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2022年5月

ぐっすり眠るため

 

新型コロナウイルスによってわれわれの生活が一変して、既に2年以上が過ぎました。外出時にはマスクを着用。他人との接触はできるだけ控えるようにし、忘年会や送別会などの飲み会は自粛。とりわけ影響が大きかったのは勤務スタイルです。リモートワークが推奨されて出社日数が減り、会議や出張もオンラインで行われることが多くなりました。そんな中、「睡眠」についての悩みを抱える人も増えているようです。在宅勤務が広まると、生活リズムが不規則になって朝起きられなくなった。通勤がなくなったための運動不足、オンとオフが曖昧になって労働時間が増えたストレスが影響を与えています。
 睡眠は、単に体の疲労を回復させるだけでなく、傷ついた細胞の修復(成長)、免疫力の回復、ストレスの解消、記憶の定着・整理など、実にさまざまな役割を担っている。良い睡眠が取れないと、こうした役割が十分に果たされず、日中の眠気や集中力の低下はもちろん、免疫力の低下、血圧の上昇、体重の増加、メンタル不調など、さまざまな弊害を引き起こすことが近年の研究で明らかになっています。さらに、睡眠不足の蓄積は、将来の認知症発症リスクの上昇とも関係することが指摘されています。睡眠には、疲労回復のほかにも、成長(細胞の修復)、記憶の定着・整理、免疫力回復、ストレス解消などの役割がある。人間は眠らなければ生きていくことはできない。良く眠ることは、食事・運動と並んで、日々の体調を整え、健康長寿を実現させるための基本です。
 日本人の睡眠時間が短いというのはよく指摘される。OECD(経済協力開発機構)が2018年に行った調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、加盟33カ国の中で最も短かった。特に睡眠時間が短い世代は50代で、男女とも約半数が6時間に満たない。必要な睡眠時間は個人差が大きいが、6時間未満というのは明らかに睡眠が足りていません。
 米国の国立睡眠財団は、18~64歳の成人に「7~9時間」の睡眠時間を推奨している。一般に年齢が高くなるほど睡眠時間が少なくなるが、それでも65歳以上の高齢者に「7~8時間」の睡眠時間を推奨している。この数字はしっかりしたエビデンスに基づくもので、これより少ないと健康面に悪影響があることが分かっている。
 欧米の方が来日すると電車の中で日本人の眠りこけている姿を見て驚かれます。日本の治安が良いからと説明するかもしれませんが、欧州の方がみると異常な光景です。日本人の睡眠時間は少ないことが原因とされています。睡眠不足は生産性を低下させ、しいては健康を脅かしています。日本人の睡眠時間が6時間未満で生じる経済的な社会損失は15兆円との試算があります。睡眠の重要性をもっと認識することが求められています。
 睡眠不足の要因は「睡眠時間の不足」と「不眠症」です。睡眠時間が少ないのなら時間を増やせばよいだけです。しかし睡眠時間を減らし続けると睡眠時間が不足しているにもかかわらず自分では十分寝ていると誤認してしまうのです。
 睡眠負荷という言葉があります。寝不足になると体はダメージを受けるのですが睡眠不足が続けば体にダメージが蓄積されていくことをこのように呼んでいます。クリエイティブな仕事をする方には致命的です。毎日少しずつ睡眠不足が続いていると慣れてしまうので、仕事の効率が落ちていても自覚されません。毎日40分の睡眠負荷を解消するのに約3週間かかることが研究で分かりました。寝だめでは解消できないということです。週末によく寝たからと言って普段の睡眠時間の不足から解消できません。睡眠時間を削って仕事をしても能率が下がるため終えるまで時間がかかり、非効率的です。
 次に不眠症です。日本人の5人に1人に不眠症を訴えている。不眠症の中には短時間しか眠れない人もいますが、8時間ぐらい寝ているにもかかわらず寝ていないと感じる人もいます。そのような人は決まった時間に就寝するのではなく、眠くなった時に寝る。中途覚醒する人は起きてリラックスして再度眠くなった時に寝ると良い。昼寝は15分までとして長く寝ないことも大切です。
 しかし、病気で睡眠不足に陥っている人がいます。それが睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。これは睡眠中に無呼吸や低呼吸を繰り返す病気で放置しておくと命に係わる事態になります。SASは上気道で何かしらの原因で塞がって空気の流れが途絶える『閉塞性』と脳や呼吸信号などの異常で呼吸運動が停止する「中枢性」に分けられます。ほとんどの方は閉塞性ですので鼻、喉に原因があるため耳鼻咽喉科で取り扱われますが、高血圧や不整脈といった循環器に影響するため内科でも取り扱われます。また、うつ病、認知症などの精神疾患にも関与するため精神科でも扱われています。免疫機能が低下することから感染症になりやすく、ホルモンの分泌異常を誘発し、直腸、結腸がんや乳癌の発症にも影響しています。死亡率も睡眠時間が6時間以下の方は2.4倍高いとの試算があります。
あなたの睡眠不足、いびきが病気かどうか調べてはいかがですか。