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2019年10月

自分の余命 知りたいですか?

 

コンピューターや人工知能(AI)が進歩し、未来を高い確率で予言できる時代が到来しつつある。「自分がいつまで生きられるのか」と考えることは誰でもあります。病気になって人生が残りわずかとわかっていたら、治療の負担をなくし好きなように過ごすこともできる。治療を続けるか、積極的な治療を控える緩和ケアに切り替えるか、その判断は人には難しい場面もある。告知の是非はともかく、死期を察する予測技術の研究が絶えないのはこのためだ。米国では、患者の診断内容を入力すると余命が示される医師向けのサイトが公開されているという。将来について知りたいとの願いは、古今東西に共通する。古代ギリシャでは、疫病の流行や戦況を占ってもらおうと多くの人が神殿を訪れ、巫女(みこ)が伝える神のお告げに耳を傾けた。人類は長い歴史の中で感染症などを克服し、確かな記録が残るここ約300年で平均寿命は40歳弱から80歳超まで延びた。天寿を全うするうえで、将来がいっそう気にかかる。
東北大学の東北メディカル・メガバンク機構(仙台市)は地域の15万人からDNAや血液、尿などを提供してもらい、保管しています。これら以外にも生活習慣を事細かく追跡し、病院にかかった記録や健康データも残す。参加者は、祖父母から孫まで3世代が定期的に情報を提出している。どのような遺伝情報の人がどんな暮らしを送ると、どれだけの病気になってしまうのか。病気の前兆は、いつごろどんなふうに表れるのか。あらゆるデータを突き合わせ、遺伝・生活習慣と病気の方程式解明へ壮大な謎解きが進められています。特定の遺伝子の異常だけでは病気の説明はつかず、特定の遺伝子を最先端技術で修正しただけで病気が治りません。生活習慣や環境も体にじわじわと影響を与えているのです。
将来の病気はどこまで予測できるのか。健康と病気の中間に未病という状態があり、この時期に体の異常を元に戻せば、簡単な治療で健康を保てる。未病のうちに何もできないと病魔は静かに体をむしばみ、ある日、病気が発症する。未病が表れる時期の予測にデータを数学的に解析を試みているチームがあります。この方法が確立すれば、生活習慣などが何十年もかけて体にストレスを加え、むしばまれ始める兆候をキャッチできる。『未病を診断し、治療する』という時代が来るのかもしれません。
最期まで健康で長生きするため科学がサポートし、充実した時を過ごしたいものです。

笑う機会少ない人、死亡リスクは2倍 日本の中高年

山形大学医学部教授の櫻田香氏らの研究で声を出して笑う機会が少ない人は、週に1回以上声を出して笑う人に比べ、死亡と心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞、狭心症など)のリスクが約1.6倍から2倍になることが、日本の中高年1万7000人を対象にした疫学研究で示されました。笑う頻度が低かったグループには男性が多く、喫煙者や、糖尿病患者が多く、配偶者がいない人、運動しない人が多く見られました。年齢、性別、高血圧の有無、喫煙習慣、飲酒習慣などを考慮して比較したところ、笑う頻度が月1回未満の人々は、あらゆる原因による死亡リスクが1.95倍になっていました。笑う門には福来る。