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2023年4月

認知症にならないために

がんや脳卒中といった命にかかわる病気とともに、認知症は「できる限り予防したい」と思う人が多い病気です。その予防法は運動、食事、休養が基本になります。

1.運動

運動はかつて有酸素運動ばかり重視されていましたが、最近の米国の神経学会のガイドラインでは有酸素運動、レジスタンス運動(筋トレ)、バランス運動、この3つをやるのが理想とされています。
バランス運動というと、片足立ちを30秒ずつ交互にやる、くらいでよいと思います。筋トレは腹筋運動、腕立て伏せ、スクワットなど。有酸素運動はウォーキングなどです。ウォーキングは散歩のように漫然と歩くのではなく、しゃべるのがつらいくらいのスピードで歩くことが大切です。早歩きが大変なら、早歩きと普通に歩くのを繰り返す「インターバル速歩」を推奨します。

2.食事

認知症予防の食事としてよく言われるのは「まごたちわやさしい」というもの。「ま」は豆、「ご」はゴマ、「た」は卵、「ち」は乳で乳製品、「わ」はワカメなどの海藻、「や」は野菜、「さ」は魚、「し」は椎茸などのキノコ、「い」はイモ。これらをバランス良く食べると効果があるという意味です。
高齢者を20年以上追跡している国立長寿医療研究センターの疫学研究によると、食事の多様性が保たれている人はそうでない人に比べて認知機能低下リスクが44%も低かったそうです。特に認知症予防に効果が確認されている特別な栄養素はありません。宣伝されているような特定の栄養素ばかり過剰にとるのも体に良くありません。それよりもいろいろなものをバランス良く食べることが大事です。
欧米では地中海沿岸諸国の伝統料理「地中海食」にアルツハイマー型認知症の発症率を下げる効果があるようです。魚をよく食べるという点で和食と共通点があります。ただ、和食と違うのはナッツを食べること。おつまみなどで摂取すると良いと思います。

3.睡眠

よく眠ることが認知症予防につながります。約8000人を25年間追跡した研究によると、50歳と60歳のときの睡眠時間が6時間以下だった人は、7時間睡眠の人に比べて認知症になるリスクが30%高くなるとの報告があります。
夜しっかり眠ることが基本ですが、昼寝も有効です。30~60分以内の短い昼寝は午後の作業効率を高める効果があると同時に、認知症予防になります。
睡眠には記憶を固定する作用があります。また、不眠になるとアルツハイマー病の原因になるアミロイドβ(ベータ)が脳から駆逐されなくなります。アミロイドβは睡眠中に処理されるからです。

以上のように運動、食事、睡眠といった生活習慣の改善に認知症の予防効果があることが分かっています。運動は有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動をすべて行うのがベスト。食事では特定の栄養素よりバラエティ豊かな食品をとることが大切です。元気で長生き、健康寿命を延ばしましょう。