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2018年

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2018年12月

ノーベル賞・本庶氏ら開発のがん免疫療法、改良続く

 

 ノーベル賞受賞した京都大学の本庶佑特別教授は,がん免疫療法の未来を切り開きました。本庶氏は「免疫療法が将来のがん治療の中心になり、ペニシリン発見に匹敵する」と強調されていますが、現在は免疫療法で全てのがんが治るわけではありません。多くの研究者は免疫療法だけですべてのがんは治らず、まだまだ幅広い基礎研究が必要と考えています。
 京大の本庶研究室の一室で開発したのは「PD―1」と呼ぶ分子です。本庶氏らが発見したがんに対する免疫反応を抑える分子で、この働きを低下させて免疫ががんを攻撃する治療法として皮膚や腎、肺などのがんに使われるようになりました。
「現在のがん免疫療法には3つの問題がある」と言われています。患者によって効果にばらつきがある。効果がない患者に効果を発揮させる方法がないこと。治療前に効くか効かないかを事前に見分ける指標がない。一定期間、投与してみないと効果が分からない。
 がんは現在の日本人の死因の1位だが、免疫療法の研究開発が進めば脅威でなくなる可能性があると期待しています。がん免疫療法の研究は一段と活発になってきました。それでもがん全体を克服できるような治療法が登場する状況ではまだありません。がん全体を人類が克服するのは相当な期間がかかると予想されています。がんは患者ごとにばらつきが大きく、また一人の患者でも細胞ごとに性質のばらつきがあります。抗がん剤治療がよく効いて大部分のがん細胞が死んでも、潜んでいた薬が効きにくいがん細胞が再発を引き起こす。免疫療法も同様で、現状では長期間効果が持続する患者は限られると考えられています。
 本庶氏らのPD―1の研究は当初、抗がん剤開発を目指したものではなく、免疫細胞の自殺に関わる遺伝子を探す分子生物学の基礎研究でした。その中でPD―1も数多くの基礎研究がうまくつながり、大きな成果が生まれたのです。つまり、がんに限らない幅広い生命科学の基礎研究に力を入れる必要があるということです。これががん征圧への一歩となるようです。
 

「AI診断」の時代…2019年にも幕を開け

 先日、検診の胸部エックス線検査で、肺がんを見落とされた患者が死亡した問題が話題になりました。見落としはどの医師でもありうることですが、医師として重要なことは「おかしいな」と思う知識と経験が必要です。
 医師がレントゲンなどの画像診断の報告書を作成する作業をAI(人工知能)で支援するシステムができています。専門医が事務作業に費やす負担を軽減し、画像診断に集中できるようにする。さらに、実用化が近づくのは、磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影装置(CT)の画像からがんなどの病変をAIが自動的に見つける技術です。AIの主流技術とされる深層学習(ディープラーニング)を応用し、病気の可能性が高い部位や悪性度を示すことで、最終的に診断する医師を支援する。レントゲン画像診断だけでなく消化器内視鏡の実証実験ではAIが専門医を上回る正解率を得ています。
 これまで医師が多くの画像を見て判断していたプロセスを短縮でき、見落としなどのリスクも抑えられる。専門医の人件費を削減でき診断コストも下がります。自動車の自動運転と同様医療の世界も新しいイノベーションが起こることは確かです。逆にAIを利用しない医師は疾患を見落としたときに訴訟になる時代が来るかもしれません。

2018-11-28 10:47:57

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2018年11月

めまい…ストレスが一因

 

 突然起こるめまい。ふらつく感覚が不快なうえ、耳鳴りなど他の症状を伴い、深刻な病気の前ぶれではないかと不安になるものです。めまいとは、本当は動いていないのに、自分や周囲が動いているように感じる状態です。人の体は耳と目、関節、筋肉で感じ取った周囲の情報を、小脳が調整することでバランスを保っている。関係する器官のうち1つでも問題が起きると、バランスが乱れてめまいが起こる。
 内耳には体のバランス感覚をつかさどる耳石器と三半規管がある。耳石器には炭酸カルシウムの細かい結晶「耳石」がたくさん付着しているが、これがはがれたものが三半規管内に移動し、ある程度の塊になって内リンパ液の流れを乱すとめまいが起こる「良性発作性頭位めまい症」。耳石を戻す操作をすることによりすぐに改善いたします。
 だが同じ回転性のめまいでも、激しいめまいが長期にわたり繰り返し起こるなら「メニエール病」を疑う。1回あたりの持続時間は10分~半日、頻度は週に数回~年に数回と個人差が大きい。難聴や耳鳴り、吐き気や嘔吐(おうと)を伴うことがあります。メニエール病は、内耳で内リンパ液が増えて水ぶくれ状態になり、三半規管や蝸牛(かぎゅう)を圧迫することで症状が出る。水ぶくれの原因はよくわかっていないが、体の水分を調整するホルモンがストレスで変調するためとも言われている。ストレスを減らすことが重要です。自律神経が関与することもあり、脳の一時的な血流不足がめまいを引き起こす。
 なかなか治らないめまいがあれば、バランス感覚を養うトレーニングを試してみるのも良い。利き手をまっすぐ前に伸ばし、手を軽く握って親指を立て、反対の手の人さし指であごを押さえて頭を固定、利き手を左右に30度ずつゆっくり動かす。頭は固定、目だけで親指の爪を追いかける動作を左右交互に20回繰り返す。目だけをしっかり動かすと、バランスの司令塔である小脳が鍛えられます。
 ただし、めまいにも命に関わる病気が隠れていることがあります。脳梗塞や脳出血、脳腫瘍が原因の場合です。ろれつが回らない、手足がしびれる、激しい頭痛といった症状を伴うなら、脳の病気を疑います。
 

