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2021年10月

子供への新型コロナワクチン普及の期待

菅総理が引退会見で述べたようにこの1年はコロナに明け暮れた日々でした。ようやく新規患者数も減少して日常生活を戻す動き出てきました。
さて現在のコロナに対する動きは第6波に備えて ①ワクチンを3回接種すること。②子供へのワクチン接種拡大。③次々変異する変異株に対する予測したワクチンの開発。④経口内服治療薬の早期市販への期待と言ったところでしょうか。

 夏休みが終わり、対面授業が始まる中、中高生を持つ保護者の中には子どもに新型コロナウイルスワクチンを接種させるかどうかを悩んでいる人も少なくないと思います。
この夏休み期間中に、新規感染者に占める10代以下の割合が大きく増加しました。現在爆発的に流行しているデルタ株の感染力は、夏休み前まで各地で流行していたウイルス株より高いことが分かっています。家庭内感染の方向性が逆転し、感染した子どもから親や祖父母に感染が広がるケースが増えていることも、保護者世代の不安を高めているようです。

デルタ株の主な特徴の一つが、ワクチンを2回接種し、既定の期間が経過した「接種完了者」も感染する、ブレイクスルー感染の可能性があることです。接種完了後にデルタ株に感染した人は、発症しても軽症で済む場合が多く、死亡するリスクは低くなりますが、周囲の人に感染させる可能性は、ワクチンを接種していない感染者と同様のようです。
新規感染者のほとんどがデルタ株に感染している現状では、接種完了者を含む全ての人が、今後も徹底した感染予防策を取らなければなりません。とはいえ、学校生活を送る子どもたちは、体育や音楽の授業、給食などもあり、マスクを外す機会は大人より多いでしょう。新型コロナウイルスに感染したらどんな症状が出るのか、12歳以上に推奨されているワクチンを打つことによって得られる利益と、被る可能性のあるリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。

小児が新型コロナに感染した場合、心配なのが後遺症
 成人に比べ小児は、このウイルスに感染しても軽症で済むことは広く知られています。しかし、小児の感染者から周囲の大人に感染が広がれば、年齢によっては重症化する危険性が高まります。また、新型コロナウイルス感染症を発症し、回復した成人の中には、後遺症に悩む人が多いことも明らかになっています。小児の場合は、どのような後遺症がどれくらいの期間、持続する可能性があるのでしょうか。小児の新型コロナウイルス感染症後の後遺症に関するイタリアと英国からの報告では全体では3~4割が不眠、胸痛、疲労感、集中力の低下などを経験しています。特に心配なのが稀ではありますが心臓の後遺症です。米国では新型コロナウイルス感染症の発症後に心筋炎・心膜炎を合併するリスクは、ワクチン接種後に比べ、男性で約5.9倍、女性ではおよそ21倍になるとの報告があります。

ワクチンの小児における発症予防効果は高い
 日本でワクチンの接種を受ける12歳以上の小児には、主にファイザー社の製品が用いられることになるでしょう。このワクチンの小児に対する有効性と安全性は、米国で確認されています。
日本小児科学会は、「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」で、12歳以上の小児に対するワクチン接種を支持しつつ、接種前に副反応に関する丁寧な説明が必要との考えを示しています。

副反応による心筋炎は、大半が軽症であり、新型コロナウイルス感染後の急性心筋炎よりも発症率が極めて低いことから、心疾患を基礎疾患にもつ患者さんにおいても新型コロナウイルスワクチン接種を基本的に推奨されています。

 なお、12歳以未満の小児に対するワクチン接種の開始は、米国でもまだ先になりそうです。
コロナの感染を完全に抑え込むことができないことを人類は学びました。ウイルスの封じ込め、そして集団免疫の獲得を諦めざるを得なかった理由は「変異の威力」と「ワクチンの限界」があったからです。今後は社会としてある程度の感染を許容した上で「命を守る」対策に移行する必要があります。封じ込めに保健所が大きな役割を果たしてきましたが、今後は医療の担い手である「病院、診療所」に移行することでしょう。