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甲状腺腫瘍

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甲状腺腫瘍について

甲状腺とは

甲状腺とは

甲状腺は首ののどぼとけの下方にある臓器です。
甲状腺ホルモンという日常生活に不可欠なものを分泌しています。

甲状腺の病気は大きく分けて次の5つがあります。
・良性腫瘍
・悪性腫瘍
・甲状腺ホルモン増加(甲状腺機能亢進症:バセドウ病)
・甲状腺ホルモン減少(甲状腺機能低下症:橋本病)
・甲状腺の感染症

甲状腺の病気にかかった人は、どういう症状から病気に気付き、病院を訪れるのでしょうか。
病気の種類によって症状はそれぞれに異なりますが、一般的には次のような症状をきっかけに、受診する人が多いようです。

症状について

1.首の前部の腫れ

一番多い症状がくびの腫れです。鏡などを見て自分で甲状腺腫に気付くこともあれば、他の人に指摘されて病院を訪れる人もいます。
甲状腺が腫れ方は大きくふたつに分けられます。
ひとつは、甲状腺全体がそのままの形で大きくなるもの、もうひとつは甲状腺の一部にしこりができるものです。
以下のものがありますがほとんどは臨床症状で区別がつきます。

単純性びまん性甲状腺腫 びまん性甲状腺腫があるだけで、ホルモンの合成に異常のないもの。これは甲状腺が全体に腫大しいています。手術は必要ありませんが、気管(息をする道)が圧迫されてきたり、美容上影響がある方は手術いたします。
バセドウ病 甲状腺を刺激する物質があるためにホルモンの合成が高まりすぎるもの。まぶたがはれたり、目が出たりすることもあります。甲状腺が腫れている場合とそうでない場合があります。
橋本病 甲状腺に慢性の炎症がおこったもので、慢性甲状腺炎ともいいます。ホルモンの合成に異常がないことも多いが合成が低下することがあります。全体に甲状腺が硬く、ごつごつした感じに触れます。
亜急性甲状腺炎 甲状腺がはれて痛みがある。しばしば発熱もあります。ホルモンが一時甲状腺からもれ出るために、バセドウ病のような全身症状がありますが次第に正常になり、再発はまれ。甲状腺の腫れは一時的です。痛みや熱が特徴的です。
腫瘍性疾患 甲状腺に腫瘍ができる。大部分のものはホルモンの合成には異常がありません。ふくろ状になったなかに液のたまるものもあります。良性のものと悪性のものがあります。多くは触診とエコーで判断がつきますが確定診断は手術でとらなければわかりません。甲状腺がんの多くは10年から20年と長期にわたってゆっくりと大きくなってきたもので、他の部位の癌に比べ比較的性格が良いほうです。急いで手術することはありませんが、なかには性格の悪いタイプもありますので見つかった時点で手術するのが一般的です。

2.甲状腺の機能異常による症状

甲状腺の働きが亢進したり低下すると、さまざまな症状が現れます。

3.眼球突出

バセドウ病では、眼が出ることが代表的な症状と言われています。
実際にこういう症状が現れる人は、そう多くはないのですが、まれに眼の症状から受診する人もいます。

4.健康診断などでの指摘

自分では健康なつもりでいる人が、健康診断や人間ドックで甲状腺の腫れがみつかったり、血液中の甲状腺ホルモン濃度を調べて発見されることもあります。

良性腫瘍

良性腫瘍

甲状腺に腫瘍がある方は特に女性に多く見られます。自覚症状はありませんが腫瘍があるといわれますと心配になります。
甲状腺結節とは良性の腫瘍(腺腫)で手術する必要はありません。
多発する場合もあり、もし手術をすると全部とらなければいけないことになってしまいます。手術は良性であれば手術する必要はありません。
しかしこの結節状の腫瘍の中にがんが含まれていることがあるので厄介です。
甲状腺腫瘍の場合、針をついて腫瘍の中の細胞を検査することが(細胞診)一般的です。
甲状腺がんは腫瘍の固まりすべてががんでない場合が多いのです。ですから甲状腺の細胞診の結果が良性であっても血液検査、CTやエコーの結果などを総合して診断することが必要となります。

甲状腺の悪性腫瘍(がん)

甲状腺がんの特徴

性別では、男:女=1:5と女性に多く、若年者から高齢者まではば広い年齢層に分布します。また、がんの組織型(顕微鏡で調べるがんの細胞の種類)がもっとも予後を決める因子です。その組織型のひとつである未分化がんを除き、一般に進行が遅く治りやすいのも特徴です。