睡眠時間が短いと、肥満になる

 

 睡眠不足が積み重なると、集中力の低下や疲れだけでなく、様々な体への悪影響があります。
「睡眠負債」といって、睡眠不足のまま過ごしていると、不足が積み重なって「負債」となり、体にいろいろな不調をもたらします。「私は短時間睡眠で平気なタイプ」と思っていても、下のチェックリストに1個でも当てはまるなら睡眠負債がある可能性があります。

□ 午前中(10~12時)に眠気を感じる
□ 朝起きたときにだるさを感じる、頭がぼんやりする
□ 平日の睡眠時間は6時間未満だ
□ 帰りの電車(深夜以外)で眠くなる
□ 休日にアラームを使わないと2時間以上寝坊する

 眠っている時間は何もできないので無駄だと考える人もいますが、睡眠には大切な役割があります。体と心を休める。記憶を整理して定着させる。体の再生に欠かせない成長ホルモンを分泌させる。免疫力を上げる。さらに、脳にたまる老廃物を取り除く。これら睡眠の役割は、睡眠時間が不十分だと果たされません。その結果、太る、肌がカサつく、風邪を引きやすくなる。認知症のリスクが高まります。
 睡眠の「量」に加えて大切なのが、睡眠の「質」。睡眠の質が落ちると、7時間半しっかり寝ているのに体がだるい、日中眠くなる、と感じると無呼吸症候群かもしれません。
 睡眠不足の結果の一つが、肥満です。平均睡眠時間とBMIの関係を調べた研究では、睡眠時間が7~8時間の場合が最も肥満が少なく、それより短くても長くても肥満が増えるという結果が出ています。食欲抑制ホルモンの分泌が減ることで『食欲が増す』のです。つまり、睡眠不足はエネルギー摂取量に影響して体重を増やす方向に働くと考えられます。
活動量が増えるにもかかわらず睡眠が短くなっている結果太りやすくなるのです。
忙しいとついつい削りがちな睡眠時間ですが、健康を維持し、肥満を防ぐために、生体に備わった本来の睡眠リズムを大切にして十分な睡眠を確保していきましょう。
 

2018-11-06 13:37:47

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2018年10月

AIが「診断」する時代に

 

 2016年、米グーグルの人工知能(AI)「アルファ碁」が韓国の世界トップ級棋士を下し、世界を驚かせました。
 AIの進歩はがん医療でも広がり始めています。コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像データをもとに、がんなどを自動検知するシステムが開発されつつあります。AIを使って皮膚がんを瞬時に判別するシステムを開発されました。大量の皮膚病の写真をAIに読み込ませ、「ディープラーニング(深層学習)」という手法で特徴を学ばせた結果、9割前後の正答率を実現したといいます。深層学習とはコンピューターに大量の情報を読み込ませて、学習させる技術です。
 16年から胃がん検診を胃カメラで受けることができるようになったこともあり、内視鏡医が不足しています。それとともに内視鏡検査で胃がんなどの病気を自動判別する技術の実用化がすすんでいます。AIによる自動診断は医師の負担を減らし、病変の見落としも防ぎます。今度さらに増えていくビッグデータが自動診断の精度も比例して高めていくのです。
 AIの医療への応用は急速に進み、医師のかなりの仕事が肩代わりされるようになります。患者の心を支えられる医、技術力のある医師のみが生き残るかもしれません。
 さて最近、ウエアラブルデバイス(ウエアラブル端末とも呼ぶ)を用いてユーザーの睡眠状態を評価できるようになってきました。ウエアラブルデバイスとは、腕、腰、首など身体に取り付けることができる(ウエアラブル)機器のことである。最もシンプルなものは、内蔵している加速度センサーで手首や腰の動きを秒~分単位で計測し活動量や消費エネルギーを表示する、いわゆる高性能の万歩計です。さらに、リストバンド型であれば脈拍や体温など、メガネ型では脳波、眼球やまぶたの動き、頭部の揺れなどが同時に測定できる。
 ウエアラブルデバイスは、いわゆるIoT(モノのインターネット)で活躍が期待されています。IoTについては既にご存じの方も多いだろうが、日常生活で用いる種々のデバイスをネットワーク上で相互接続して、各デバイスの内蔵センサーから収集したデータを有機的に活用することをさす。テレビのCMで「帰宅前にスマホを使って自宅のエアコンをつけておく」などの利用法をご覧になったことがあるだろう。
 睡眠判定のできるウエアラブルデバイスの多くもBluetoothなどの無線通信によってスマホやパソコンにデータを送ることができ、これらのデータを解析することで、ユーザーの日々の睡眠状態を客観的に評価できる。睡眠だけではなく、刻々と変わる自律神経(交感神経、副交感神経)、注意力や集中度、体のバランス(平衡機能)などのさまざまな心身機能の日内変動も可視化できる。ところが、当初は興味津々で眺めていた人も、1週間もすれば新味がなくなりチェックしなくなる。「飽きてしまう」ユーザーが多い。特に快眠できている人であればなおさらだ。睡眠で困っている人の場合でも、適切なコーチングが戻されなければやはり止めてしまう。
 AIへの期待から再びこの分野が活性化してきました。その背景にはである。例えば睡眠の場合、微細な体動を常時モニターし、その解析から寝ているか起きているかを分単位で推定する。仕事に集中している時、リラックスしている時、疲れている時、酒を飲んでいる時、さまざまなシチュエーションでの生体情報がAIによって統合され、判定され、コーチングに反映される。もちろんスマホのカレンダー機能からその日のスケジュールは筒抜けである。どこでどんな酒を飲んでいるかも位置情報やキャッシュレスでの支払いデータからすべての行動が監視されてしまうのである。
映画「ターミネーター」が現実になるのではないかと本気で心配になってきます。  

