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2026年9月

睡眠不足は命に関わる病気のリスクが高い
夏場は「睡眠の質」が最も悪い

 猛暑は私たちの生活にさまざまな悪影響を与えますが、その中でも大きいのは睡眠でしょう。気温が高く、じっとしていても汗が出てくるような部屋では、なかなか眠れません。季節によって睡眠時間が変わることも分かっています。睡眠時間が最も長いのは冬で、最も短いのが夏でした。冬に比べて、夏は約12分睡眠が短くなっているそうです。

 また、睡眠の深さ、寝返りの回数、睡眠効率(布団の中で実際に眠っていた時間)、中途覚醒の回数などから総合的に睡眠の質を見た「睡眠スコア」は、明らかに夏に低くなっています。質からも量からも、エアコンを使っても夏場は1年を通じて睡眠状態が最も悪い時期です。

睡眠不足の最大の問題点は肉体的、精神的に悪影響が出ます。短期的な不調だけでなく長期的には寿命や認知症リスクにも関わります。

1. 認知機能の低下:6時間以下睡眠を続けると認知機能低下が起き、集中力が低下する

2. 心臓、血管への負担:交感神経が刺激され、高血圧や心拍数上昇、心臓病のリスクが増えます

3. 免疫力の低下:6時間未満の睡眠は風邪ウイルス感染にかかる率が4倍に

4. 肥満・糖尿病リスクの増加:食欲ホルモンが乱れ、インスリン感受性が低下し血糖値が上がる

5. メンタル不調:うつ病のリスクが高まり、不安やイライラ感など感情が乱れる

6. ホルモンバランスの崩壊:疲労回復が遅れ、体調の悪化につながる
メニエール病の多くの方は入眠障害や途中覚醒、短い睡眠時間の方がたくさんおられます。睡眠がとれるようになるとめまいや難聴が改善する例はたくさんあります。

睡眠時間は毎日変わらないほうがいい
           睡眠に貯蓄はありません

睡眠医学的な理想は、平日も休日も毎日同じ時刻に起きて、同じくらいの時刻に寝ることです。仕事をしていると平日はどうしても睡眠不足になりがちなので、その分を週末に少し長く寝て、借金を返す「寝だめ」をする方がいます。けれど、睡眠は貯めておくことはできません。睡眠を多くとるときの注意として「社会的時差ボケ」を防ぐことが重要です。就寝時刻と起床時刻の真ん中、例えば0時から6時まで眠っていた場合は真ん中の3時を「睡眠中央時刻」と呼ぶ。寝すぎてもこの「睡眠中央時刻」を1時間以上ずらさないように寝ることが必要。休日に長く寝る場合、起床時刻を遅くするだけではなく、就寝時刻も早めて睡眠中央時刻があまりズレないようにするのがいい。「寝過ぎて調子が悪い」ということがなくなります。

平日から十分な睡眠を取ることが理想です。目覚まし時計をかけなくても、自然にいつもと同じ時刻に目が覚める。そもそも目覚まし時計をかけないと起きられないということは、すなわち寝不足、あるいはその人の本来の体内時計よりも早く起きようと無理しているということです。体内時計をリセットするには朝起きたら太陽の光に当たることと言われています。太陽光でなくても明るい光なら何でもよいのです。体内時計は遅れやすいので朝は強い光の下で、夜は照明を暗くして過ごしましょう。スマホのブルーライトにはそれほど気にする必要はありません。むしろ、スマホで注意したいのは、見るコンテンツです。ついつい入眠を先送りしたくなってしまうような、脳を興奮させるコンテンツは、就寝前は避けないといけません。

睡眠障害の大きな原因の一つである睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。ほとんどは閉塞性と呼ばれるタイプで、主に舌の根元が落ち込み、気道が塞がることで起こる。下あごが小さい骨格や加齢、肥満などが要因となり、いびきや中途覚醒、夜間頻尿、起床時の頭痛や倦怠(けんたい)感、日中の眠気などの症状が現れます。代表的な治療法「CPAP(シーパップ)」の保険適用基準が6月に緩和されました。従来はAHI(1時間に10秒以上、呼吸が停止する無呼吸や、換気量が著しく低下する低呼吸の平均回数)が「簡易検査で40以上」が基準だったが、改定後「簡易検査で30以上」に引き下げられました。これまで基準に届かずCPAPを受けられなかった人も、再検査を受けることで適用になる可能性があります。いびきがひどい方、睡眠時間を取っても昼間の眠気がとれない方は検査を受けることをお勧めします。