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2008年

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2008年11月

食事の際、あごの下に痛みと腫れがでる唾石症 11月号

食事の時になると顎(あご)の下が激しく痛む。こんな症状があれば唾石症(だせきしょう)の可能性があります。これは顎の下に唾液を作る唾液腺の中(腺体)や口腔内にまで出る途中の腺管の中に石ができる病気です。特に顎下腺(がっかせん)という顎の下にある唾液腺に多くできます。痛みを繰り返していると唾液腺に炎症が強くなり、硬く腫れたままになります。

食事の際、あごの下に痛みと腫れがでる唾石症

原因ははっきりしていませんが、口の中の汚れが腺管を逆流して炎症を起こし、カルシウムが沈着して石が形成されるようです。特に顎下腺で作られた唾液は口腔底といって唾液が溜まりやすいところにでてきます。ちなみに耳の下にある耳下腺という最も大きな唾液腺にはほとんど石を形成することはありません。この腺は腺管が長く、唾液の出口がほっぺたの内側にあります。そのため石ができにくいと考えられます。

さて、治療は石を溶かす薬はありませんので石を摘出するしかありません。石が小さければ自然排出されることもあります。しかし、多くの場合手術になります。術式は石が唾液腺から腺管内に出ているときは口腔内から局所麻酔下で摘出できます。腺管内でも唾液腺のすぐ近くにある場合や腺内にある場合は唾液腺を全部摘出する必要があります。この様な場合は首の外から全身麻酔下に腺を全部摘出します。炎症を何回も繰り返している例が多いので腺の周囲組織と癒着(くっついている)していますので注意をしないと顔面神経といって顔を動かす神経の一部を傷つけることがあります。そうなると口を動かすとゆがみが生じるということになります。口内法でとったほうが合併症の心配もなく首にも傷がつかず理想的です。腺管内の石でもかなり腺に近い部位でも外来手術で摘出していますのでご相談下さい。

2008-11-01 17:02:00

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2008年10月

サプリメントの有効性 10月号

サプリメントの有効性 10月号

今の世の中だまし合いの時代で多くの問題が持ち上がっています。
世界的な株安はアメリカの貧困層をだまして住宅ローンを組ませたことが原因となっています。日本の振り込め詐欺もなかなか後を絶ちません。大麻騒動も自分の精神状態を偽るようにしているだけです。薬などでは、実際にそのようなことがあることが知られている。偽薬効果とかプラセボ効果と呼ばれる現象で、有効成分を含まない偽薬を飲ませても患者が薬だと信じれば何らかの改善がみられることがある。だから、新薬の効果を確かめる臨床試験などでは、必ず試験薬投与のデータとともに偽薬投与のデータをとり、偽薬効果を排除してその効果を確認しなければならない。

そんな効果の恩恵があるためか、健康食品やサプリメントと呼ばれる商品群の中にも科学的には際立った効果が確認されていないのに、根強い人気を保持しているものが多くある。たとえば、スッポンは、風説では「高価で体にいいもの」ということになっている。でも、いったいどう「体にいい」のだろうか。国立健康・栄養研究所のサイトにある「健康食品」の安全性・有効性情報(http://hfnet.nih.go.jp/)では、健康食品、サプリメントとして人気のある物質などのデータが豊富に蓄えられている。たとえば、酸素水は一般的に、「スポーツ時の酸素補給や酸素不足から来る疲れなどの体調不良の解消」、「頭がすっきりする」、「ダイエットによい」などと言われています。しかし、その効果を検証した論文は少なく、しかもそれらの論文の結論は、「酸素水」のそのような効果については否定的な内容となっています。それによれば、スッポンは軟らかい甲羅をもつカメの一種。古くは甲だけでなく頭、肉、脂、血も薬用とし、現在でもその肉や血、抽出物(スッポンエキス)は「補薬」(虚弱体質や虚証を補う薬剤)として、俗に「体力衰退」「肺結核」「滋養強壮」などに用いられている。やはり日本では、昔から薬効があるとされてきたようだ。なるほどと読み進むと、「しかし、その作用機序や主な成分の詳細は不明であり、ヒトでの有効性・安全性に関するデータは見当たらない」とある。