2018-10-05 09:55:00

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2018年9月

乳がん検診で早期発見を

 
 ほのぼのとした日常を描いた国民的人気アニメ「ちびまる子ちゃん」の作者で漫画家のさくらももこさんが、8月15日に乳がんのため
亡くなりました。53歳でした。多くの人たちから愛された「ちびまる子ちゃん」の独自の世界観は、私たち読者の心にいつまでも残っていきます。ここに謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。
 国立がん研究センターが発表した「最新がん統計」によると、1年間に新たにがんと診断された罹患者数の推計値は、男性が50万人、
女性が37万人で、このうち、女性について部位別にみると、第1位は乳がんで約8万人、第2位が大腸がんで約6万人、第3位が胃がんで
4万人、第4位が肺がん、第5位が子宮がんの順となっています。つまり、女性罹患者全体の約2割を、乳がんが占めています。
 一方、がんによる死亡者数については、女性について部位別にみる約と、第1位は大腸がん、第2位が肺がん、第3位が膵臓がん、
第4位が胃がん、そして第5位が乳がんで約1.5万人の順となっています。つまり、乳がんによる死亡者数は全体の約9%で、がんと診断された女性の5年相対生存率でみると、乳がんは90%以上と、高い生存率を示しています。ただし、他の多くのがんが年齢を重ねるにした
がって罹患者が増えてくるのと違い、乳がんの場合は30歳代から増加をはじめ、40歳代後半から50歳代前半でピークを迎えるという特徴があります。なかでも、35歳未満の若年性乳がんの場合は、乳がん検診の受診率が低いこともあり、早期の発見が少なく、ステージ2~3の割合が高くなっており、大きな課題の一つとなっています。
 かつては不治の病と考えられていたがんも、患者さんの予後やQOLを大幅に改善することが可能となってきています。乳がん検診のより一層の普及を図っていく必要があるのではないでしょうか。
 

「サバ缶」で脳が若返り、血管がしなやかに

 

 今、日本で最も多く生産されているのは、ツナ缶ではなくサバ缶だということをご存じだろうか。サバを缶は青背魚にたっぷり含まれる EPA、DHAなどの“いい油”を、安価に手軽に取ることができる。魚の脂のDHA(ドコサヘキサエン酸)は、脳や目の網膜などの神経系や、母乳や精子にも存在する脂質。DHAは細胞膜に取り込まれると、神経伝達のやり取りをスムーズにする。認知症の発症リスクを下げる、視力低下抑制、学習機能向上などに有効とされ、研究が進行しています。
 EPAには、血液をサラサラにして血栓リスクを抑え、動脈硬化を予防する働きがあります。閉塞性動脈硬化症の医薬品として、また、飲料などの特定保健用食品(トクホ)にも入っています。 全身に酸素や栄養を運ぶ赤血球の膜は、EPAを含むと軟らかくなり、弾力性を増します。このため、血液がサラサラと流れやすくなる。末梢の細い血管にまで血液が届くため、体に必要な酸素や栄養を隅々にまで運搬し、老廃物を排出しやすくします。
 成人1人当たり、EPAとDHAを合わせて1g以上取ることが望ましいが、サバ缶を1缶食べれば、1g以上を軽々と取ることができます。EPAは、体に吸収されると、インスリンの分泌を促進するGLP-1という消化管ホルモンの働き、血糖値上昇を抑制します。中性脂肪値を下げる、という研究もあります。
 中性脂肪値は、血液中に余った糖を取り込むことによって増えるため、インスリンの分泌を高めるEPAを豊富に含むサバ缶は、メタボ抑制に有効といえるでしょう
日本人を対象とした研究では、DHAを継続して摂取することによって敵意性が減ることが明らかになっている。また、海外で約15万人を対象にした複数の研究を解析した結果、「魚の摂取頻度が高いほど、うつ病リスクが低下する」という報告もあります。メンタル面でもよい効果が表れます。サバ缶の食材としての魅力の一つは、皮も身も骨も血合いも脂分も、丸ごといただけるということ。缶詰に加工する際に、圧力をかける処理を加える<ことによって、軟らかくなった骨ごと食べることができる。これは、刺し身や焼き魚にはない利点です。皮の周囲にはコラーゲンもたっぷりと含まれています。
 私のおすすめレシピはサバ缶と玉ねぎ、ココナッツミルクを使ったグリーンカレーです。スパイシーで夏に汗をかきながら食べるのが格別です。
 

