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2018年7月

「突然死は運動中に起こりやすい」は本当か?

ある日突然症状が出現した後、状態が急変し、24時間以内に死亡してしまうことを「突然死」と呼び、働き盛りの中年の男性に多いといわれています。
 米国の運動による突然死のリスクについて約12年間を費やした疫学調査研究では、観察期間中に突然の心停止が1247例に発症し、そのうちの63人(5%)のみが運動中に起こりました。また性別で見ると運動中に突然の心停止を起こしたのは圧倒的に男性に多く、平均年齢は51.1歳(35~65歳)でした。また、この調査において、突然の心停止が最も多かったスポーツはジョギング(27%)で、続いてバスケットボール(17%)、サイクリング(14%)、いろいろなジム活動(11%)、ゴルフ(8%)、バレーボール(3%)、テニス(3%)、サッカー(3%)、その他の運動(14%)でした。
 激しい運動中に突然の心停止や急性心筋梗塞の発生率が上昇することが分かっていますが、定期的な運動がこうしたリスクを軽減することも事実です。中年における運動中の突然死の割合は低い。運動で得られる利益に比べれば、突然死のリスクははるかに低くなります。つまり、中高年の習慣的な運動は、突然死のリスクを考慮に入れても、安全です。

過労死と働き方改革関連法

働き方に最も大きな影響を与えるのは、日本の労働法制で初めて導入される残業時間の上限規制だ。関連法の中で盛り込まれた改正労働基準法で規定される。同法では労働時間は「原則1日8時間・週40時間」と決まっていますが、労使で協定を結べば、残業時間の上限は無制限に設定できるのが実態です。今回の法整備により、改正労基法が定める残業の上限は「原則月45時間・年360時間」になる。特別な事情がある場合でも「年720時間以内、2~6カ月平均で80時間以内、単月で100時間未満」に抑える。月45時間を超えていいのは、年6回まで。
制度が適用されるのは、大企業の場合は2019年4月、中小は20年4月から。新商品などの研究開発職は適用除外。自動車の運転業務や建設業従事者、医師に適用されるのは24年4月からです。
規制の強化とともに緩和策もあります。年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタント、アナリストらが対象の「脱時間給制度」です。日本で初めて、働いた時間と賃金の関係を切り離す制度です。19年4月に創設する。残業代や休日手当を支給する対象外になり、仕事の成果で評価する。労基法は戦前の工場法がベースで、時代が変わり時間と成果は比例しにくい。長々と働くのではなく、短時間で付加価値の高い仕事をする人にもっと報いる必要性があったからです。しかし、ブラック企業が悪用しようとすれば、1日24時間働かせることも理論上は可能となります。
過労による突然死や自殺の報道が相次ぎ話題になっていますが、過重労働(長時間労働)は心身にどのような影響を及ぼし、どのような状態になると過労死のリスクが高まるのでしょうか。

■「過労死」は2つのケースに分けられる
 一般的には「過労死」と呼ばれていますが、法律上は現在の労災認定基準に当てはまるケースが「過労死等」とされています。それは死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害も入っているからです。
 過労死は、脳血管疾患または心臓疾患による、いわゆる突然死と、精神障害による自殺の2つのケースに分けられる。現状では過労死等の全体の割合で、脳・心臓疾患が4割、精神障害・自殺が6割となっています。
■脳・心臓疾患が男性に圧倒的に多い
 年代別では40代、50代に多く見られます。恒常的な長時間労働が長期間にわたって継続した場合、「疲労の蓄積」が生じ、通常の経年変化を超えた著しい血管病変の増悪などを引き起こすとが、分かってきています。疲労が蓄積すれば、交感神経が常に高ぶった状態になることで、血管に負荷がかかって高血圧になったり、血管が収縮して血流が悪化したりします。それが要因となって、脳や心臓の血管が破れて出血を起こしやすくなったり、詰まりやすくなったりするのです。
■月60時間の残業で、脳卒中リスクは1.3倍以上に
 残業が多いということは睡眠時間が少なくなるということです。睡眠は時間が短い場合だけでなく、質の悪化も脳・心臓疾患のリスクを高めるのです。
■疲れの度合いを客観的に評価できるような方法
 中央労働災害防止協会のホームページには、「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」が公開されています。チェック後は、自覚症状と勤務状況の評価とともに、「仕事による負担度」の総合判定が示されます。