民間療法、健康食品、寝具を含む健康器具から美術品に至るまで、多くの商品が「購入者には正確な評価ができない」状況にあり、ときとしてこうしたフィールドは悪徳商法の温床となります。このような「消費者にはまったく評価できない」「ただ信じて買うしかない」商品群の作り手として、エレクトロニクス・メーカーをも巻き込みつつあります。

たとえばプラズマクラスター技術を使った「除菌イオン」のほか、銀イオンの除臭効果を使った「イオンコート」、「塩が作り出すイオンのチカラ」を利用するらしい「イオン洗浄」などがあります。この種のものはほとんどの電機メーカーが独自の技術として売り出しているものです。大手エレクトロニクス・メーカーの説明だから、信頼できるものなのだろう。健康、清潔、除菌といったフレーズに消費者は弱いのである。おりしも米国では金融界がえらいことになっている。景気後退への警戒感は世界を覆い、多くのメーカーが設備投資を凍結し、経費や人員の削減を検討し始めています。そんなご時勢だから、技術者にはこれまで以上に利益確保を求める叱咤の声が浴びせ掛けられることだろう。邪な道に走りたくなる要件は揃っているのである。だまされないよう自分を磨いて下さい。健康食品とは健康を願う人の自己満足を得るもの、せめて毒でも入っていなければよしと考えて下さい。

がん患者・病院別5年生存率調査…単純に病院の優劣を示すものではありません  10月号

がん患者・病院別5年生存率調査…単純に病院の優劣を示すものではありません

「全国がんセンター協議会」(全がん協)が昨年に続き、がん患者の「5年生存率」を公表しました。生存率の分析は、日本全体でがんにかかる人、がんで亡くなる人を減らす「がん対策」の進展に、なくてはならない取り組みだ。28施設という小規模調査で、集計データの基準もばらつきが目立つが、施設名を含む公開は世界的にも珍しい。調査と公表を定着させ、拡大することは良いことと思いますが、単純に病院の偏差値と思われると困ります。「生存率を決める要素は三つある」。国立がんセンターの祖父江友孝がん対策情報センター部長は言う。1.がん自体の悪性度や進行度、2.年齢や合併症など患者自身の要素、3.治療の内容の三点です。祖父江部長は「患者は治療の内容の優劣を知りたいのだろうが、現時点でそれに限定して比較できるデータはそろわない」と説明されています。
今回の調査では、患者の合併症の情報を加味していない。進行度も施設でまちまちだ。数値が大きいほど早期がんの患者が多いことを示す「1期/4期比」が、肺がん、乳がんでは施設間で約50倍も差がある。近年、自前で生存率を公表する病院も出ているが、大半は手術データだけだ。手術のできない患者を含まないと生存率が高くなりがち。今回の調査は抗がん剤や放射線治療の患者も含むが、病院独自発表と比較できるように手術だけのデータも載せています。

昨年4月、がん対策基本法が施行されました。基本理念の一つが「日本中どこでも誰でも等しく、科学的で適切ながん医療を受けられるようにする」ことだ。だが現状はまだ理想とはほど遠い。都道府県でがんの死亡率に差がある。
原因として、死亡率の高い地域は(1)そのがんにかかる人が多い(2)早期発見ができていない(3)病院の治療が悪い――の3点が考えられる。(1)はがんを起こす原因特定と予防、(2)は検診の普及、(3)は治療内容の改善という施策が必要になる。方向性を間違えると、見当違いの対策になってしまう懸念がある。

