
デング熱は、東南アジアや中南米など亜熱帯から熱帯地方で流行している感染症。世界保健機関(WHO)のまとめによると、2014年はこれまでにマレーシアで約5万3千人、フィリピンで約3万5千人の患者が確認されている。ウイルスを持っている「ネッタイシマカ」や「ヒトスジシマカ」などに刺されることで感染する。ヒトスジシマカは国内でも東北地方を北限として分布している。デング熱は1942~45年に長崎、神戸などの西日本で大流行し、太平洋戦争中に東南アジアで感染した人がウイルスを持ち込んだのが原因とみられる。その後、国内での感染報告例はなかったが、地球温暖化とともにヒトスジシマカの分布域が北上し、専門家は警戒していた。デング熱の症状は、3~7日の潜伏期間の後に突然38~40度の高熱が出て激しい頭痛や筋肉痛、関節痛などを伴う。特効薬はなく、解熱剤や点滴による対症療法が中心で5~7日で回復する。適切な治療を受ければ命に関わる病気ではない。ただ、重症型の
デング出血熱を発症すると死亡する場合もあるという。国内ではヒトスジシマカは冬になると死ぬため、ウイルスが定着する可能性は低い。ただ、今後も旅行者がウイルスを持ち込み、国内の蚊が媒介する可能性はあります。地球温暖化の影響が亜熱帯でしか流行がなかった感染症が日本でも珍しくない日が来るかも知れません。