甲状腺がんの種類

大まかに述べると、組織型により乳頭がん濾胞がん髄様がん(この3つを分化がんとよびます)、未分化がんに分類され、この組織型によって病態や悪性度が大きく異なります。
このうち、乳頭がんが全甲状腺がんの約80%を占め、ついで多いのは濾胞がんです。この両者は予後も良好です。
髄様がんはリンパ節転移を起こしやすく約1/4が遺伝性です。
髄様がんは乳頭がん・濾胞がんに比べると悪性度は高いのですが、未分化がんほど悪性度は高くありません。
一方、未分化がんはあっという間に大きくなり、予後も悪いものですが幸いその頻度は低いです。
本来リンパ系の腫瘍である悪性リンパ腫が甲状腺にできることもあります。

甲状腺がんの症状

首の前面にしこりを触れる
声がかすれる(甲状腺の近くをはしる反回神経へがんが触っている)
首の側面のリンパ節が腫れる
しかし、未分化がんでは急激な増大、痛み、息苦しさなどを呈します。

甲状腺がんの診断

超音波検査(エコー検査)
CT検査
穿刺吸引細胞診(しこりに細い針をさしてがん細胞の有無を調べる)
甲状腺シンチグラフィ、MRI検査など。
穿刺吸引細胞診(しこりに細い針をさしてがん細胞の有無を調べる)
また、髄様がんでは遺伝性のことがあり、遺伝子診断などで家族の方で無症状の髄様がんが発見されることもあります。

甲状腺がんの治療

手術 分化がんでは第一選択です。病変の広がりにより甲状腺を全部取る(甲状腺全摘術)ものから、左右いずれか半分を取る(片葉切除術)など切除範囲も様々です。他、近くのリンパ節も切除(郭清)する範囲も病状によります。
ラジオアイソトープ投与 (遠隔転移をきたしている場合、手術後行います)

甲状腺未分化がんに対しては、手術よりも放射線療法化学療法が中心です。

甲状腺がん手術の合併症

反回神経麻痺 こえがかすれる、飲水時にむせるなど。
副甲状腺機能低下 副甲状腺4個のうち3個以上の摘出では血液中のカルシウムが低下し、指先や口の周囲のしびれがおこることがあります。カルシウム剤の補充を行います。

甲状腺がん術後の投薬

甲状腺ホルモン剤(チラージンS)を服用 残った甲状腺が十分な甲状腺ホルモンを作れない場合(甲状腺全摘術や大部分を切除)
カルシウム製剤や活性化ビタミンD3 甲状腺全摘術などで副甲状腺機能低下がおこり血清のカルシウム値が低下している場合にはを服用する必要があります。

甲状腺がんの治療成績

・未分化がんを除き甲状腺がんの予後は良好。
・大部分をしめる乳頭がんでは術後10年生存率が90%以上。
・髄様がんは分化がんに比べるとやや不良ですが、それでも一般のがんにくらべると予後は良好。
・未分化がんの治療成績はきわめて悪いですが、未分化がんはめったにありませんから、多くの場合急いで手術する必要はありません。(手術の予約がすぐに取れなくても心配せずに相談してください。)
・ただし、反回神経といってのどの神経で声を出すのに重要な神経が甲状腺の真後ろを走行していて、これが麻痺するようなことがあれば急いだほうがよいでしょう。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症の代表的なものがバセドウ病です。
血中の甲状腺ホルモンが過剰となるため、以下の症状がよくみられます。

イライラする

手指の震え

目が出る

汗が多い

よく食べるが痩せる

動悸

微熱

転居、転職、結婚、離婚なども発症の引き金になります。
最近、食べてもやせる、暑がり、落ち着きがない、うつ状態、などの症状があれば一度検査をお勧めいたします。
治療には次の3つがあります。

治療法 内科的治療
抗甲状腺剤
外科的治手術 放射線治療
アイソトープ
適応する人 入院できない人 早く治したい人
甲状腺が大きい薬で治らない
薬の副作用が出る
腫瘍を合併している
他の治療ができない
中年以上
適応しない人 薬にアレルギー
薬の副作用が出る
重症合併症があり手術ができない 妊娠している人

抗甲状腺剤の副作用に、白血球減少があり、咽頭痛・発熱があれば医療機関を受診し、状態により入院治療が必要となります。

甲状腺クリーゼ:感染、ストレス、不完全な治療により急性増悪となり、発熱、発汗、頻脈、不穏、昏睡などが起こり、しばしば死に至る危険があります。ご家族の方が十分注意してあげてください。

稻上耳鼻咽喉科・気管食道科では…

バセドウ病、橋本病(慢性甲状腺炎)の治療、良性の甲状腺腫瘍の経過観察を行っています。
細胞診で悪性細胞が検出された場合は三重大学に紹介させていただいています。
セカンドオピニオンを希望される方もご相談ください。

稻上耳鼻咽喉科・気管食道科 クリニックサイトはこちら

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