基本理念を実現させるには、がん患者のデータを病院や地域ごとに登録する「がん登録」が欠かせない。生存率も登録データを基に算出し、現状のがん対策の妥当性を測る指標として使われる。がん対策基本法に基づき、全国350カ所以上の「がん診療連携拠点病院」は院内がん登録が義務付けられ、09年から3年生存率の集計が始まる。だが、労力を要する登録作業にどれだけ対応できるかは未知数だ。特に生存率調査は、各病院が患者の生死を含む消息を住民基本台帳などで調べなければならない。個人情報保護を理由に自治体が協力を渋る例もある。これは大変な労力を必要とします。臨床をやりながら追跡調査をするには限界があります。専門部署が必要です。国民にがん登録の重要性を知っていただきたい。病院の実力を知りたいという患者の関心が高まり、手術数などで病院を順位づける書籍が多数出版されています。将来は科学的に病院の実力順に並べられるだけのデータをそろえられたら良いのですが簡単ではありません。現時点ではこれだけははっきりいえます。良い病院はがん登録に力を入れ、その結果を臨床に生かしている病院とおもいます。

インフルエンザ予防接種を開始いたします。 10月号

今月15日からインフルエンザ予防接種を開始いたします。体調の良いときに受けるようにして下さい。この予防接種は鳥インフルエンザや必ず来たると予想されているいわゆる新型インフルエンザとは違います。あくまでも今シーズン流行すると予想される通常のインフルエンザワクチンです。

2008-10-01 17:01:00

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2008年8月

タバコの害 8月号

タバコの害 8月号

タバコを吸うと肺や喉頭など煙にさらされ、がんのリスクが高まることは良く知られています。煙の中にはタールなどの4000種類もの化学物質が含まれ、そのうち60種類以上が発がん作用があるとされています。

喫煙者の肺がんリスクは非喫煙者に比較すると男性で4.5倍、女性で4.2倍に上昇します(国立がんセンターの追跡調査)。喫煙者のがんのリスクは呼吸器系だけではありません。有害物質は血液に入り全身に循環し、尿にも排出されます。煙は食道を通じて胃にも入ります。ですからさまざまながんと関連があるとさせています。

タバコがやめられない原因はニコチン依存症であるからです。このニコチンは心臓などの血管を収縮させる急性作用があります。喫煙者はすわない人と比べ心筋梗塞などの虚血性心疾患が3倍、脳卒中1.3倍に高まります。

また、近年の研究では糖尿病の発病にも関係が指摘されています。喫煙する妊婦から生まれる子供は平均200-300g軽いといわれています(低体重児)。

近年自殺者が増加していますがこれも喫煙と関係があるとされています。喫煙は本人だけの問題ではなく、周囲の人に煙の害を及ぼします。いわゆる受動喫煙とか間接喫煙といわれるものです。この周囲に撒き散らす煙のほうが有害物質の含まれる量が多いのです。親が喫煙すると子供が中耳炎や喘息、虫歯になりやすくなることは国際的な調査で明らかになりました。

低タールのタバコにすると良いということは一切ありません。むしろ満足感を得るため深く吸い込み逆に被害が大きくなるとの指摘もあります。禁煙の輪を広げタバコのない社会を目指したいものです。当院も禁煙のお手伝いをさせていただいています。飲んで禁煙できる薬があります。実際に使ってみるとかなり有効性が高いように思います。市販のガムやパッチとはまったく違います。
条件を満たせば、保険適応にもなっていますのでヘビースモーカーで禁煙に挫折した方は是非試して下さい。当院は保険適応の認可施設です。

長寿記録、2年連続で更新 女性は世界一 8月号

長寿記録、2年連続で更新 女性は世界一 8月号

日本人の2007年の平均寿命は女性が85.99歳、男性79.19歳で、いずれも2年続けて過去最高を更新したことを、厚生労働省が公表した。女性は23年連続世界一。

男性は前年の2位から3位に順位が下がった。平均寿命は女性が06年より0.18歳、男性は0.19歳、それぞれ延びた。男女差は6.8歳で、前年と比べ0.01歳縮まった。国際的な比較では、女性の2位は香港の85.4歳、フランス84.1歳(06年)、スイス84歳(同)と続いた。男性のトップはアイスランドの79.4歳。2位は香港の79.3歳だった。

厚労省は「日本人の三大死因であるがん、心臓病、脳卒中の治療成績向上が平均寿命を延ばす方向に働いた。今後も同様の傾向が続くだろう」と分析している。これらの三大死因が克服されれば、平均寿命は男性で8.25年、女性で7.12年それぞれ延びるとみられる。

