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2022年3月

匂いを正常に感じられなくなる「嗅覚障害」

嗅覚障害には、匂いの感覚が弱って匂いを感じにくくなる「量的」な障害だけでなく、匂いの感じ方が変わってしまう「質的」な障害もあります。新型コロナウイルス感染症で起きた嗅覚障害もありますが、一般的な嗅覚障害は、慢性副鼻腔炎、風邪(感冒)、頭や顔のケガ(外傷)が3大原因とされています。
匂いのもとになる分子は鼻や口から入り、鼻の奥にある嗅細胞という細胞の粘膜表面にある繊毛にキャッチされ、電気信号に変わって最終的には脳の眼窩前頭皮質という場所に伝わります。ところが鼻が詰まると、鼻の奥にある、嗅裂(きゅうれつ)と呼ばれる嗅細胞の集まる場所の隙間(約2mm)が閉じてしまい、匂い分子が嗅細胞まで届かなくなるのです。一番多い原因である慢性副鼻腔炎では、鼻が詰まり、匂いが嗅細胞まで届かないために嗅覚が低下します。アレルギー性鼻炎や花粉症、鼻の中にできるポリープ(鼻茸、はなたけ)でも、同じ理由で匂いを感じにくくなります。 次いで多いのが、風邪やインフルエンザなどのウイルスや、頭・顔の外傷により、嗅覚を司る嗅神経がダメージを受けて嗅覚が落ちるものです(嗅神経性嗅覚障害という)。
アルツハイマー型認知症やパーキンソン病のような加齢性の病気でも、早期から嗅覚障害が起こることがあります。嗅覚障害になりやすいタイプの人は、60歳以上、男性、喫煙者といわれています。男性は60代から嗅覚が下がりますが、女性は化粧品や香水など多様な香りに接するので嗅覚が衰えにいといわれています。
カレーの匂いは早期発見のバロメータとなります。カレーの匂いが分からないときは早めに耳鼻科を受診しましょう。嗅覚の場合は、衰えてきても多くの人は自分の嗅覚は大丈夫と思っている人が多いのです。嗅覚障害を放置すると、ガス漏れや食品の腐敗臭に気づきにくいなど、さまざまな問題が生じるので注意が必要です。
嗅覚障害の原因が鼻なら、その治療をすることで7~8割は治ります。副鼻腔炎の中でも特に多い「好酸球性副鼻腔炎」は、ポリープを伴いやすいので、ステロイド剤でポリープを縮めたり、場合によっては内視鏡手術を行ったりします。
嗅覚の低下がある人は、低下していない人に比べて5年後に軽度認知障害(MCI)になる割合が多いとの報告がある。MCIからアルツハイマー病に移行する割合についても同様で、嗅覚が下がった人のほうが進みやすいという。匂いは記憶との関連が大きいのです。
このほか、嗅覚が低い人は調査時点から5年後の生存率が低い、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少および筋力低下)になる割合が高いなどの報告もあります。

オミクロン株では嗅覚・味覚障害は少ない

2021年2~5月の時点では、コロナウイルス感染後、半年後も嗅覚障害が残る人は12%でした。訴えが多かったのは、匂いの「質」が変わる「異嗅症」です。
異嗅症には、嗅いだ匂いが今までと違って感じられる「刺激性異嗅症」と、本来はない匂いがしたり、急に匂いが出たりする「自発性異嗅症」があります。不快な匂いがすると食欲が落ち、生活の質(QOL)が低下することが懸念されます。

【新型コロナウイルス感染症で見られた異嗅症の例】
• 常に焦げ臭いと感じる
• 急に焦げ臭いと感じることがある
• タバコの匂いが、匂うはずのないときに感じる
• シャンプーやボディソープなど、違う匂いが同じ匂いに感じる
• インスタントの味噌汁が、ドロドロの靴下の汁を飲んでいると感じる日がある
• ストロベリーババロアを食べたら、リンスを食べているような感じがした
• タバコの煙や香水などの匂いが分かりにくく、差がなくなった

新型コロナウイルス感染症で起こる嗅覚・味覚の障害はウイルスの株により傾向が違います。発熱はもちろん、いつもと違う匂いや味を感じたときも早めに受診するようにしましょう。