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2026年6月

禁煙すれば、血圧はもっと下げられる

 高血圧の人にとって「禁煙」は必須。しかし「わかっていてもやめられない」という喫煙者は多い。喫煙は動脈硬化を促進し、脳心血管疾患のリスクだけでなく、多くのがんやあらゆる生活習慣病のリスクと関連します。心筋梗塞は、男性喫煙者で非喫煙者の3.64倍、女性喫煙者で2.9倍起こりやすいとされている。また、脳卒中は、男性喫煙者で約1.3倍、女性で約2倍、起こりやすいことが示された。さらに、高血圧の人が喫煙を続けた場合、循環器疾患による死亡リスクは、高血圧のみ、喫煙のみの場合よりはるかに高いことがわかっています。

 喫煙が脳心血管疾患のリスクを高めるのは、タバコの煙の成分によるところが大きい。 タバコを吸うとニコチンが交感神経を刺激して血圧と脈拍が上がり、心臓の負担が増えます。さらに、一酸化炭素などによって血液中の酸素が不足し、血管の内皮が傷つき、動脈硬化や血栓が生じやすい状態になります。そうしたことが何度も積み重なることに加え、肥満や糖尿病など他の要因も複雑に絡み合って、脳卒中や心筋梗塞の発症へとつながる。禁煙すれば脳心血管疾患による死亡リスクは下がるものの、禁煙後すぐに非喫煙者と同じレベルになるわけではない。従って、禁煙はなるべく早く始めるに越したことはない。

 禁煙で血管年齢が30歳近く若返った人もいます。降圧薬で血圧を下げただけでは、血管年齢はなかなかここまで下がりません。全ての人にとって、血圧のみならず、がんや脳卒中、心筋梗塞などのリスクも減る、呼吸が楽になるなど、禁煙の健康メリットはとても大きいのです。『タバコをやめたい』という思いがあるのに、つい吸ってしまうのは、意志が弱いからではない。ニコチンに強い依存性があるためです。そのため治療が必要となります。

 タバコを吸うと、主成分であるニコチンが脳のニコチン受容体に結合し、快感を感じさせるドーパミンという物質が放出される。その結果、一時的に落ち着く、ホッとするような感覚を得る。しかし、やがてニコチンが切れると逆にイライラする離脱症状(禁断症状)が出現する。これによってまたタバコを吸うようになり、これが「ニコチン依存症」です。

禁煙外来を利用しよう

 禁煙をサポートする手段の一つが、薬局などで購入できるOTC医薬品の「禁煙補助剤」。ニコチンガムとニコチンパッチがあります。ガムの場合は口の粘膜から、パッチの場合は皮膚から、少量のニコチンを吸収させることで離脱症状を抑える。

 もう一つの手段は「禁煙外来」を受診して、禁煙補助薬「チャンピックス」(一般名:バレニクリン)や治療用アプリを処方してもらうことだ。バレニクリンは一時製造が中止されていた期間があったが、2025年10月30日から販売が再開されている。こちらの方がはるかに禁煙率は高い。

 バレニクリンは禁煙を始める1週間前から飲み始め、12週間服用します。こちらはニコチンを含まず、ニコチン受容体と結合してドーパミンの放出を防ぐため、喫煙による満足感を抑制します。離脱症状を抑える作用もあります。

 禁煙により、健康が取り戻せる、お金の節約など、多大なメリットがある。また、喫煙は自分の健康だけでなく、周囲の人の健康も損ねます。「換気扇の下やベランダで吸っている」という場合でも、副流煙に全く晒されないことはない。こうした家庭は、タバコを吸わない家庭に比べて受動喫煙の危険が3倍以上と報告されています。一方で禁煙すると、味覚が鋭敏になり食べ物をおいしく感じることもあり、体重が増える場合が多い点には注意したい。禁煙外来を受診して医師の指導のもと、血圧・体重をコントロールしながら禁煙も続けるのが、確実で早い成功への道です。一人で頑張ろうとせず、家族や周囲の応援を得ながら継続してください。

 なお、現在主流の新型タバコ(電子タバコ、加熱式タバコ)について、「ニコチンが少ないから安全」という認識で吸い続けている人もいる。しかし、新型タバコはニコチン、タールは少ないと言われていますが、さまざまな化学物質が含まれていて、受動喫煙も含めて決して無害ではありません。血圧を上げるほか、呼吸器・心臓・血管への障害も報告されています。

 今日からでも禁煙に踏み切り、家庭血圧も測って記録してください。血圧の値が下がってきたら、禁煙を続けるモチベーションにもなります。