長寿記録、2年連続で更新 女性は世界一「何歳まで生きるか」という試算では、07年に生まれた赤ちゃんが75歳まで生きる割合が女性85.8%、男性70.8%。90歳までが女性44.5%、男性21.0%でした。ゼロ歳児が将来死亡する原因として最も可能性が高いのは、男女ともがんだった。心臓病、脳卒中を加えた三大死因による将来の死亡確率は男性55.57%、女性53.02%で前年とほぼ同水準だった。07年の死因別死亡数のうち悪性新生物は全死亡の30.3%になっています。

部位別に見ると男性は肺癌の上昇率が著しく、胃、肝、大腸と続きます。女性は大腸と肺、乳房の上昇傾向が続いています。がんの死亡数が増えていますが、国民の半数の人が80歳以上生きることになります。

女性のほうが長生きする傾向は平均寿命上位国では一般的で、男女寿命差が最も大きい国はフランスで7.6歳だそうです。
年金生活者の増加、それに伴う若い世代の負担増、医療費の負担増と長寿をそのまま喜べないのが残念です。

乳製品からカルシウム摂取、脳卒中発症3割減 8月号

乳製品からカルシウム摂取、脳卒中発症3割減 8月号

牛乳やチーズなどの乳製品からカルシウムを多く取る人は、ほとんど取らない人に比べて脳卒中の発症率が約3割少ないことが、厚生労働省研究班の大規模調査で明らかになりました。牛乳なら1日130ミリリットル前後、スライスチーズなら1-1.5枚で効果が期待できるという。

研究班は、岩手、秋田、長野、沖縄の4県在住の40-59歳の男女約4万人を、1990年から12年間追跡し、食事など生活習慣と発病の関係を分析した。
2002年までに、1321人が脳卒中を発症。乳製品から取ったカルシウムの量で5グループに分けると、1日の摂取量が平均116ミリグラムと最も多いグループは、ほぼゼロのグループに比べて脳卒中の発症率が0.69倍にとどまった。大豆製品や野菜、魚など、乳製品以外から摂取したカルシウムでは、効果はみられなかった。カルシウム摂取が多いと血圧が低くなるため、脳卒中予防につながった。

乳製品は他の食品よりも腸での率が数倍高く、効率良くカルシウムが取れたと説明しています。一方、心筋梗塞(こうそく)など心疾患の発症率は、カルシウム摂取の有無と関連がなかった。乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸によって心疾患の発症率が高まり、カルシウムの効果が打ち消された結果と考えられ、乳製品の食べすぎは逆効果になる可能性が高い。

なかなか治らない咳 8月号

なかなか治らない咳 8月号

最近、咳が続いて内科に行っても風邪と言われるだけで咳止めを飲んでも効果がない方が多いように思います。新聞などで百日咳の患者さんが増えているという記事を見ますが、実際は頻繁に見る病気ではありません。

むしろアレルギー症状の一つである方が多いのです。それに気がつかない医師が多いのです。何ヶ月も咳で苦しんで当院の薬で1週間でよくなるケースはよくあります。念のため咳止めも処方しますが使わなかったといわれた方も結構あります。

原因は各自さまざまと思われますが、夏場はクーラーが原因となる埃、イネ科の花粉症が多いと思われます。

最新鋭の内視鏡が導入されました!! 8月号

最新鋭の内視鏡が導入されました!!  8月号

今まで以上の高解像度の内視鏡が導入されました。粘膜の自然な色を忠実に再現し、微細な粘膜や血管の構造まで描出する高精細画像が、これまで以上に細かな検査・診断を可能にします。

通常観察では見えにくい微細な粘膜構造や血管構造を可視化して観察することが可能となりました。
画像処理によりトーン強調、表面強調、コントラスト強調の3つのモードを切り替えることにより可能になります。トーン強調は特定の色領域のみを強調することにより、通常観察では見えにくい微細な血管構造を可視化します。
表面強調では、明るいところ暗いところを更に強調して表面付近の粘膜構造や血管構造を見やすくします。コントラスト強調では、輝度の低い部分に色づけすることにより表面付近の凹凸を強調します。

