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2024年3月

大人の喘息は、子どもの喘息とは異なる?

気管支喘息(以下、喘息)とはアレルゲン(ダニや花粉など、アレルギーの原因となる物質)などにさらされることにより、気管支が炎症を起こし、気管支が狭くなって呼吸がしにくくなる病気です。検査で肺機能を調べると、喘息の人は息を吐くスピードが遅くなり、最初の1秒間で吐き出す空気の量(1秒量)を検査すると健康な人の半分程度になることもあります。
 コンコンという乾いた咳や、ゼーゼー、ヒューヒューと胸が鳴る喘鳴(ぜんめい)が特徴です。成人の喘息は6:4くらいの割合で女性に多い。小児喘息のほとんどはアレルギーによって起こりますが、成人喘息の場合、アレルギーが関与する割合はやや少なく、8割以上くらいです。小児に比べ、アレルゲンが関係しないことが多いのが特徴です。小児喘息の大部分はダニや花粉などの物質(アレルゲン)が原因ですが、成人喘息は大気汚染やタバコの煙、風邪などのウイルス、気温・湿度・気圧の急激な変化、ストレスなどが原因となることがあります。そのほかには鎮痛剤の過度の使用や職場環境により起こる喘息もある。肥満や妊娠などで、肺が物理的に圧迫されて喘息につながることもあります。
 小児喘息だった人が成人まで持ち越したり、治った後に成人になって再発したりするほか、成人になって初めて発症する人もいます。成人喘息には、小児期の喘息がずっと続いている(あるいは再発した)人と、成人になってから発症する人がいます。20~40歳くらいの年齢層の患者さんは、小児期から継続している人のが多い。高齢になると非アレルギー型の喘息が増え、アレルギー型は半分程度に下がります。

成人の喘息増悪の原因

1.アレルゲン:成人喘息においても一番のリスク要因はアレルゲンです。そのため、発作が出やすいのはスギやヒノキなど、春先の花粉症シーズンです。空気が乾燥する冬も咳が出やすいイメージがありますが、冬はそれほどアレルゲンが飛ばないので、喘息発作が増えるのはやはり春です。そのほか、通年性のアレルゲンとしてダニやハウスダストもあります。
2.肥満:肥満も喘息リスクの1つです。脂肪組織は常に炎症を起こしやすい状態にあるので、アレルゲンなどを吸い込むと気管支の炎症も発生しやすい。脂肪組織によって気管支が圧迫されるという物理的な理由も考えられています。
3.ホルモン:女性ホルモンとの関連も指摘されています。エストロゲンなどの女性ホルモンは気管支を保護する方向に働くので、閉経前後に女性ホルモンが減少すると喘息になりやすいのです。さらに、女性にとっては妊娠もリスク要因の1つです。妊娠すると横隔膜の動きが制限されて肺の環境が悪くなるため、もともと喘息だった女性は悪化する可能性があります。

成人喘息の治療の基本…喘息発作が出ないよう、コントロールすることが重要

症状がなくても毎日使って発作が出ないようにする「長期管理薬」と、発作時に使う「発作治療薬」、この2つの薬が治療の柱です。できるだけ発作治療薬を使わずに済むように、つまり発作を起こさないようコントロールするのが必要です。
長期管理薬には、炎症を抑える「吸入ステロイド」と、気道を広げる「長時間作用性β2刺激薬」などがあります。吸入ステロイドは喘息治療の主役にあたる薬で、これが登場して以来、発作を起こすことなくコントロールしやすくなりました。喘息で亡くなる人も重症の人も、かなり減ってきています。最近はこの2つの長期管理薬の「合剤」があります。いくつか種類があり、咳の出やすい時間帯や生活のリズム、デバイスの扱いやすさなど考慮して処方します。
吸入ステロイドは気道に直接作用し、1回の使用量が非常に少ないため、極めて安全性の高い薬です。ただ、口腔カンジダ症や咳、のどがヒリヒリするような刺激、口内乾燥、声のかすれ(嗄声;させい)など、局所的な副作用が出ることがあります。これを防ぐには、吸入後にしっかりうがいをすることが大事です。うがいだけで予防できない人は、食事前の吸入をお勧めしています。そうすれば食べ物と一緒に洗い流す効果があり、副作用の予防になります。
発作時は発作治療薬を使いますが、治まらない場合はステロイドの錠剤を短期間用いることがあります。錠剤のステロイドはよく効きますが、長く続けると副作用が出やすいので、できるだけ使わず、伝家の宝刀という感じで使われます。

重度の喘息に対する「生物学的製剤」

発作を抑えることが難しい重症の人向けの長期管理薬として、「生物学的製剤」が使われています。生物学的製剤は生物がつくるたんぱく質(抗体)を利用した薬で、アレルギー反応を抑えて喘息症状を抑える効果があります。いずれも注射薬ですが、糖尿病のインスリン注射のように自己注射できる薬も出てきました。ただ、生物学的製剤は高額で、しかも長く使うとなると出費がかさみます。

発作を予防するために

症状と関連するアレルゲンが分かっていれば、それを回避するのが重要です。特に台風一過で晴天の日は、空気中のアレルゲンの量が増えるとされています。
スギ花粉やダニに対するアレルギー反応を弱くする目的で行う、「アレルゲン免疫療法」も有効です。スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎がある人には、舌下免疫療法という、舌の下にアレルゲンの成分や錠剤を入れる免疫療法があります。保険が適用されますので、同じアレルゲンで喘息が起きている場合、喘息への効果も期待できます。