2018-09-06 18:19:00

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2018年8月

熱中症・夏バテ予防に…意識したい「糖質+ビタミンB1」

熱中症とは、暑い環境に体が順応できず、脱水や深部体温(脳や内臓の温度)の上昇によって生じる心身の異常全般をさす。めまい、頭痛、吐き気、倦怠(けんたい)感などで始まり、ひどい発汗(逆に汗が出なくなることもある)や頻脈が出現する。症状が強いと筋肉の痛みやけいれん、失神、意識障害に陥る。重症になると内臓への血液循環が悪くなり臓器不全が起こり死に至る病気です。
暑くなると食欲が落ちるもの。しかし食事をきちんととらないと、夏バテを起こしてしまう。夏バテで体力が落ちると熱中症にもなりやすくなります。食事や睡眠がしっかりとれていれば、重度の熱中症になることはほとんどありません。特に、食が細くなりがちな高齢者は意識してバランスよくしっかり食べることが必要。必要な栄養素をきちんととって夏バテを防ぐことは、熱中症予防にもつながります。
夏はどうしてもサッパリとした麺類などに偏りがちになってしまうが、麺類は糖質の多い食品。糖質は大切なエネルギー源ですが、ビタミンB1を一緒にとらないと糖質をうまくエネルギーに変えることができず、夏バテしやすくなってしまいます。ビタミンB1は、豚肉、ウナギ、玄米、大豆、そら豆、モロヘイヤなどに多く含まれる。更に効果的なのはB1の吸収を良くするアリシンと一緒にとること。アリシンとは、ニンニク、ネギ、ニラなどに含まれるイオウ化合物で、調理するときはすりおろしたり細かく刻んで摂取した方が良い。例えば刻んだネギを載せた冷ややっこや、豚肉とニラの炒め物などです。ご飯や麺などの糖質を食べるときは、ビタミンB1を含むタンパク質である豚肉、大豆などを一緒にとりましょう。
さらに熱中症対策として、水分の補給は基本です。夏の1日に必要な水分は体重(キログラム)×30mLが目安とされています。体重60キロの人なら1,800mLとなります。 熱中症予防にスポーツドリンクを飲む人もいますが、糖分や塩分が多く含まれています。熱中症になったときは体内に素早く水分を取り込めるので有効ですが、予防として日常的に摂取することは健康な人にはあまり好ましくありません。麦茶やミネラルウォーターなど、無糖のものを選びましょう。

iPS医療、パーキンソン病で治験 京大の計画

iPS細胞から神経細胞のもとをつくり、パーキンソン病患者に移植する京都大の医師主導臨床試験(治験)計画を国が了承したことが話題になっています。パーキンソン病は脳で神経伝達物質のドーパミンを分泌する神経細胞が失われる難病。体が震えたり筋肉がこわばったりする。体の震えや歩行障害から始まり、衣類の着脱・食事・寝がえりなど、すべての動作に支障をきたすようになります。次第によだれや食事をうまく飲み込めなくなる。幻覚・幻聴・うつ症状・記憶力の低下・不眠などの症状が現れます。どもるなどの言語障害が進みます。半数に認知症が現れることがあります。最後は日常生活が全面的に困難となり、生活の基本がベッドになります。移動には車いすを使用し、自力歩行はほぼ不可能となってしまします。症状を和らげる飲み薬などの治療では神経細胞の減少を止められず、根本的な治療法はありません。そこで健康な人の細胞から作製し備蓄するiPS細胞を活用。神経細胞を作製して約500万個を患者の脳に移植し、失われた機能を補う。移植した細胞の一部が脳に定着し、症状が改善して飲み薬の効果も高まると期待されています。
iPS細胞は体のあらゆる臓器や組織に変化できる細胞のことです。「万能細胞」と呼ばれます。皮膚など体の細胞に遺伝子を導入して作ります。京都大学の山中伸弥教授が作製法を開発し、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。iPS細胞は病気や事故で失った体の機能を取り戻す再生医療の切り札といわれます。iPS細胞から目の網膜や心筋など様々な細胞の組織に変化させ、患部に移植します。組織が定着して機能すれば、難病を克服できると期待を集めます。今回の治験では、iPS細胞から神経細胞をつくって、パーキンソン病患者の脳に移植して、体の震えなどを治すことを目指します。これだけでこの難病が治癒するか不明ですが治療の一つの選択肢がふえ、患者さんには朗報といえます。

2018-08-08 10:00:00

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2018年7月

「突然死は運動中に起こりやすい」は本当か?