これにより粘膜の構造が更に見やすい画像で観察出来ます。がんの早期発見に更に役立つものと考えます。

2008-08-01 17:00:00

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2008年7月

医師が献身的に支えてきた医療の崩壊 7月号

1999年の横浜市立大学の「患者取り違え事件」以降、医療に対するバッシングが始まり、患者の意識に変化が起こり、ペーパーワークや説明などにかかる時間が増えています。
一人の患者を診る時間と労力が、以前とは変わってきているのです。その上、医療安全をはじめ、院内で開催される各種委員会がものすごく増えています。

人数的にギリギリでやってきたところに患者さんの要求の高まりなども重なり、医師の不満が噴出しているのが現状です。
今までは基礎研究の実績のない臨床医は三流だ、大学教授は、すごい権威のあるポストなんだ、医局あってこその自分だなどと皆が思っているから、教授に従ってきました。しかし、この医局制度が「幻想」となりつつあります。卒業したての頃は生活を犠牲にし、24時間労働が普通でした。研究と臨床を同時にこなさなければなりません。このようなことを強いる大学病院の給与は最低水準です。最近はもっと楽して(医局を離れて)臨床技術を上げようとする若手医師が増えています。

医師が献身的に支えてきた医療の崩壊

医師は、技術者として養成されている面があるので、スキルを発揮できる施設を希望します。規模が大きく設備が充実し、症例数が多い病院には、給与が安くても医師は集まる。反対にスキルが発揮できる状況にない病院では、給与を高くしないと医師は来ません。専門的なスキルが発揮できる職場ほど給与が低くなるのは、専門職市場で見られる現象です。
「いい医療を受けたいが、お金は出したくない」という要求に応えるのは無理です。この矛盾に全然気付かせずに、満足度調査を実施しても意味はありません。

毎日新聞が2007年1月23日一面で、日本の医療政策を低医療費政策として取り上げました。そこではGDPに占める日本の医療費割合が「先進7カ国(G7)の水準にほど遠く、差が広がるばかり。
2003年のG7平均は10.1%で、日本はG7平均に比べて医療費の支出が2割も少なく」、医師数も「OECD平均に達するには、医師を1.5倍に増やす必要があると」と指摘しました。誰もがすぐに入手でき、かつ医療に関心のある人の間では当たり前のデータなのです。それまで一般紙はほとんど取り上げず、国民の多くが知らされていませんでした。「日本が低医療費政策を取っている」「医師の給与もさほど高くはない」「医師は大変な状況で働いている」などという「事実」をメディアが伝えていません。

日本では医療に関する満足度は高くはないのに、負担感は強い。それは正しく情報が伝わっていないからです。病院から医師がいなくなる原因がここにもあるように思います。

肥満は大腸・乳がんなど種々のがんのリスク・・・がん予防では体重管理も重要 7月号

肥満は大腸・乳がんなど種々のがんのリスク・・・がん予防では体重管理も重要

世界がん研究基金と米国がん研究機構は食道、膵臓、大腸、子宮内膜、腎臓、乳房(閉経後)のがんは肥満と関連があると判定しています。
わが国でも男性の肥満者が増加しており、肥満に伴うがんの増加が予想される。世界がん研究基金と米国がん研究機構は、腹囲が1インチ(2.54cm)増えるごとに大腸がんのリスクは5%増加すると報告している。

乳がんについては閉経前女性ではBMIが2増加するとリスクは6%低下するが、閉経後では逆に3%増加し、ウエスト・ヒップ比が0.1増えるごとにリスクは19%増加する。また、肥満により子宮内膜がんのリスクは52%増加、食道がん(腺がん)のリスクも2倍以上増加するとしている。わが国の肥満度と大腸がんとの研究でも、肥満により大腸がんのリスクが増加するそうです。

大腸がんは腺腫を経て発がんすると考えられるが、九州大学の古野純典教授らの検討では、メタボリックシンドローム患者は非メタボリックシンドローム者に比べて大きな大腸腺腫を有する率が1.5倍以上高くなるとの結果が得られている。また、20歳以降の体重増加は閉経後乳がんの発症リスクを増加させることも報告されている。

