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2008年5月

甲状腺がんの予後 5月号

甲状腺がんはがん細胞の種類によって大きく乳頭がん、濾胞がん、未分化がん、髄様がんに分けられます。がん細胞の種類によって予後が異なります。

日本では全甲状腺がんの90%は乳頭がんで占めています。乳頭がんは前頸部の硬い腫脹として触れることが多い。反回神経麻痺による声枯れや頸部の片側にリンパ節腫脹として発見されることもあります。飲み込みが悪い、引っかかり感とか痛みなどの自覚症状は一般的にはありません。
診断は触診、超音波検査で腫瘍の有無を確認し、穿刺吸引細胞診(採血と同じ針で吸引して細胞を取る)にて診断できます。乳頭がんの10年生存率は95%程度と予後良好ながんです。一般的には急速に増大、転移したりしません。しかし、やはり放置しておくと遠隔転移をおこしたり、まれに未分化転化して急激な悪化と転移により命を落とすこともあります。リンパ節転移もありますが、リンパ節転移をしていたからといって必ずしも予後が悪いわけではありません。この点は他のがんと違うところです。

濾胞がんも乳頭がんとほぼ同じくらい予後の良いがんですがリンパ節転移より遠隔転移(骨、肺)をきたすことが多い。また、術前に細胞診で診断がつきにくい腫瘍で、手術で切除したあとの病理検査でわかることが多い。

いずれにしても手術は必要となります。甲状腺は反回神経といって声を出すのに必要な神経に接していますので、この神経を傷つけずに手術する必要があります。