ある日突然症状が出現した後、状態が急変し、24時間以内に死亡してしまうことを「突然死」と呼び、働き盛りの中年の男性に多いといわれています。
 米国の運動による突然死のリスクについて約12年間を費やした疫学調査研究では、観察期間中に突然の心停止が1247例に発症し、そのうちの63人(5%)のみが運動中に起こりました。また性別で見ると運動中に突然の心停止を起こしたのは圧倒的に男性に多く、平均年齢は51.1歳(35~65歳)でした。また、この調査において、突然の心停止が最も多かったスポーツはジョギング(27%)で、続いてバスケットボール(17%)、サイクリング(14%)、いろいろなジム活動(11%)、ゴルフ(8%)、バレーボール(3%)、テニス(3%)、サッカー(3%)、その他の運動(14%)でした。
 激しい運動中に突然の心停止や急性心筋梗塞の発生率が上昇することが分かっていますが、定期的な運動がこうしたリスクを軽減することも事実です。中年における運動中の突然死の割合は低い。運動で得られる利益に比べれば、突然死のリスクははるかに低くなります。つまり、中高年の習慣的な運動は、突然死のリスクを考慮に入れても、安全です。

過労死と働き方改革関連法

働き方に最も大きな影響を与えるのは、日本の労働法制で初めて導入される残業時間の上限規制だ。関連法の中で盛り込まれた改正労働基準法で規定される。同法では労働時間は「原則1日8時間・週40時間」と決まっていますが、労使で協定を結べば、残業時間の上限は無制限に設定できるのが実態です。今回の法整備により、改正労基法が定める残業の上限は「原則月45時間・年360時間」になる。特別な事情がある場合でも「年720時間以内、2~6カ月平均で80時間以内、単月で100時間未満」に抑える。月45時間を超えていいのは、年6回まで。
制度が適用されるのは、大企業の場合は2019年4月、中小は20年4月から。新商品などの研究開発職は適用除外。自動車の運転業務や建設業従事者、医師に適用されるのは24年4月からです。
規制の強化とともに緩和策もあります。年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタント、アナリストらが対象の「脱時間給制度」です。日本で初めて、働いた時間と賃金の関係を切り離す制度です。19年4月に創設する。残業代や休日手当を支給する対象外になり、仕事の成果で評価する。労基法は戦前の工場法がベースで、時代が変わり時間と成果は比例しにくい。長々と働くのではなく、短時間で付加価値の高い仕事をする人にもっと報いる必要性があったからです。しかし、ブラック企業が悪用しようとすれば、1日24時間働かせることも理論上は可能となります。
過労による突然死や自殺の報道が相次ぎ話題になっていますが、過重労働(長時間労働)は心身にどのような影響を及ぼし、どのような状態になると過労死のリスクが高まるのでしょうか。

■「過労死」は2つのケースに分けられる
 一般的には「過労死」と呼ばれていますが、法律上は現在の労災認定基準に当てはまるケースが「過労死等」とされています。それは死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害も入っているからです。
 過労死は、脳血管疾患または心臓疾患による、いわゆる突然死と、精神障害による自殺の2つのケースに分けられる。現状では過労死等の全体の割合で、脳・心臓疾患が4割、精神障害・自殺が6割となっています。
■脳・心臓疾患が男性に圧倒的に多い
 年代別では40代、50代に多く見られます。恒常的な長時間労働が長期間にわたって継続した場合、「疲労の蓄積」が生じ、通常の経年変化を超えた著しい血管病変の増悪などを引き起こすとが、分かってきています。疲労が蓄積すれば、交感神経が常に高ぶった状態になることで、血管に負荷がかかって高血圧になったり、血管が収縮して血流が悪化したりします。それが要因となって、脳や心臓の血管が破れて出血を起こしやすくなったり、詰まりやすくなったりするのです。
■月60時間の残業で、脳卒中リスクは1.3倍以上に
 残業が多いということは睡眠時間が少なくなるということです。睡眠は時間が短い場合だけでなく、質の悪化も脳・心臓疾患のリスクを高めるのです。
■疲れの度合いを客観的に評価できるような方法
 中央労働災害防止協会のホームページには、「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」が公開されています。チェック後は、自覚症状と勤務状況の評価とともに、「仕事による負担度」の総合判定が示されます。

2018-07-09 12:03:00

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2018年6月

肺炎は3番目に多い死因・・・誤嚥性肺炎を予防しましょう

近年、人口の高齢化に伴い肺炎による死亡者数が増加し続けている。
わが国における肺炎死亡者の多くは65歳以上の高齢者であり、2011年には脳血管疾患を上回り、肺炎は日本人の死因の第3位となった。
高齢肺炎のほとんどは加齢に伴う嚥下機能低下を背景とした誤嚥性肺炎である。
加齢、身体機能低下に伴う身体活動低下、嚥下機能低下に伴う栄養摂取量低下の結果、全身や嚥下関連筋群のサルコペニアが進行し、サルコペニアによる嚥下障害へと移行する。
肺炎の典型的症状は発熱、咳、痰などであるが、これらの症状がなく、なんとなく元気がない、食欲がない、のどがゴロゴロとなる、などの非特異的な症状のみがみられることが多いのが誤嚥性肺炎の特徴でもある。
誤嚥性肺炎は嚥下障害者に生じる肺炎であり、その診断には肺炎の確認(画像診断や炎症反応、肺炎症状の確認)と嚥下障害・誤嚥の確認が必要である。
しかし、誤嚥のリスクである嚥下障害を認めても、肺炎が誤嚥によって生じていることを直接確認することは困難な場合が多い。