従来、がん予防では野菜・果物などの摂取が推奨されたが、2007年の報告書「食物・栄養・運動とがん予防」は第1のがん予防として成人期を通じて体重増加と腹囲増大を避けることを推奨している。一方、日本人を対象とした追跡研究ではやせでもがん発生や全死亡のリスクが高まることが示されている。

成人男性と小児の肥満が増加していることから、がん予防においても運動や適切な栄養摂取とともに体重管理の重要性が広く認識されることが望まれます。

2008-07-01 16:57:00

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2008年6月

禁煙により女性の心疾患リスクは急速に低下 6月号

禁煙により女性の心疾患リスクは急速に低下

禁煙した女性では、5年後の心疾患死亡リスクが47%低下し、その他の疾患にも、時間の差こそあれ死亡リスクが低下することが、米国の研究で明らかになりました。

喫煙は、米国においては依然として予防可能な死因のトップとなっている。喫煙は肺癌(がん)だけでなく、心疾患、その他の癌、呼吸器疾患にも影響します。呼吸器疾患は、先進国の約300万人が2030年までに喫煙が原因で死亡し、途上国ではさらに約700万人が死亡すると予測しています。

今回の研究は、米国の10万人以上の女性が参加した22年間のデータを検討したもので、現在も追跡調査が行われている。その結果、現在も喫煙している女性は、喫煙未経験者に比べて全死亡リスクが3倍高かった。また、大腸癌(がん)リスクは、喫煙未経験者より喫煙者で3倍高く、禁煙者では23%高かった。喫煙と卵巣癌に有意な関連性は認められなかった。若年齢で喫煙を開始した女性では、全死亡リスク、呼吸器疾患や喫煙が関連する死亡リスクがより高かった。

しかし、喫煙者の全死亡リスクは、喫煙後20年間で未喫煙者レベルまで戻っており、禁煙後最初の5年以内では13%低下していた。冠動脈性心疾患(CHD)による死亡リスクは、禁煙後5年で正常に戻っていた。また慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関しては、禁煙後5~10年で死亡リスクが13%低下していたが、正常に戻るまでには20年以上要していた。肺癌リスクについては、喫煙継続者に比べて禁煙者では5年以内にリスクは21%低下していたが、禁煙30年後では正常レベルには戻っていなかった。

喫煙の害は可逆性であり、非喫煙者のレベルまで低減させることができる。
禁煙するのに早すぎることはないが、遅すぎることもない。当院ではなかなか禁煙できない人に対し新しい禁煙治療薬(飲み薬)を処方しています。

肥満は大腸・乳がんなど種々のがんのリスク…がん予防では体重管理も重要 6月号

肥満は大腸・乳がんなど種々のがんのリスク…がん予防では体重管理も重要

世界がん研究基金と米国がん研究機構は食道、膵臓、大腸、子宮内膜、腎臓、乳房(閉経後)のがんは肥満との関連が確実であると判定しています。
わが国でも男性の肥満者が増加しており、肥満に伴うがんの増加が予想されます。がん予防においても運動や適切な栄養摂取とともに体重管理の重要性が広く認識されることが望まれます。

世界がん研究基金と米国がん研究機構は7,000を超える疫学研究を分析し、報告書「食物・栄養・運動とがん予防」があります。そのなかで、腹囲が1インチ(2.54cm)増えるごとに大腸がんのリスクは5%増加すると報告しています。乳がんについては閉経前女性ではBMI(BMI=体重[kg]/身長[m]の2乗)が2増加するとリスクは6%低下するが、閉経後では逆に3%増加し、ウエスト・ヒップ比が0.1増えるごとにリスクは19%増加する。また、肥満により子宮内膜がんのリスクは52%増加、食道がん(腺がん)のリスクも2倍以上増加するとしている。

