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2015年1月

男性に多い喉のがん 声失う前に早期発見を

 咽頭がんや喉頭がんは、音楽家の坂本龍一さんや落語家の林家木久扇さんが 発症したことで注目されています。いずれも喉の奥にできるがんで、患者の9割は 男性だ。たばこや酒を好む人に多い。最近はウイルス感染が原因となるケースも増えています。進行すると手術が必要となり、食べ物を飲み込んだり発声したりする働きに影響を及ぼすことも多い。早期に発見できれば、放射線や抗がん剤による治療効果が得られやすい。

 口腔(こうくう)がんを含む喉のがんはがん患者全体に占める割合は2.5%にすぎません。ただこの部位にがんが出来ると嚥下、発声、呼吸といった機能が集中しているので、がんができた場所や大きさによっては生活の質(QOL)の低下に直結することが多い。このうち食道の上端とつながる部位である下咽頭にできるがんは、60歳以上の男性に多く、飲酒が主な原因です。特に酒に弱いのに無理して飲み続けた人は要注意です。食道がんも併発していることもあるので注意が必要です。初期段階で食べ物が飲み込みにくかったり喉が痛んだりするが、目立った症状がないままリンパ節に転移し首が腫れてから見つかることもあります。この段階で既に進行がんとなってしまっているわけです。症状がある程度進んだ場合は、首の周囲から切開してがんを取り出すのが一般的です。進行した下咽頭がんでは完全に取り切るために喉頭も切除し、手術後には首に開けた気管の穴から呼吸する。出にくくなった声を出せるようにするため、食道の粘膜を使う食道発声の訓練や、特殊なチューブの埋め込み手術をする場合もあります。

 口から見える扁桃腺やその周囲の粘膜に出来るがんを中咽頭がんと言います。これも飲酒とたばこが原因とされています。がんが表面にとどまっている場合などは内視鏡で切除したり、放射線と抗がん剤を併用したりします。声は残せても、唾液が分泌されにくくなったり食べ物が通りにくくなったりすることは避けられません。
 最近、がんの原因として注目されているのがウイルスです。中咽頭がんでは子宮頸(けい)がんの主な原因のヒトパピローマウイルスに関係するタイプがあります。口を使った性交渉による感染などが原因という。鼻腔の後方に当たる上咽頭がんは子供の頃に感染していることが多いEBウイルスが関係しています。

 咽頭・喉頭がんでも比較的に早期であれば、機能を温存して根治できる可能性は高いが、肺や骨などに転移する場合もあります。手術をするか、放射線治療と抗がん剤を併用するかなどをおおまかに定めた診療ガイドラインも作られています。長く続く声がれや喉の痛み、飲み込み時の違和感がサインとなります。早めに耳鼻咽喉科や頭頸部外科を受診しましょう。

そのせき、のどの違和感… 胃食道逆流症の可能性も

AICS  のどがいがらっぽく、しつこいせきが出る。ちょっと疲れが出た程度だろうとたかをくくってはいけない。胃酸や食べた物が逆流する胃食道逆流症かもしれません。ぐっすり眠れない、虫歯になりやすいなど、無関係にみえる症状が実は病気の進行を示している場合もある。薬で治せるので自分で大丈夫だと決めつけず、早めに受診したい。
「コンコンと乾いたせきが続く」
「のどに桃や梅干しの種がつかえた感じがする」
このようなのどの症状がある場合胃食道逆流症を疑う。原因不明のせきが続く患者の約2割を占めるといわれています。胃食道逆流症の典型的な症状は胸やけやげっぷです。みぞおち付近から熱さが上昇してきたり、胸骨の下を熱いものが動いたりする感じがします。

 胃酸が上がってくる原因はいくつかあります。一つは胃酸の分泌を促す脂肪分や糖分、たんぱく質などのとり過ぎです。胃食道逆流症は食事の欧米化とともに増えてきました。もう一つは肥満、高齢者に多い猫背などによる腹部の圧迫や、胃袋が横隔膜の上まで上がって開いた状態になる「食道裂孔ヘルニア」によって引き起こされる場合です。メタボリック(内臓脂肪)症候群や心の病の増加、高齢化の進展などと胃食道逆流症の増加と関連しているといわれています。胃酸がのどまで逆流してくると、せきや声がれが起きる。気道に入ればぜんそくのような症状が出る。寝ている時などに口まで上がると酸っぱさや苦みを感じる呑酸(どんさん)の症状が出る場合が多く、息も臭くなる。眠りが妨げられることも多い。歯が酸にさらされる結果、虫歯が悪化しやすくなることもあります。水を飲んだりうがいをしたりすれば酸が流れるので、すっきりしたように感じます。働き盛りは肥満や高齢でなくても、帰宅が夜遅く、夕食をとる時間も遅くなりがち。そのうえ朝早い場合や不規則な生活が発症につながります。胃酸は空腹を感じるタイミングで分泌し、食べ始めると量が増える。食べ物が小腸に移ると止まる。しかし深夜に食事してすぐに寝ると消化する活動が弱まり、胃に残った酸や食べ物が逆流しやすくなる。このため、食事は就寝よりも3時間以上前に済ませるのが望ましい。生活習慣を見直せればよいが、個人の都合で残業をなくしたり仕事時間を変えたりするのは難しいのが現実です。

 治療では、プロトンポンプ阻害剤(PPI)という薬を処方します。この薬は、胃壁の細胞に存在し胃酸を分泌に働くプロトンポンプというプロセスに作用してして分泌を抑えます。酸を抑える市販の制酸剤でもある程度の効果はあります。症状をしっかりと抑え込むには医師の診断を踏まえ、PPIの処方を受けるのが良いと思います。