誤嚥性肺炎予防に欠かせない3つの柱・・・ADL維持(活動量確保)と栄養管理、口腔ケア

誤嚥性肺炎は、誤嚥したことだけで発症する疾病ではない。
発症には、誤嚥に伴って呼吸器に侵入した微生物の病原性や量、侵入の深さという侵襲性のほかに、個体の抵抗力が関与する。抵抗力には、誤嚥物の喀出力(咳嗽反射、気道粘膜機能)と免疫力がある。そのため、抵抗力を維持・向上するために栄養状態を良好に保つ努力が必要である。近年考えられている低栄養高齢者に対する栄養管理の基本は、筋肉の量・機能に目を向けることである。

誤嚥性肺炎を発症する高齢者の多くは、筋量減少と筋機能低下です。ADL(日常生活動作)支援や活動量確保と栄養量確保が必要です。誤嚥性肺炎を発症する高齢者の多くに、ADL低下と低栄養を認めるからです。在宅高齢者の介護サービス利用は、ADLを維持するという面から誤嚥性肺炎予防のひとつになります。また、積極的な栄養量確保、栄養指導も同様です。ADL維持や活動量確保という取り組みの第一歩は日中起床である。起床とは、上体を起こし、頭部の重量を首で支えて、嚥下筋筋力低下を防ぐとともに呼吸機能の維持にも重要です。

口腔ケアによって肺炎発症率を下げることができることも実証されています。口腔ケアは誤嚥性肺炎の元となる微生物の量を減らすほか、食べる機能を維持する、という意味も含んでいます。

嚥下機能の評価は耳鼻咽喉科で行っています。
むせることが多いとか度々肺炎になるような方は耳鼻咽喉科で咽喉頭の機能評価をすることをお勧めいたします。

2018-06-05 09:48:11

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2018年5月

脱水症に注意する季節

気象庁によると、2018年4~6月の気温は平年に比べ高くなる見込みです。
今年は春のうちから脱水対策が必要です。季節の変わり目は自律神経のバランスが崩れ、暑さに順応しにくい。今年のような急激な暑さは脱水を招きやすくなります。
脱水とは、体の中の水分と塩分などの電解質が不足した状態。体重の1~2%相当が減るとのどの渇きや尿量の減少がみられ、体重の3~9%分が減ると、全身の倦怠(けんたい)感や頭痛、めまい、血圧の低下などが起こります。脱水が怖いのは、血液の流れる量が減り、心筋梗塞や脳梗塞の原因になることです。特に注意が必要なのが高齢者。加齢により体液の貯蔵庫でもある筋肉量が減り、体に水分を蓄えにくくなる。腎臓の機能も落ち、体内に水分や電解質を留める力も低下します。高齢者は食べる量が減り、のどの乾きを感じにくくなるのに加え、頻尿や失禁を恐れて水分や電解質を十分に摂取しない傾向がある。
一方、乳幼児は大人に比べると多くの水分が必要だが、体重に比べて体表面が大きく、気づかぬうちに水分を失っています。発汗や腎臓の機能が十分に発達しておらず、脱水を起こしやすい。自分ではのどの渇きを訴えられない乳児の場合、機嫌が悪いといったサインを見逃さないことが大切です。 
脱水の最大の予防策は、こまめに水分と塩分をとること。発汗以外に呼気や皮膚から水分が出る不感蒸泄(せつ)は、成人で1日約500~900ml に上る。脱水というと暑い中での作業時に起きる症状というイメージがあるが、エアコンの効いた屋内でも起こります。特に高齢者は、喉が渇かなくても水分補給が必要です。水分補給のタイミングは、就寝や入浴、運動の前後と運動中、外出前や飲酒後です。
 効果的に水分と塩分を吸収するには、経口補水液(大塚製薬OS-1などでいわゆるスポーツドリンクとは違います!)が適しています。適度な塩分とその吸収を促す糖分がバランスよく含まれているからです。いわゆるスポーツドリンクは経口補水液に比べ、塩分が少なく糖分が多く、飲み過ぎないように。食事をしっかりとることも脱水予防につながる。通常、成人が1日に摂取する水分は約2.5リットルで、うち1リットルは食事から取っている。十分な水分を蓄えられる体にするため、適度な運動で筋肉をつけることも大切です。

