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2021年4月

嗅覚障害はコロナ以外でも におい感じにくい副鼻腔炎

新型コロナウイルス感染症で注目された嗅覚障害。においを感じなくなる病気は多く、慢性副鼻腔(びくう)炎もその一つ。蓄膿症(ちくのうしょう)が代表的だが、なかには指定難病の疾病もある。においが感じられなくなると、料理の味が分からなくなるなどQOL(生活の質)が落ちる。

副鼻腔は頬や額など鼻の周りにある空洞で顔の左右に4つずつある。この空洞の粘膜に炎症が起きる病気が副鼻腔炎だ。3カ月以上続いているものを慢性副鼻腔炎と呼ぶ。アレルギーのほか、ストレスによる免疫力の低下などで慢性化しやくなる。  副鼻腔に炎症が起こると、鼻づまりが続いたり、鼻水が止まらなくなったりする。副鼻腔がある目の奥や頬に痛みを感じることもある。さらに、鼻腔にあるにおいを感じる細胞に、におい物質が届きにくくなり嗅覚障害を生じる。

慢性副鼻腔炎には主に3つのタイプがある。最も多いのが細菌の感染で副鼻腔に膿(うみ)がたまるため、「蓄膿症」とも呼ばれるタイプです。そして、カビ(真菌)に感染する副鼻腔真菌症。もう一つが、白血球の一種である好酸球が異常に増加して炎症が起きる好酸球性副鼻腔炎です。

細菌による炎症の治療は、抗生剤を投与する。その他、内視鏡で粘膜にできた鼻ポリープを切除したり、膿やカビを取り除いたりする治療が行われる。カビは多くは上顎洞に存在することが多いため副鼻腔洗浄が効果的です。

最近の特徴は好酸球性副鼻腔炎が増えていることです。2000年ごろから増加。従来の慢性副鼻腔炎との違いは感染症ではないこと。なぜ好酸球が増えるのか原因は分かっていません。ほかの副鼻腔炎に比べると特徴的な「より黄色に近い粘り気のある鼻水と、嗅覚障害を起こしやすいこと」が特徴です。好酸球性副鼻腔炎は目と目の間(鼻の根元)にある副鼻腔(篩骨洞)に起こることが多い。現在の推定患者数は約2万人といわれ、難治性であり2015年から医療費助成制度の対象となる指定難病になっています。患者の多くがぜんそくを併発しています。難治性滲出性中耳炎も合併することもあります。 治療はステロイド薬が基本となる。内服すると効果が高いが、長期間続けると、副腎皮質ホルモンが分泌されなくなるなどの副作用が起こる。このためステロイドの点鼻薬が使われる。

同じ嗅覚障害でも、新型コロナの場合は突然嗅覚がなくなるのに対し、副鼻腔炎は徐々に嗅覚が衰えていく。副鼻腔炎は放っておくと悪化するので、症状が2週間以上続いていたら耳鼻咽喉科を受診しよう。

働き盛りを襲う「突発性難聴」 異変を感じたら急ぎ受診を

前触れもなく突然、片方の耳だけが聞こえなくなる「突発性難聴」。

40代、50代を中心に年間3~4万人が発症し、原因は今なお不明とされている。現在のところ確立された治療方法はないが、ステロイド内服薬のほか、重症度によってさまざまな方法を組み合わせた治療が行われている。

突発性難聴の原因は、鼓膜のさらに奥にある「内耳」の血流障害やウイルス感染、ストレス、など諸説あり、実際のところまだ解明されていません。ストレスや疲れ、睡眠不足がきっかけんになることが多い。持病の有無はあまり関係なく、いつ誰がなってもおかしくない病気です。早く治療したほうが早く治るし、治療成績も良く、時間が経てば経つほど治りにくくなります。ほとんどの方が治癒しますが、難聴の程度が高度の方は治りにくい傾向があります。

突発性難聴は再発しません。繰り返すなら、蝸牛型メニエール病など他の病気の可能性を考える必要があります。

治療はステロイド剤や血流改善薬、ビタミンB12製剤などの薬を処方します。
薬がうまく効かない場合、ステロイド剤を点滴いたします。一部の施設では高圧酸素療法という酸素を多く取り込む治療もしています。ですから喫煙をしている方は直ちに禁煙すべきです。