わが国において肥満度と大腸がんとの関連を検討した研究でも、肥満により大腸がんのリスクが増加することが示されています。また、20歳以降の体重増加は閉経後乳がんの発症リスクを増加させることも報告されています。従来、がん予防では野菜・果物などの摂取が推奨されたが、2007年の報告書「食物・栄養・運動とがん予防」は第1のがん予防として成人期を通じて体重増加と腹囲増大を避けることを推奨しています。

一方、日本人を対象とした追跡研究ではやせでもがん発生や全死亡のリスクが高まることが示されています。BMIを18.5から25におさめるようにしましょう。BMIの計算が面倒な方はインターネットで簡単に計算してくれるサイトが多くありますので活用して下さい。

2008-06-01 16:55:00

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2008年5月

甲状腺がんの予後 5月号

甲状腺がんはがん細胞の種類によって大きく乳頭がん、濾胞がん、未分化がん、髄様がんに分けられます。がん細胞の種類によって予後が異なります。

日本では全甲状腺がんの90%は乳頭がんで占めています。乳頭がんは前頸部の硬い腫脹として触れることが多い。反回神経麻痺による声枯れや頸部の片側にリンパ節腫脹として発見されることもあります。飲み込みが悪い、引っかかり感とか痛みなどの自覚症状は一般的にはありません。
診断は触診、超音波検査で腫瘍の有無を確認し、穿刺吸引細胞診(採血と同じ針で吸引して細胞を取る)にて診断できます。乳頭がんの10年生存率は95%程度と予後良好ながんです。一般的には急速に増大、転移したりしません。しかし、やはり放置しておくと遠隔転移をおこしたり、まれに未分化転化して急激な悪化と転移により命を落とすこともあります。リンパ節転移もありますが、リンパ節転移をしていたからといって必ずしも予後が悪いわけではありません。この点は他のがんと違うところです。

濾胞がんも乳頭がんとほぼ同じくらい予後の良いがんですがリンパ節転移より遠隔転移(骨、肺)をきたすことが多い。また、術前に細胞診で診断がつきにくい腫瘍で、手術で切除したあとの病理検査でわかることが多い。

いずれにしても手術は必要となります。甲状腺は反回神経といって声を出すのに必要な神経に接していますので、この神経を傷つけずに手術する必要があります。

2008-05-01 16:52:00

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2008年4月

ごあいさつ 4月号

ごあいさつ 4月号

今年は三重県ではスギ花粉が多く飛ばず、症状が軽かった人が多いのではないでしょうか。
4月からはヒノキ花粉症の方がつらい思いをされます。ヒノキにアレルギーのある方は気をつけて下さい。

また、4月からは保険制度の改変があり、75歳以上の方は後期高齢者医療保険制度になります。保険証が変りますので注意して下さい。
診療報酬点数も変りましたので同じ治療の方でも支払う金額が異なることがあります。ご了承お願い申し上げます。

喉頭癌の治療 4月号

わが国の喉頭癌罹患率は人口10万人あたり3~4人と推定されています。肺癌とともにタバコが原因であります。喉頭癌患者の95%は喫煙者で、Brinkman指数(1日の喫煙本数×年数)が600を超えると高危険群とされています。

喉頭癌は大きく声門型、声門上型、声門下型の3つの型に分けられています。ほとんどの喉頭癌は声門型で声枯れが早期に出現します。次に多い声門上型は早期に症状が出にくく、進行してから発見されることが多い。声門下型はごく少数です。つまり喉頭癌は声帯といって声をつくるところに癌が発生しやすく、早期に声枯れで見つけやすい癌ですが、声帯に発生しなかった癌は見つけにくく発見が遅れるということです。

治療は腫瘍の進展度によって違います。大きく放射線照射(化学療法併用もある)と手術があります。早期がんは放射線治療のみで治せますが進行癌になると手術が選択されます。手術でも音声を残す手術と喉頭を全部とってしまう喉頭全摘出術があります。手術の基本は生命を救うこと、次に術後生活の質を落とさないことを考えて治療します。

早期がんで万が一放射線治療後に再発した例には早期発見であれば喉頭を残す手術(喉頭部分切除)が可能な場合があります。私が行った喉頭部分切除で今までの再発例は幸ながら1例もありません。癌は早期発見と治療後は定期的な観察との再発の早期発見で癌を乗り越えることができます。