正しい歩き方で健康寿命を延ばしましょう…股関節の役割

 股関節とは、太ももの付け根にある関節で、上半身と下半身をつなぐ、体の中で最も大きな関節だ。胴体と両脚をつなぐジョイント部分となっている股関節。立ち上がったり座ったりするときの動作の要となり、上体をまっすぐ立てるときの支点にもなっている。この股関節には我々の想像以上の負荷がかかっている。通常の歩行時には、体重の3~4.5倍、ジョギング時には体重の4~5倍、階段の上り下りには体重の6.2~8.7倍という負荷がかかります。ひざや腰の関節にかかる負荷よりも大きく、股関節はそれだけ、ダメージを受けやすい。
女性は妊娠中に大幅に体重が増加しやすく、さらに高齢出産の場合は加齢により股関節の軟骨を傷めるリスクが増える。子どもを抱きかかえる子育てによっても股関節には相当の負荷がかかる。このような理由から、女性は男性よりも変形性股関節症を発症しやすく、当院の患者の男女比率は『女性7:男性1』となっており、圧倒的に女性に多く発症します。股関節に負荷をかける最も大きな要因の一つは、肥満です。体重が重くなるほど股関節にかかる負荷が大きくなり、股関節を傷めやすい。運送業など、日常的に重いものを持ったり運んだりする仕事をしている人も、肥満と同じく股関節に負荷が蓄積されやすい。激しいスポーツもリスクを高める。
大事なのが、日々の歩き方だ。知らず知らずのうちに股関節に負担をかけるような歩き方をしてしまっている場合がある。正しい歩き方とは踵(かかと)から着地して歩くこと。この歩き方によって、足首やひざ関節が連動しながら着地の衝撃をうまく吸収し、股関節にかかる負荷や衝撃を最小限に減らすことができる。正しく股関節を支えるためには、股関節周囲の筋肉を鍛えることが重要です。
また、姿勢よく正しく歩行するためには体幹、上肢の筋力も重要になります。スクワット、腹筋運動、腕立て伏せの3つの筋トレは、誰でもなじみのある基本的なものです。スクワットは、下半身の筋肉を鍛えることによって股関節を安定化させ、足運びを軽くする。腹筋運動は体幹を鍛えることにつながる。腕立て伏せをすると、胸をしっかり広げて姿勢を正すのがスムーズになる。日々運動をして股関節を傷めないようにし、健康寿命を延ばしてください。

2018-05-11 11:01:20

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2018年4月

難聴リスク、若者の耳に迫る 大音量ライブやイヤホン

耳鳴りや、音を大きく感じたら早く耳鼻科受診を
突然大きな音を聞いたり、長く大きな音に暴露されていると起こる音による外傷
いわゆる音響外傷です。耳鳴りや、音を大きく感じる聴覚過敏といった症状が出ます。
 今までは騒音下の環境で働く労働者に多く見られましたが、最近若い世代で難聴になる人が増加しています。かつてより、音楽ライブに積極的に足を運ぶ人が増え、イヤホンで必要以上の音量で音楽を聴くケースが目立つようになったからです。

音楽プレーヤー「1時間以内」を  世界保健機関(WHO)の資料

1日当たりの許容時間
100dB ドライヤー 15分
95dB バイク 47分
85dB 自転車 8時間
80dB 目覚まし時計 25時間

11億人の若者が将来、難聴になる危険がある――。WHOは15年、世界の中所得国以上で暮らす12~35歳のうち、およそ11億人が難聴になる危険があると発表しました。ライブや携帯音楽プレーヤーの増加、クラブなどの施設で大音量で音楽に接する機会が増えていることが理由です。ぴあ総研によると、音楽ライブは2015年、5万6042回で、5年前と比べ約7千回増。ライブへ行く人も4486万人と2千万人近く増えた。日ごろは、ツイッターなど対面しない形の交流サイト(SNS)に慣れ親しんでいる分、時には、同じ場所に集まって顔を合わせるライブなどが新鮮な交流手段として受けているようです。WHOは同年齢の半分近くが、携帯音楽プレーヤーやスマートフォンで日ごろから大音量で音楽を聞いていると指摘。ライブなどのイベントで耳の健康を害するほどの音量にさらされている若者も4割いるという。対策としてWHOは、音楽プレーヤーの使用を1日1時間以内にすることや、騒音が激しいところでは耳栓を使うことなどをすすめる。また、ドライヤーやバイク、自動車などの騒音を例に、1日に聞いてもいい許容基準を示し、注意を促しています。音響外傷は体調も影響するという。疲労や寝不足、アルコールをとった状態では耳へのダメージが大きい。体調を整えるのも予防策のひとつです。電車でイヤホンを使う際は、車内アナウンスが聞こえないほど音量を大きくするのは危険です。周りの音が大きくなれば音量も上げる。これを繰り返すと、音量の大きさに気付くことすらできないので注意必要です。

補聴器、使用率低迷の日本

 補聴器の品ぞろえが増えたことで、需要はじわりと伸びている。日本補聴器工業会によれば、補聴器の国内出荷台数は増加しているそうです。とはいえ、難聴者に対する補聴器の使用率で見ると、英国42%、ドイツ35%、米国30%に対し、日本は14%と低い。日本では補聴器を購入する際の補助金が少ないほか、販売員の公的資格が確立されていないことが関係しています。欧米では補聴器販売業者に公的資格制度があり、医師による診断を経て「オージオロジスト」などと呼ばれる有資格者が聴力検査や耳型採取などを手掛ける。日本では購入に医師の診断は必要なく、認定補聴器技能者と呼ばれる民間資格の保有者の配置も義務づけられていない。インターネットで購入したり、店頭で薦められるままに買ってしまい、「合わなかった」といって使わなくなることがよくあります。
 補聴器が普及するうえで課題となっているのが価格の高さです。日本での補聴器の普及価格帯は片耳あたり15万~20万円。高級品だと両耳で100万円かかる製品もある。日本では補聴器は保険適用にはならず、高度の難聴と診断された身体障害の認定を受けた人だけが支給されます。英国では国が指定する製品であれば、難聴の程度にかかわらず国から無償で提供を受けられる。今後は一律の基準で税控除が受けられるようにするなど、補助制度自体の改善も求められます。

