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2025年6月

台所や食事に潜む「永遠の化学物質」PFAS(ピーファス)


食材が焦げつかないことを売りにする調理器具の多くにPFAS(ピーファス)が使われています。
PFASは有機フッ素化合物の一つで、熱に強く、油脂や水をはじき、汚れを防ぐ性質があるため、さまざまな製品の加工に使われています。PFASは非常に便利だが、環境にいつまでも残留するため「永遠の化学物質」と呼ばれ、人体に有害な影響を及ぼす可能性があるものも指摘されている。PFASはどこにでもある。汚れにくい加工をしたソファーにも、泡消火剤にも、地域によっては水道水にも、台所にもある。

・PFASとは何か?
 PFASには膨大な種類があります。推定では1万5000種類以上あるという。いずれもフッ素と炭素の結合を持ち、この結合から「汚れがつきにくく、油脂や水をはじくというユニークな性質が生まれます。
米疾病対策センター(CDC)は、公式には、PFASが人体に及ぼす影響は「不確実」としていますが、これまでの動物実験によりPFASが動物の生殖機能、甲状腺機能、免疫系に影響を及ぼし、肝臓を損傷する可能性が示唆されています。

・PFASは家中のどこにでもある
 PFASというと焦げつき防止加工の鍋やフライパンに注目が集まりがちだが、さまざまな食品容器に含まれているといわれている。ピザの箱や電子レンジ用ポップコーンの袋など、ぱっと見ではわからないところに潜んでいる。ファストフードをよく食べる人は、できたての料理をよく食べる人よりも体内のPFASの濃度が高い傾向があることがわかっています。なお、PFASは環境に広く浸透していて、包装に関係なく食品や水に含まれていることが多い。農産物だけではなく、魚介類や藻類などからPFOSやPFOAが検出されたという調査結果があります。

・PFASから身を守るにはどうすればよいか?
 これだけの懸念があるにもかかわらず、PFASは使い続けられている理由は便利だからです。この優れた性質を持つ代わりの物質は、現時点ではまだ見つかっていません。
大人のPFASへの総暴露量のうち、最大25%がハウスダストによる可能性が示されています。ほこりには、死んだ皮膚の細胞、切れた毛髪、ペットのフケ、衣類や家具の繊維、ダニ、カビなどの真菌の胞子、花粉などのアレルゲン、細菌、外から侵入した土壌の粒子のほかに、さまざまなものが含まれています。化学物質が家の中で発生する例として室内のカーペット、家具、木製やビニール製の床材、カーテン、ビニール製のシャワーカーテン、テレビやコンピューターなどの電子機器、塗料、洗剤、芳香剤、香水や保湿剤などがあります。化学物質を含んだほこりは、室内の空気中に漂ったり、床や家具の表面などに付着したりするため、人間が鼻から吸い込んだり、口から摂取したり、皮膚から吸収したりして体内に取り込んでしまう。

・ほこりに含まれる化学物質が健康に及ぼす影響
 ほこりから見つかった化学物質には、体内のホルモンをまねたり妨げたりして深刻な健康被害を引き起こすおそれがある内分泌かく乱物質が多く含まれている。また、マイクロプラスチックもほこりから見つかっている。
これらの化学物質にさらされると、短期的には、呼吸器の炎症やアレルギーや喘息(ぜんそく)の悪化を引き起こす。また長期的には、一部の内分泌かく乱物質への暴露により、生殖機能障害(女性の子宮内膜症や男性の精液の質の低下など)、各種のがん、肥満、2型糖尿病、甲状腺障害、肝臓や腎臓の疾患、注意欠陥・多動症(ADHD)などの神経発達障害のリスクが高まる。
どの程度さらされると悪影響を受けるのかは、その人の健康状態や感受性によって異なります。子どもはほこりへの暴露が多くなりがちでその上、子どもの脳や体はまだ発達中であるため、化学物質の影響を特に受けやすいといわれています。