ノーベル賞も決まりか 世紀の大発見 4月号

ノーベル賞も決まりか 世紀の大発見

京都大学の山中伸弥教授らが昨年マウスの皮膚からヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)を樹立した。iPSとは人工的に誘導した多能性幹細胞、つまり一つの細胞からいろいろな細胞、組織、臓器に分化できる万能細胞を人工的に作り出したのです。

今まではES細胞といって受精卵から取り出した細胞(これも万能細胞)しかなく、人の細胞で研究に使うには倫理的問題があり、研究の足かせになっていました。そのため、文部科学省はヒトクローン胚研究利用作業部会がヒトクローン胚から作られるES細胞の作成、利用に関する規制が作られていました。クローン胚を作るには卵子が大量に必要となるのです。人間の卵子はそう簡単に手に入りません。倫理的ハードルが高いのです。ヒトの皮膚から作ることができたならこの問題は一挙に解決です。

iPS細胞に反応したのは研究者だけではない。米ホワイトハウスは07年11月、ヒトiPS細胞作成が発表された当日に「倫理的な研究の前進に大変喜んでいる」と異例の声明を出した。ブッシュ大統領は今年1月の一般教書演説で「医学の未開拓だった分野へと広がっていく。資金援助したい」と踏み込んだ。ローマ法王庁(バチカン)も「人(受精卵)を殺さず、多くの病気を治すことにつながる重要な発見」と評価した。いずれも受精卵を壊して作る従来の「胚(はい)性幹細胞(ES細胞)」研究に反対していた。

山中教授は人間の皮膚の細胞に4つの遺伝子を導入することにより、万能細胞がうまれたのです。いったいこの細胞が今後どのように利用されるのかというと、生体移植などがなかなか進まない中で臓器を自由に作り移植できれば理想です。つまり再生医療にとって欠かせない手法なのです。
これからはこの細胞を治療用の細胞に分化させる技術を確立し、臨床に役立ててほしいものです。たとえば糖尿病の人の皮膚からインスリンを作る細胞を作成して体内に移植してインスリンを注射しなくて済むよう糖尿病を治療できたりできます。病気の人から病気の臓器と同じ臓器を作り、新薬候補物質をいろいろ試すこともできます。

薬の開発にも大きく影響するでしょう。日本政府は国を挙げてこの研究に支援をすることになり、今年から5年間に100億円の予算を投じるそうです。この分野で日本が最先端を走れるよう各大学、企業が連携し、多くの特許をとっておきたいものです。

ヤマナカ教授の発見は難病の治療や解明に役立つノーベル賞級の成果であることは間違いありません。

甲状腺の病気 バセドウ病 4月号

バセドウ病は免疫異常による病気で、自分の体の中で甲状腺に対する抗体ができ甲状腺を攻撃するのです。結果、ホルモンが過剰に作られ体に異常をきたすようになります。この病気の症状は動悸や息切れ、体が疲れやすいなど全身にさまざまな体調変化が現れます。

こうした症状はほかの病気でも良く見られる症状ですが、検査をすればすぐにわかります。バセドウ病は新陳代謝が活発になります。通常の作業でも動悸がしたり、息切れ、汗が出やすい。食欲はあるのにやせてきたり、甘いものを多くとるようになり太ることもあります。精神面でも神経が過敏になり、ちょっとしたことでいらだつようになります。身体の症状は眼球突出や甲状腺の腫れ(前頸部の腫脹)ですが、眼球突出も2割ぐらいの人しかおこりません。甲状腺の腫れもはっきりしないこともあります。

毎年20万人が発症しているといわれていて、女性が男性の4倍と多く、中でも20から30歳に多い。妊娠やストレスをきっかけに発症することもあります。治療は甲状腺ホルモンを抑える薬を飲みます。徐々に減量して薬を服用しなくてもよくなることもありますが、再発しやすい病気ですので薬がなくなっても定期的な検査が必要です。

2008-04-01 00:00:00

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