2018-04-05 09:32:00

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2018年3月

受動喫煙・・・加熱式たばこも注意

喫煙は発がん原因のトップで史上最大の人災です。国立がん研究センターが家庭や職場などでの受動喫煙がある人は、肺がんにかかるリスクが約1.3倍に高まると発表しました。同センターは、これまで受動喫煙による肺がんのリスク評価を「ほぼ確実」としてきましたが、今回の研究結果を受けて「確実」に引き上げました。「日本人のためのがん予防法」でも「他人のたばこの煙をできるだけ避ける」から「できるだけ」の表現を削り「煙を避ける」と修正しました。能動喫煙と肺がんの関連は、多くの研究によりリスク要因であることが明らかで、日本では肺がんによる死亡者のうち、男性で70%、女性で20%は喫煙が原因と考えられています。肺がん以外の多くのがんとの関連もはっきりしており、がん死亡者全体のうち、男性で40%、女性で5%は喫煙が原因と考えられています。しかし、受動喫煙については、能動喫煙より発がん作用が小さいため、これまで個々の調査では、対象者数が限られるなどの理由から確実なリスクとは断定できませんでした。今回、受動喫煙が肺がんのリスクを高めることが確実となりました。労働安全衛生法が改正され、昨年6月からすべての職場で受動喫煙防止対策をとることが「努力義務」となりました。しかし、国際的には、公共施設や飲食店など、市民が集う屋内の場では禁煙を義務づけるのが主流です。日本の受動喫煙対策は世界の中で最低レベルにあります。東京五輪を契機に屋内完全禁煙を実施する取り組みが始まりました。04年のアテネ五輪以降、五輪開催都市では罰則付きの法令を定めるなどの対応をとっています。東京都も20年が大きな転換点になることを期待します。今、新型たばこが急速に広がっています。紙に巻いた葉タバコを燃やす従来のたばことは異なるもので「非燃焼・加熱式たばこ」と「電子たばこ」に大別されます。
 非燃焼・加熱式たばこは葉タバコを加熱し、ニコチンを含むエアロゾル(浮遊性微粒子)を発生させて、吸引します。電子たばこは液体を加熱して気化させます。液体にはニコチンを含むものと含まないものがありますが、含む液体を加熱するタイプの電子たばこは、日本では医療機器として取り扱われるため、一般には流通していません。日本で普及し始めているのは非燃焼・加熱式たばこです。「アイコス」「プルームテック」「グロー」などがあります。20世紀後半、紙巻きたばこの害が明らかになり、種々の規制が設けられてきましたが、その規制に対応するように製品を進化させたのが新型たばこといえます。しかし、新型たばこでもヘロインやコカイン以上の依存性を持つニコチンの量はほぼ同じです。なお、ニコチンは葉を食べられないようにナス科の植物のタバコが作り出した毒です。確かに、一部の発がん物質については、新型たばこは通常のたばこより少ないことが分かっています。しかし、未知の成分もあり得ますし、個々の成分ではなく、混合物の吸入行為として全体的に評価する必要があります。体内で発生したがん細胞が発見できる大きさになるには20年といった長い時間が必要ですから、新型たばこの危険性を評価できるのはずっと先です。さらに、新型たばこの使用者の多くが以前から喫煙しているため、新型たばこそのものの影響を検証できるのは次の世代になってからになります。新型たばこは煙を出しませんから、煙からの受動喫煙はありません。しかし、人が吸い込んだ空気の3分の1程度はそのまま吐き出されます。喫煙者の吐いた息によって、発がん物質を含んだエアロゾルの「受動吸入」は間違いなく起こります。喫煙者が禁煙のつもりで代替品として使い、臭いが少ないために周りも容認する傾向もみられます。ますます禁煙が困難になります。困ったことです。

老化を食い止め、健康長生き! 最新アンチエイジング術
コーヒー・ココア・お茶…老化を食い止める飲み物は?

コーヒーに含まれるクロロゲン酸など、コーヒー・ココア・茶葉のポリフェノールの健康効果が注目されている。アンチエイジングを支える最も重要な働きが「抗酸化」。活性酸素や糖化産物の蓄積による酸化ストレスは、生活習慣病をはじめとする加齢性疾患を引き起こす最大の要因とされるからだ。 抗酸化成分として、いま世界的に注目されているのは植物に含まれるポリフェノール類。コーヒーのクロロゲン酸や、ココアのフラボノイド、茶葉のカテキンなどがその代表だ。これらを多くとる人ほど酸化ストレスと、その結果としての老化が抑えられることが分かってきた。例えば、コーヒー消費量と肌の色素沈着の関係を調べた日本の研究。コーヒーを多く飲む人ほどポリフェノール摂取量が多く、肌の色素沈着が少ないことが分かった。フラボノイド豊富なココアを毎日飲んでもらった韓国の研究では、肌の弾力やシワの改善に効果があった。
 緑茶やコーヒーが心血管病や脳卒中のリスク低下に役立つことも明らかになっている。コーヒーはメタボ発生リスクを57%、紅茶は49%それぞれ低下させることがイタリア人を対象にした研究で明らかになっています。

2018-03-07 12:34:54

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