に1回以上声を出して笑う人に比べ、死亡と心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞、狭心症など)のリスクが約1.6倍から2倍になることが、日本の中高年1万7000人を対象にした疫学研究で示されました。笑う頻度が低かったグループには男性が多く、喫煙者や、糖尿病患者が多く、配偶者がいない人、運動しない人が多く見られました。年齢、性別、高血圧の有無、喫煙習慣、飲酒習慣などを考慮して比較したところ、笑う頻度が月1回未満の人々は、あらゆる原因による死亡リスクが1.95倍になっていました。笑う門には福来る。

2019-10-09 10:23:13

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