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11月院内新聞

がんの早期発見のために

 日本人の2人に1人が、一生のうちに一度はがんにかかるといわれている。平均寿命が延び、超高齢社会を迎える中、がんは日本人の死因の第1位を占めています。医学の進歩のおかげで、今は早期発見・早期治療をすれば完治させられるがんが増えてきました。

 そこで重要になってくるのが、がんを早く見つけるための検診です。現在、日本には、公費で受けられる「がん検診」が5種類あります。そのほかにも、職場の健康診断や人間ドックなどで、がんの発見が可能な検査を受けられます。
 事業者が行う職場の定期健康診断や、健康保険組合などが実施する特定健康診査(メタボ健診)は、全般的な健康状態のチェックのために行われるため、がん検診は必須項目ではない。ただ、多くの場合は独自にがん検診などが追加されているので、一定の年齢以上になると、こうした健康診断でがん検診も同時に受ける人は多い。
一方、それらとは別に、市町村のがん検診もあります。厚生労働省の指針に基づいて、基本的にはどの自治体でも5つのがんについて以下の項目が実施されています。

(厚生労働省ホームページより)
 職場の健康診断を受けていても、上記のがん検診の項目がすべて入っているとは限りません。職場の健康診断に入っていない項目は、自治体のがん検診や人間ドックで補完するようにしましょう。
人間ドックは、個人の自由意志で受ける健康診断で、項目はさまざまです。ただ、一般的にはがんの早期発見を目的とする項目が入っています。例えば、日本人間ドック学会の推奨する1日ドック基本検査項目(2020年度)の中で、がんの発見につながる項目には、次のようなものがある。

 必須項目(胸部X線(2方向)、上部消化管X線、腹部超音波、便潜血)
 オプション項目(上部消化管内視鏡、乳房診察+マンモグラフィ、乳房診察+乳腺超音波、
 婦人科診察+子宮頸部細胞診、PSA(前立腺特異抗原)

 がん検診は2つの種類があります。自治体の実施する5つのがん検診は、「対策型検診」。一方、人間ドックなどで受けるがん検診は、「任意型検診」です。
対策型検診は、対象となる集団において、そのがんで死亡する人の割合(死亡率)を下げることを目的として、公共政策として実施するものです。税金を投入するわけだから、公共の利益になる、つまり、その検診を行うことによって死亡率が減るというはっきりした科学的根拠(エビデンス)が得られているものを実施しています。現在、対策型検診として行われているがん検診は、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5つ。これらは頻度が高いがんであるからです。
一方、任意型検診は、対策型以外のもので、人間ドックなどで受ける検診です。対策型で採用されている検査のほか、「がんの発見率は高いが、死亡率を下げる効果がまだはっきりしないもの」、「対象となるがんの罹患者があまり多くないもの」、「コストがかかりすぎて大人数への実施が難しいもの」などが含まれる。
まずは対策型検診をきちんと受診し、さらに、任意型検診の中から自分にとって追加すべき検査は何かを考えて受けましょう。
対策型検診に加えて、がんの早期発見のために受けておいたほうがいいのは腹部エコーです。お腹回りの臓器は、胃と大腸以外は対策型検診ではチェックの対象になっていません。腹部エコーは、肝臓、胆のう、腎臓、膵臓など、中身が固体や液体になっている臓器(実質臓器)の観察に適した検査です。お腹にプローブを当てるだけなので、痛くも苦しくもないですし、副作用や医療事故の心配もありません。
ほかに、2から3年に1回大腸がん対策として大腸内視鏡検査を薦めます。さらに、早期の肺がんは胸部X線では見つけにくいので、胸部CTを撮ることを薦めます。
最近は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、がん検診や人間ドックの受診を延期する人が多い。新型コロナの感染を防いでも、がんで死んでしまっては意味がありません。きちんと感染対策をした上で、がん検診や人間ドックはしっかり受診し、なんらかの異常を感じたら、ためらわずに医療機関を受診するようにしましょう。